
NBA新シーズン展望。河村、八村は活躍できるのか?
NBAの新シーズン見どころ解説!セルティックスの連覇なるか、川村・八村両選手の今季は?
世界最高峰のNBAでは、ボストン・セルティックスが昨シーズン優勝を飾り、単独18度目の優勝となった。今シーズンも引き続き頭一つ抜けた強さを見せているセルティックスだが、連覇を阻止するライバルチームも着実に力をつけている。また、日本人選手として初めて2ウェイ契約を勝ち取った川村勇輝選手、そしてレギュラーシーズンで存在感を発揮している八村塁選手の活躍にも注目が集まる。


Q. NBAの現状について教えてください
NBA長年の顔となっていたレブロン・ジェームスとステフィン・カリーの2大巨頭が、昨シーズンはプレーオフで勝ち進めなかった。これによりリーグ内で新陳代謝が起きつつある。両選手がパリ五輪で共に金メダルを獲得し、一区切りをつけたような形となり、若手スターの台頭が目立つようになってきた。
特に近年のNBAはオフェンス優位なリーグになっていて、直近6シーズン中5シーズンで過去最高のオフェンス記録が更新されている。これは3ポイントシュートがますます盛んに活用されるようになったことが大きい。リーグ全体での攻防のラインは113〜114点程度。Bリーグの3ポイント成功率が33.4%なのに対し、NBAでは36.6%と高い数字を誇る。
Q. 今シーズンの注目チームはどこですか?
ボストン・セルティックス(東カンファレンス)
昨シーズン圧倒的な強さを見せた王者。特に3ポイントによる得点差が平均10.8点と、全体の得点差の大部分を3ポイントショットで作り出している。ジェイソン・テイタム(26歳)とジェイレン・ブラウンのダブルエースが、あらゆる状況に対応できる変幻自在のプレースタイルを持ち、チームを完全無欠にしている。
ミルウォーキー・バックス(東カンファレンス)
チームの中心はヤニス・アデトクンボ。2m11cmの体格と圧倒的な運動能力で、ペイントエリアに突進していく姿はまるでヘラクレスのよう。昨シーズンはペイントエリアだけで20.3点を稼ぎ、シャキール・オニール以来の高さを記録。その破壊力により相手のディフェンスが内側に引き寄せられ、外のシューターにチャンスが生まれる。
インディアナ・ペイサーズ(東カンファレンス)
昨シーズン、セルティックス以上の平均123.3点を記録する爆発的なオフェンス力を持つ。中心選手のタイリース・ハリバートンは「100万ドルのスマイル」と称されるプレイメーカーで、彼がコートに立っている時と立っていない時では、チームのオフェンス力に歴然とした差がある。
オーランド・マジック(東カンファレンス)
平均年齢24.7歳の若いチームながら、昨シーズンはディフェンス力でリーグ3位を記録。ポジションレスなディフェンダーが揃っており、セルティックスの3ポイント攻撃を抑える可能性を秘めている。21歳のパオロ・バンケロがチームをけん引する。
デンバー・ナゲッツ(西カンファレンス)
「ジョーカー」の愛称で親しまれる現役最強プレイヤーの一人、ニコラ・ヨキッチを擁する。2m11cmのセンターでありながら、実質的にポイントガードとしての役割も果たすオールラウンダー。ビジョンとパスセンスに優れ、接戦に極めて強いチーム。
オクラホマシティ・サンダー(西カンファレンス)
昨シーズン西カンファレンス1位。オフェンスとディフェンスの両面でトップクラスの力を持つバランスの良さが特徴。26歳のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーがチームを牽引し、過去4シーズンのドライブ回数がリーグトップ。今シーズンはMVPと得点王のダブル受賞も期待される。
ダラス・マーベリックス(西カンファレンス)
昨シーズン、NBAファイナルでセルティックスと対戦。エースのルカ・ドンチッチは25歳ながら、レブロン・ジェームスよりも早く1万得点に到達した天才。レブロン自身が「自分と似ている」と評した選手で、今シーズンのMVPレースの有力候補。
ミネソタ・ティンバーウルブズ(西カンファレンス)
昨シーズン、リーグ最高のディフェンス力を誇った。23歳のアンソニー・エドワーズは、ファンの間でマイケル・ジョーダンの全盛期に最も近い選手と評されることも。攻守両面で高いレベルを発揮する。
Q. 川村勇輝選手の現状と課題は?
川村選手はメンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を結び、NBAデビューを果たした。予想よりも早くNBAの水に慣れた印象で、特にパスの技術とゲームメイク能力は高評価を得ている。
最大の魅力は「未来へつなぐパス」と表現される先見性で、味方がいるべき場所や最もアドバンテージが生まれる空間に正確なパスを出せる能力がある。また、大舞台で物怯じしない精神力も高く評価されている。
今後の課題は得点力の向上。特に背の高いディフェンダーに対しても得点を取れる技術が必要となる。3ポイントシュートも武器だが、ドリブルからの3ポイントシュートなどレパートリーを増やしていく必要がある。
グリズリーズでは現在、主にゲームの結果が決まった時間帯でのプレイタイムが与えられている状況。2ウェイ契約の選手は1シーズンで最大50試合までNBAでプレイできるが、チームとGリーグを行き来しながら実戦経験を積むことが重要だ。
Q. 八村塁選手の今シーズンはどうなりそうですか?
八村選手はロサンゼルス・レイカーズで引き続き先発メンバーとして安定した活躍を見せている。昨シーズンは自己最多の68試合に出場し、チームの重要な一員として定着。
特に3ポイントシュートは42.2%という高確率を記録し、チームトップの成績を残した。これにより相手のディフェンスが引き出され、ドライブからのプレーにもつながっている。
今シーズンの課題はディフェンス面の向上。レイカーズ全体にディフェンスの課題があり、八村選手の守備力向上がチームの天井を高めることにつながる。
新ヘッドコーチのJJレディックは元NBAプレイヤーで解説者としても活躍していた人物。戦術に精通したコーチで、アンソニー・デイビスを中心としたチーム作りを行っている。このチーム構想の中で八村選手がどう機能していくかが見どころとなる。
Q. 日本代表と八村選手の関係は今後どうなりそうですか?
八村選手の日本代表参加については複雑な状況がある。NBA選手としてのキャリアを優先しながら代表活動に参加する場合、チーム全体のバランスに影響が出ることも。
実際、八村選手は東京オリンピックやパリオリンピックの準備期間中、全ての練習試合に参加したわけではなく、NBAでの立場を優先する形となった。
八村選手自身が日本代表に全力でコミットできる状況であれば歓迎されるべきだが、限定的な参加となる場合は無理に招集する必要はないという意見もある。
また、八村選手のNBAでのキャリアと収入を考えると、国際大会での怪我リスクも無視できない要素となる。最終的には本人の意向が最も重要な要素となるだろう。
Q. NBAはどれだけグローバル化していますか?
NBAには外国人枠の制限がなく、今シーズンは開幕時点で100人以上がアメリカ国外出身の選手となっている。これはリーグ全体の約4分の1を占める数字で、3シーズン連続で125人以上の海外出身選手がロスター入りしている状況だ。
出身国としてはカナダに続いてフランスが多く、特にフランスは「エイリアン」の異名を持つビクター・ウェンバニャマをはじめ、今後も有望選手を多く輩出すると見られている。
かつてのユーゴスラビア出身の選手たちも活躍しており、セルビアのニコラ・ヨキッチやスロベニアのルカ・ドンチッチなどが代表例。こうした流れの中で、日本人選手の活躍の場も広がりつつある。