
ビットコインは来年に3500万?
ビットコインは今後どこまで上がる?トランプ政権誕生で変わる暗号資産の未来
ビットコインの価格が大きく上昇している。トランプ大統領の再選を機に「トランプラリー」が起こり、一時9万ドル(約1,300万円)を突破した。この価格高騰はどこまで続くのか?暗号資産市場の専門家である楽天ウォレットの松田康生氏に、ビットコインの今後の見通しについて詳しく聞いた。

Q. トランプ政権誕生でビットコインが急騰した理由は?
トランプ政権誕生により「トランプラリー」と呼ばれる相場の急上昇が起きました。これには直接的な理由が2つあります。1つ目は、暗号資産業界に厳しい姿勢を取っていたゲンスラーSEC委員長(証券取引委員会委員長)が退任する見込みになったこと。2つ目は、トランプ氏が「アメリカが国家の戦略的備蓄としてビットコインを保有する」と発言したことです。
また間接的な理由としては、トランプ氏のマクロ政策が挙げられます。低金利、低課税、ドル安の3つはいずれもインフレ志向であり、これがビットコインに追い風になると期待されています。
Q. このビットコイン高騰はいつまで続くのか?
トランプ政権誕生による直接的な価格上昇は約1週間で一区切りついたと考えられます。しかし、これはあくまで始まりにすぎません。トランプラリーは2つの大きな動きの引き金になりました。
1つ目は需要面での変化です。選挙結果が確定したことで、機関投資家が動き出しました。説明責任を持つ機関投資家は選挙結果が不透明な間は動けませんでしたが、暗号資産に好意的なトランプ政権が確定したことで、ETF(上場投資信託)への資金流入が始まっています。
2つ目はより重要な供給面の変化です。ビットコインは「半減期」と呼ばれる4年周期で動いています。今年4月に半減期を迎え、ビットコインの新規供給量が半減しました。通常、半減期後は6ヶ月から1年ほどの調整期間を経て本格的な上昇期に入ります。トランプラリーはこの調整期間を終わらせ、本格上昇期への移行を早めたと考えられます。
Q. ビットコインの価格はどこまで上がると予想されるか?
来年(2025年)4月から10月の間にピークを迎え、3,500万円程度まで上昇すると予想しています。これは現在の価格(約1,300万円)から約2.7倍の上昇となります。
この予想は過去の半減期後の上昇率から考えると保守的な見方です。過去の半減期後の上昇率は、1回目が90倍、2回目が30倍、3回目が8倍でした。今回は半減期時点で1,000万円だったので、そこから3.5倍で3,500万円という計算になります。
ただし、アメリカ政府が暗号資産に好意的になり、自らビットコインを保有する可能性が出てきたことで、アメリカ国内の公的年金や外国政府などがビットコインを購入しやすい環境が整ってきています。これにより予想を上回る上昇もあり得ます。
Q. 今後のビットコインはどのような要因で動くのか?
これまでビットコインは主に供給要因(半減期による供給量減少)により4年サイクルで動いてきましたが、今回が最後の大きなサイクルになる可能性があります。理由は、半減期の影響が徐々に小さくなるからです。
最初の半減期では50ビットコインから25ビットコインへと大幅減少でしたが、今回は6.25ビットコインから3.125ビットコインへの減少です。次回はさらに小さくなり、供給減少のインパクトは徐々に薄れていきます。
今後は需要面の要因がより重要になります。具体的には、法定通貨(円やドルなど)の価値毀損に対するヘッジとしての需要や、各国政府・機関投資家の参入が市場を動かす主な要因となるでしょう。
Q. ビットコインは投資として魅力的なのか? 不安に感じる点は?
多くの人が疑問に思うのは、「ビットコインは本当に信頼できるのか」「今買って大丈夫なのか」という点です。ここで発想を変えてみましょう。なぜアメリカ人はこれほどビットコインを買っているのでしょうか?
ブラックロックのラリー・フィンクCEOは「アメリカドルは借金が増えすぎて価値が毀損している。ビットコインは法定通貨の価値毀損の影響を受けず、長期的な価値保存手段になる」と発言しています。
欧米では周囲に自国通貨が紙切れになった国からの移民が多く、通貨の信頼性に対する懸念が強いのです。日本円も第二次世界大戦前は1ドル4円だったのに、今は150円前後です。つまり円の価値は数十分の1になっています。
このような法定通貨の価値毀損に対するヘッジとして、ポートフォリオの1〜5%程度をビットコインに配分するという考え方が広がっています。単なるキャピタルゲイン狙いではなく、資産の一部として保有する発想です。
Q. 日本では税制面でどのような動きがあるのか?
現在、日本ではビットコインなどの暗号資産の売却益は所得税として課税され、最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)に達します。一方、株式などの金融商品は申告分離課税で一律20%です。
この不均衡を解消するため、暗号資産の法的位置づけを「資金決済法」から「金融商品取引法」に変更する議論が金融庁内で始まっています。これにより税率が20%に統一される可能性があります。
また、世界ではビットコインETFの導入競争が起きています。アメリカに続き、イギリス、香港、オーストラリア、カナダなどが自国でビットコインETFを立ち上げました。一方、タイや台湾はアメリカのETFを国内で販売する方針です。
日本としても、Web3を成長戦略と位置付ける以上、自前のビットコインETFを作りたいという思いがあります。しかし現状の税制では、ETFの方が税率が低くなるため、国内ビットコイン市場が収縮するという矛盾が生じています。この問題を解決するためにも、税制改正が検討されています。
Q. 今が買い時なのか?今後の見通しは?
投資タイミングについては、現在は4年サイクルにおける本格上昇期に入ったところです。来年のどこかでピークを迎えた後は下落局面に入ると予想されますが、そこまでは上昇トレンドが続く可能性が高いです。
ただし、上がったものは必ず下がるという原則は忘れないでください。長期的には、ビットコインの供給による4年サイクルの影響は薄れ、需要面の要因がより重要になってきます。
現在、ビットコインを保有している国は約5カ国、アメリカの公的年金で購入しているのは2州のみです。これが世界の200カ国、アメリカの50州に広がる可能性を考えると、まだ始まったばかりとも言えるでしょう。