PIVOT TALK BUSINESS
日本のネット広告、動画が爆速成長中
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2024年12月2日

米国大統領選で投じられた広告費用はおよそ2兆円。中でも、ターゲットを絞ったネット広告の存在感が急拡大している。トランプはいかにネットマーケを駆使したのか?今、米国のネット広告市場で何が起きているのか?マクビーの千葉知裕社長に聞いた。
「成果報酬型広告は2030年に1兆円市場へ」マグビー千葉社長が語るインターネット広告の未来
日本のインターネット広告市場は2.9兆円規模に成長し、さらに加速する見込みだ。この成長を牽引するのは動画広告と成果報酬型広告。クッキー規制が進む中で企業はどう対応すべきか?マーケティング支援のプロフェッショナルが語る広告市場の最新動向と将来予測をQ&A形式でお届けする。

Q. 日本のインターネット広告市場の現状と今後の見通しは?
日本の広告費全体は約7兆円で、そのうちインターネット広告は2.9兆円規模になっている。マス向け広告をインターネット広告が超えてきたのが大きな流れで、これは世界の傾向と同じだが、日本は若干遅れていた。
足元の成長率は約8%超で、一時的に低下しているように見えるが、今後も10%前後で成長し続けると予測される。2021年、2022年の高い伸びはコロナの影響でオフラインからオンラインへのシフトが急加速したためで、現在は巡行速度に戻った状態だ。
東日本大震災やリーマンショックなど大きな波があった中でも、オンラインシフトという大きな流れは変わらず、インターネット広告市場は今後も伸び続ける見込みだ。

Q. インターネット広告市場の成長を牽引するものは何か?
主な牽引役は動画広告だ。利用者がテレビからTVerやYouTubeなどの動画コンテンツにシフトしていることが背景にある。マーケティング支援会社の成果報酬市場においても、YouTubeのシェアは2割から3割まで高まっている。
YouTubeに限らず、TikTokやTVerなどを含む動画コンテンツ全体の訴求力が際立っている。日本の動画広告市場は公式統計では15%程度の成長だが、実感としては20〜25%程度伸びているのではないか。動画広告市場は現在約6860億円だが、1兆円に達するのも近い。
将来的には2030年代までにインターネット広告市場の半分ほどを動画広告が占める可能性がある。特にジェネレーティブAIと動画の組み合わせにより、さらに加速する可能性もある。影響力という点では、すでにテレビCMを超えつつあり、今後はさらに差が広がるだろう。

Q. 成果報酬型広告とは何か?その市場規模は?
成果報酬型広告とは、広告の成果(購入や会員登録など)に応じて費用が発生する広告モデルだ。現在の市場規模は約4000億円で、これはインターネット広告市場全体(3.3兆円)の約10%程度を占める。2030年には1兆円規模になると予測されている。
成果報酬型広告が伸びている背景には、企業が費用対効果を重視する傾向が強まっていることがある。クリック課金型広告は単価高騰が問題になっており、広告規制(薬機法や景品表示法など)も強化されている中で、費用対効果が合わない広告が増えている。
成果報酬型広告なら実際の成果と紐付けられるため、企業はチャレンジしやすくなる。特に中小企業だけでなく大企業でも、マス広告やクリック課金型広告の効果に疑問を持ち、成果報酬型にシフトする傾向がある。

Q. クッキー規制はどのように広告業界に影響するのか?
クッキー規制により、個人を特定できない環境へとシフトしている。この規制はGAFAが情報を取りすぎたことに対する法規制として強まったが、最終的に負担しているのは事業を行っている企業だ。クリック課金型広告の単価高騰につながり、結果として企業の負担増となっている。
今後はクッキーによる個人特定ではなく、性別や年齢層といった属性を組み合わせた情報を活用する形にシフトしていく。個社だけでデータを取得するのは難しくなるため、マーケティング支援会社と連携しながらデータを共有する「データクリーンルーム」のような形が強まっていくだろう。
データを持っている主な企業は、金融機関、ポイントカード会社(CCC等)、ECサイト、予約プラットフォーム(ePARK等)などだ。これらの企業が持つデータを法律に触れない形で組み合わせることで、効果的なマーケティングが可能になる。
Q. 企業はマーケティング人材をどう確保すべきか?
日本企業が自社内でマーケティング人材を育成することは困難になっている。マーケティング手法が多岐にわたり、その変化のスピードが早まっている中で、少数のマーケターだけでキャッチアップするのは難しい。
そのため、マーケティング支援会社との連携がさらに強まる傾向にある。特に日本市場ではこの傾向が強く、優秀なマーケターが独立してマーケティング支援会社を設立するケースも増えている。
アメリカでは自前主義が強く、優秀なマーケターが事業会社に雇用される傾向があるが、日本では終身雇用制や非ジョブ型雇用などの労働体系が影響し、専門性のあるマーケター育成が難しい状況だ。例えば、金融機関では3年前に営業をしていた人が現在はマーケティング部門にいて、次は経営企画に移るというようなローテーションが一般的だ。
Q. AI時代のマーケティングでは人間の役割はどうなるのか?
データの統合や分析などの裏側の作業はAIにどんどん置き換わっていくだろう。しかし、最終的な判断は人間が行う必要がある。どのマーケティング戦略がより効果的かを判断するのは人間の役割であり、この部分は今後も人間の手が必要とされる。
マーケティングのプロになるためには、世の中の常識をしっかり守ることが重要だ。マーケティングの領域では未経験者でもパフォーマンスを出せることがあり、マーケティングの基本に忠実に取り組むことで成果を出すことができる。業界の非常識ではなく、一般常識をしっかり貫くことが、マーケティングで成功する秘訣だ。