PIVOT TALK BUSINESS
石丸伸二と考える教育改革。本丸は高校改革だ!
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2024年11月20日

地域政党の立ち上げを宣言した石丸伸二氏。日本の抱える教育、少子化などの大問題を解決するために、どんな政策が必要なのか?どうすれば、適切な政策を実行できるのか?雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏の提言を土台にして、語り合った。 <ゲスト> 石丸伸二 1982年広島県安芸高田市生まれ。2006年京都大学...
「高校教育が日本を変える」海老原嗣生×石丸伸二の対談から考える教育改革
今回のピボットでは、地方創生をテーマに海老原嗣生氏と石丸伸二氏の特別対談が実現しました。対談では高校教育改革を中心に、海老原氏が提案する「パレット総合高校」と「チャレンジ補習高校」というコンセプトについて熱い議論が交わされました。実現可能性の高い教育改革案として注目すべき内容です。


Q. 海老原さんが提案している高校教育改革の核心は何ですか?
日本で最も必要な教育改革は高校改革だと考えています。大学は改革が難しいのに対して、高校は首長の権限で大きく変えられるという特徴があります。現在の日本の高校は時代遅れになっていて、特に専門高校のバランスが産業構造と合っていません。例えば、農業高校が300校、工業高校が600校、商業高校も700校近くある一方で、IT系高校はわずか29校しかなく、水産高校の42校より少ないのです。また福祉・介護系の高校も、高齢化社会にもかかわらず非常に少ない状況です。
Q. 欧州の教育システムと日本の教育システムの違いは何ですか?
欧州の教育システムでは、義務教育の間に2割から4割の生徒が落第します。30人のクラスだと12人ほどがいなくなるような厳しい教育です。対照的に日本では落第率がほぼ0%で、誰一人取り残さない教育を行っています。韓国でさえ5%の落第率があり、30人クラスで2人ほどが落第するのに対し、日本の0%という数字は特殊です。
欧州では、9歳(ドイツ)または11歳(フランス)で進路選択の三者面談があり、勉強が苦手な生徒は職業訓練コースに進むよう早期に決められます。中学卒業時点でも「高校に進学せず中卒で終わりなさい」と言われる生徒が2割以上います。さらに高校に進学できても、勉強が苦手な生徒は職業専門高校にしか行けず、そこから一般大学への道は閉ざされてしまいます。
Q. 日本の教育システムの問題点とは?
日本の問題は、基礎学力が身についていない生徒も進級してしまうシステムにあります。算数や国語ができない子どもも自動的に進級し、中学では数学や文学を学ぶことになります。このように学力不足のまま次のステージに進むため「落ちこぼれの見殺し体制」が生じています。
その結果、大学に入っても基礎からやり直す必要があり、一部の大学では英語の授業の1回目でアルファベットから始め、16回目でようやくBe動詞が出てくるような状況です。算数も九九から始めて演習率で終わるなど、大学1年生が中学・高校のやり直しをしている実態があります。
Q. 「パレット総合高校」とはどのような高校ですか?
パレット総合高校は、専門高校と普通高校を統合した新しいタイプの高校です。商業高校と工業高校と普通高校を合わせて、生徒が様々な分野から科目を選べる総合的な学びの場です。
例として新宿の山吹高校があります。ここでは商業高校と工業高校、普通高校の要素が統合され、さらに夜間コースもあるため朝8時30分から夜9時まで授業が受けられます。工業系では単にモノづくりだけでなく情報処理なども学べ、商業系では簿記、行政書士、司法書士、通訳などの資格取得も可能です。
このような高校では、例えば普通科で世界史や国語を学びながら、数学は勉強せずに英語と情報処理、司法書士、簿記など実務的なスキルを身につけることができます。こうした柔軟な学びの仕組みが魅力となり、早稲田・慶應などの難関大学にも毎年50人ほど合格者を出しています。
Q. 「チャレンジ補習高校」はどのような高校ですか?
チャレンジ補習高校は、学習につまずいた生徒や不登校だった生徒などを対象に、基礎学力から丁寧に教育する高校です。東京都では「チャレンジスクール」として既に実施されており、桐ヶ丘高校などが実績を上げています。
特徴的なのは、カリキュラムの柔軟性です。高校では自由に設定できる時間が多く、26単位分を自由設計できます。さらに生徒の学力に合わせて16レベルに分け、その中をさらに進路別に分けるなど、ほぼ個別学習に近い形で教育しています。
これにより、引きこもりや不登校だった生徒も社会に出る準備ができます。このような高校を10校、20校と増やしていくことで、多くの若者を救えるはずです。
Q. 高校改革は現実的に実現可能なのでしょうか?
高校改革は首長(都道府県知事や政令市市長)の権限で実現可能です。特に都立高校の場合、知事の権限で改革を進めることができます。
石丸氏は「都知事ならできる」と強調し、海老原氏の提案に賛同しています。ただし改革を実現するためには優秀な人材と首長の強い決意が必要です。
桐ヶ丘高校のような事例はあるものの、文部科学省の担当者が「一つ作るだけでヘトヘト」と言うほど労力がかかるため、集中的に取り組む覚悟が必要です。
Q. 石丸氏が秋田市長時代に行った改革はどのようなものでしたか?
石丸氏は秋田市長時代、公共施設の統廃合を積極的に進めました。当初は4%程度だった削減率が、退任時には10%に達し、計画中のものを含めると3割近くまで進んだといいます。
この改革が可能だった理由について石丸氏は「予算をつけなければいいだけ」と説明しています。新しい施設を作る場合は予算をつけて議会の承認が必要ですが、既存の施設をなくす場合は予算を配分しなければ事実上廃止にできるという仕組みを活用したのです。
また、「一期4年の間にめんどくさいことをすべて出しておいてほしい」と職員に伝え、長年塩漬けになっていた中学校統合や保育園の統廃合など難しい問題にも取り組みました。その際、批判は自分が一身に引き受けることで職員を守る姿勢を示しました。
Q. 教育改革と少子化対策はどのように関連していますか?
少子化問題の内訳は、未婚問題が6割、晩婚問題が3割、結婚後の問題は1割に過ぎません。そのため、単に「早く結婚して子どもを産め」と言うだけでは解決しません。
また、教育の質を高めることは少子化対策にも重要です。高校無償化など経済的支援は必要ですが、「無料でも教育の質が低ければ意味がない」という視点が重要です。質の高い教育を提供することが、結果的に次世代を育てる力になります。
さらに、高校での政治教育も重要です。石丸氏は市長時代、高校に100万円の予算を配分し、その使い道を生徒会長の権限にする取り組みを行いました。「これが一番の政治教育」と語り、若いうちから民主主義を体験することの大切さを強調しています。