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チョコザップは敵?これからの成長戦略
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2024年12月9日

会員数が90万人を突破するなど日本でも急成長するエニタイムフィットネス。世界でもシェアトップを誇り、フィットネス市場の王者の地位を確立している。急成長と高利益率の理由を、Fast Fitness Japanの山部清明社長に聞いた。
エニタイムフィットネスとチョコザップの関係とは?「市場を奪い合うより、一緒に広げていく関係」
フィットネス業界における新たな動きとして、エニタイムフィットネスとチョコザップというブランドの関係性が注目されています。ファストフィットネスジャパン社長の山部清明氏に、両社の位置づけや今後の成長戦略についてお聞きしました。

Q. エニタイムフィットネスとチョコザップの関係性はどのようなものですか?
両社は狙っている層が全く異なります。チョコザップは運動初心者をターゲットにしており、エニタイムフィットネスはより本格的に筋肉を鍛えたい層に向けたサービスを提供しています。実際、チョコザップで運動習慣を身につけた方が、より本格的にトレーニングをしたいと考えるようになった時に、エニタイムフィットネスに流れてくるというフローが存在します。
現時点では、限られた市場を奪い合うというよりも、市場を一緒に広げていく関係です。まだ運動習慣のない人たちをフィットネス業界に取り込むという点で、同志のような仲間と言えるでしょう。
Q. 具体的にどのような違いがありますか?
エニタイムフィットネスは本格的に筋肉を鍛えたい人や、静かに自分の好きな音楽を聴きながら集中してトレーニングしたい人向けです。一方、チョコザップはついでに5分間だけエクササイズするような、気軽に立ち寄るユーザーが多いです。また、チョコザップには洗濯しながら利用できるコインランドリー、カラオケスペース、ネイルサロンなどの設備もあり、本格的な運動という面では異なるコンセプトとなっています。
Q. フィットネス業界の市場構造はどうなっていますか?
現在のフィットネス業界は3つのレイヤーに分かれています。入門レベルのチョコザップ、本格的かつシンプルなエニタイムフィットネス、そしてプールなどを備えた総合的なジムです。今後特に成長が見込まれるのはエニタイムフィットネスとチョコザップだと考えています。総合ジムは会費を下げることが難しく、成長には限界があるでしょう。ただし、泳ぎたい方やトレーニング後にジャクジーや温泉に入りたい方など、一定のコア層は今後も維持されると思います。
これは総合百貨店からユニクロのような専門店へと小売業が変化していった流れに似ています。

Q. ユニクロ時代のノウハウで生かされていることはありますか?
近々Eコマースによる物販も始める予定なので、小売りのノウハウは役立つと考えています。より本質的な部分では、コスト削減と顧客満足度のバランスを常に考えている点がユニクロと似ています。「安心・安全・快適・清潔」を軸に置き、店舗の床も美観を保つために徹底的に磨き上げるなど、ユニクロと同様の考え方でサービスを提供しています。

Q. なぜ物販に参入するのですか?
エニタイムフィットネスの名前が浸透してきたことと、お客さまからTシャツやポロシャツ、キャップなどのグッズについての問い合わせが増えてきたことが理由です。また、筋力トレーニングをしている方々からプロテインやサプリメントの取り扱いについての要望も多く、これまで手つかずだった市場に参入する好機だと考えています。
Q. プロテイン市場で差別化は可能ですか?
プロテインは原料が同じでも、フレーバーや味、タンパク質の含有量などで差別化できます。自分の好みに合った味を選ぶユーザーも多く、こだわりを持つ方々に向けた製品開発が可能です。
Q. 今後の成長戦略について教えてください
いくつかの柱があります。一つは「バーメソッド」という第2ブランドを今秋から始める予定です。これはバレエのエッセンスを取り入れたスタジオプログラムで、主に女性をターゲットにしています。ヨガやピラティスに似た内容で、インナーマッスルを鍛え、ヒップアップや姿勢改善を目指すフィットネスです。
エニタイムフィットネスの会員は約8割が男性なので、女性市場を開拓するための新ブランドとなります。アメリカではすでに約100店舗まで成長しており、日本でも今後展開していく予定です。
Q. バーメソッドはどのように展開していく予定ですか?
まずは東京の一店舗で直営店をオープンし、ノウハウを蓄積していきます。その後、横展開できる状況になった時点で、現在のフランチャイズパートナーに声をかける予定です。すでに多くの企業から「ぜひ参入したい」という声が上がっています。
バーメソッドはスタジオプログラム形式で、インストラクターと15人程度の生徒が一緒に動きを行うスタイルです。一人ではできない形態ですが、アメリカでは好評を得ており、日本でもブームになる可能性があります。
Q. エニタイムフィットネスのフランチャイズモデルの特徴は何ですか?
フランチャイズでありながら、直営店が約15%あるというのが特徴です。また、会費収入が毎月安定して入ってくるストック型のビジネスモデルで、そこに水素水や個人用ロッカーなどのオプションサービスを追加することで、店舗の単価を上げていく戦略を取っています。
フランチャイズ契約は5年から10年おきに更新し、その際に条件を見直します。また、新しいサービスを導入する際には、それに応じた追加料金をいただくこともありますが、フランチャイジーに過度な負担をかけないようにしています。本部とフランチャイジーの間でウィンウィンの関係を築き、共に成長していくモデルです。
Q. 競合他社との差別化ポイントは何ですか?
店舗やマシンを揃え、人を雇うだけなら参入は容易ですが、実際の運営が難しい点が差別化になっています。例えば、店舗のチェックでは200項目ほどを毎日確認しており、床の清掃では床に顔をつけるほどの徹底ぶりです。特に日本の店舗の清潔さは、海外のお客様からも驚かれるレベルです。
また、現在1,156店舗という規模のスケールメリットも大きな強みです。次に多い競合でも150〜200店舗程度なので、同じマーケティング活動をしても、1店舗あたりのコストが圧倒的に低く抑えられます。さらに、エニタイムの鍵やアプリを使えば、追加料金なしで世界中の店舗が利用できるという利便性も大きな差別化点です。
Q. 海外展開について教えてください
ドイツとシンガポールで展開を始めています。日本の店舗は全世界の2割以上を占め、非常に成功していることから、本部からの信頼が厚く、海外展開の権利を得ています。
ドイツは前のマスターフランチャイジーがコロナ禍で撤退した後、本部から日本流でドイツ市場を開拓してほしいと依頼を受けました。フィットネス参加率が14〜15%と高く、人口は日本より少ないものの、市場規模としては大きいため、重点的に開拓を進めています。
シンガポールでは2店舗を買収し、将来的なアジア展開の拠点としています。国際的に活躍できる人材のトレーニング場としての役割も担っています。
Q. 株価評価についてどう考えていますか?
現状はやや残念に思っています。「ファストフィットネスジャパン」という社名と「エニタイムフィットネス」というブランド名がリンクしていない方が多く、知名度という面ではまだ課題があります。大都市では認知度が高いものの、地方では認知度が低い傾向にあります。
今後はエニタイムフィットネスの店舗拡大を続けながら、第2ブランドの展開、物販事業の開始、海外市場の開拓という3つの柱で成長していく予定です。成長曲線を描き続けることで、株価評価も改善していくと期待しています。