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就職氷河期世代のこれから
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2024年11月29日

1993年〜2004年にかけて高校・大学を卒業した就職氷河期世代は約2000万人に上る。この世代の仕事、年収はどう推移しているのか?この世代の家族構成はどうなっているのか?『就職氷河期世代』の著者である東京大学の近藤絢子教授に聞いた。
氷河期世代の2000万人、75歳まで働く時代の到来 —— 介護の課題から政治的影響力まで
氷河期世代と呼ばれる約2000万人の人々が直面する将来とは。今後の働き方、介護問題、そして政治的影響力について専門家が解説する。未来の日本社会を形作る大きな世代の行方とは。

Q. 氷河期世代の人たちは何歳まで働くことになるのか?
今の60代後半の人々のうち3分の1以上がすでに働いている状況を考えると、氷河期世代は少なくとも75歳くらいまで働くことになるだろう。ただし、AIの発展などでホワイトカラー職が減少すると予測されており、特に50代以上が打撃を受けると言われている。その中で氷河期世代が75歳まで同じ仕事を続けられるかは不透明だ。
現在でも定年退職後の再雇用では、それまでとは異なる仕事に就くケースが多い。今後も仕事の内容が変わっていく可能性が高いが、その先がどうなるかは予測困難な状況である。
Q. 氷河期世代の人生はずっと苦労の連続になってしまうのか?
受験戦争、就職難、不景気、そして今後のAI革命と、確かに氷河期世代は苦労の連続に見える。ただ、働くこと自体が悪いとは言い切れない面もある。働くことで生活に張りが出るという意見もあるからだ。
しかし、年齢を重ねてから新しい技術を身につけるのは大変なことであり、それは氷河期世代だけでなく、その下の世代も直面する課題となる。一方、人口減少により需要が増えるセクターも多く存在するため、そういった分野へのシフトが進むことになるだろう。
Q. 介護問題は氷河期世代にどう影響するのか?
氷河期世代は未婚率が高く、兄弟の数も少ない。そのため、独身者が介護と仕事を両立しなければならないケースが今後増加する。介護施設をすぐに利用できる体制が整っていないと、仕事を続けられなくなり、本人の生活基盤が崩れるリスクがある。
家族内介護に頼る形を減らしていく必要があるが、財源問題や人手不足など様々な課題が存在する。氷河期世代2000万人のうち、単身世帯は2割程度と推定され、この層への対策が特に重要となる。
Q. 氷河期世代の政治的影響力はどう変化するのか?
人口ボリュームが大きい団塊世代が後期高齢者になっていくにつれ、次に多い氷河期世代の政治的影響力は大きくなると予想される。特に団塊世代は今後5年ほどで減少していくため、さらに氷河期世代の発言力が増すことになる。
しかし懸念されるのは、氷河期世代の中でも社会的に成功した層の声が大きくなり、「自分たちは苦労して頑張ったのだから、頑張らない人には支援は不要」という自己責任論が強まる可能性だ。氷河期世代にはニートなど社会的弱者も多いが、そうした人々の声は政治に反映されにくい。幸い、最近では自己責任論のような突き放す価値観への支持は弱まってきている傾向もある。
Q. 高齢期の経済的問題にどう対応すべきか?
氷河期世代が70代、80代になったときの経済問題への対応が急務だ。働ける期間を延ばすことは一つの方策だが、現実的には70代前半までが限界だろう。
氷河期世代は若い頃に非正規雇用が多く、厚生年金の加入条件も現在より厳しかったため、年金がもらえない人も多い。国民年金すら未納の人もいる。現行制度では、そうした人々の受け皿は生活保護だが、このままでは生活保護受給者が大幅に増加する。
基礎年金に税金を投入して増額するなど、生活保護より効率的な所得保障の仕組みを考える必要がある。生活保護は制限が多く、対象者が急増すると効率的でない面もある。限られた財源の中で、より良い制度設計を早急に検討すべきだ。
Q. 上の世代の資産を次世代に効率的に移動させる方法はあるか?
相続税よりも生前贈与の税率を低くするなど、早期の資産移転を促す税制改正はすでに実施されている。例えば、孫の教育費への贈与はさらに税制上有利になる仕組みもある。
ただし、こうした政策は資産を持つ高齢者とそうでない家庭の格差を拡大する可能性がある。そのため、別の形での再分配政策も必要になる。資産課税など新たな制度も検討されているが、資産の正確な把握にはマイナンバーのさらなる普及などインフラ整備が必要だ。
Q. 氷河期世代の子供たちはどのような世代になるのか?
団塊世代の子供は「団塊ジュニア」と呼ばれる明確な世代を形成したが、氷河期世代の子供たちは出産年齢の幅が広がっているため、まとまった世代を形成しない。30代後半で出産する人もいれば、20代前半で産む人もいるため、「氷河期ジュニア」といった呼称で括れる世代は生まれないだろう。
ただし、親の経済状況は子供に直接影響するため、氷河期世代の中で経済的に恵まれない層の割合が高ければ、その子供たちへの貧困連鎖に注意が必要だ。特に日本は母子家庭の貧困率が先進国の中でも高く、公的給付の増加や養育費の確実な支払いなど、対策が求められている。