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テスラ株続伸、賭けに勝ったイーロン・マスク
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2024年11月17日

トランプ氏当選確実となり、株価の高騰に沸く米国市場。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏に米国経済の展望を聞いた。 <ゲスト> 岡元兵八郎|マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 上智大学卒業後、ソロモン・ブラザーズ証券(現シティグループ証券)入社。東京、ニューヨーク本...
トランプ政権2.0で米国株と暗号資産はさらに上昇?専門家が解説
米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が圧勝し、マーケットにも大きな影響を与えています。テスラや暗号資産の急騰、規制緩和への期待など、投資家にとって注目すべきポイントが多数あります。マネックス証券の岡元兵八郎氏に米国株の見通しについて詳しく聞きました。

Q. トランプ大統領の勝利後、米国市場の反応はどうですか?
トランプ氏の勝利が確定してから、米国株式市場は非常に健全な動きを見せています。S&P500やニューヨークダウが最高値を更新していますが、これはアメリカ企業のファンダメンタルズが良好であることが基本にあります。第3四半期の決算発表は事前予想を上回る内容が多く、企業業績がしっかりしているという土台があります。
さらに、米国では待望の利下げが始まり、すでにピークから0.75%の利下げが行われたことも市場を後押ししています。大統領選挙については、どちらが勝つのかという不確実性がありましたが、トランプ氏がクリーンな勝利を収めたことで、その不確実性が市場から消え去ったことも好材料となっています。
Q. テクノロジー企業への影響はどのように見ていますか?
テクノロジー企業にとってはポジティブな展開になると考えられます。バイデン政権はGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)のような巨大テック企業に対して必ずしも好意的ではなく、規制強化の動きがありました。
特に、連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長は大手テクノロジー企業に対して規制強化を積極的に推進してきましたが、トランプ政権では彼女が辞任するか解任される可能性が高いです。現在進行中のテック企業に対する訴訟も和解に持ち込まれる可能性があります。
また、2016年のトランプ第1政権誕生時と異なり、今回はテック企業のトップ(AppleのティムクックCEO、GoogleのサンダーピチャイCEO、MetaのマークザッカーバーグCEOなど)がトランプ氏に祝辞を送っています。これは前回の教訓から、トランプ氏との良好な関係構築を目指す「大人の対応」と言えるでしょう。このような背景から、GAFAMを取り巻く環境は過去よりも良くなる可能性が高いと思われます。
Q. テスラ株はどのような影響を受けると思いますか?
テスラ株はトランプ氏の勝利が確定した後、わずか4日間で39%上昇しました。イーロンマスク氏はペンシルバニアの選挙集会やマディソンスクエアガーデンでトランプ氏支持の演説を行い、トランプ陣営にとって大きな助けとなりました。選挙キャンペーンでは個人的に約300億円の資金を提供したとも言われています。
なぜマスク氏がトランプ氏を支持したかというと、バイデン政権下でテスラが冷遇されたことが背景にあります。バイデン大統領がホワイトハウスで自動車企業のトップを招待した際、テスラは呼ばれませんでした。EVメーカーとしてクリーンエネルギーの先駆者であるテスラが招待されないのは不自然であり、マスク氏はこれに不満を持っていました。
テスラの時価総額は選挙前の11月5日に約8000億ドル(約121兆円)でしたが、11月8日には2年半ぶりに1兆ドルの大台に乗せ、11月11日には1124億ドル(約170兆円)まで増加しました。わずか4取引日で約49兆円も時価総額が増えたことになります。マスク氏は約12.8%のテスラ株を保有しているので、この上昇だけで個人的に約6.2兆円の利益を得たことになります。
Q. テスラの今後の成長可能性はどうでしょうか?
テスラには長期的な成長ストーリーがあります。単なるEVメーカーではなく、エネルギー部門(ソーラーパネル、エネルギー貯蔵システム)、ネットワークサービス(FSD:完全自動運転ソフトウェアのサブスクリプションモデル)、ロボタクシー事業、人型ロボット「オプティマス」など、多角的な事業展開を進めています。
さらに、世界で最も影響力を持つトランプ大統領のサポートが期待できることから、長期的な視点で見れば、テスラの株価上昇はここで止まらないでしょう。アークインベストのキャシー・ウッド氏は2029年のテスラの株価は2600ドルの価値があるという分析を行っています。
Q. トランプ政権の規制緩和によって恩恵を受ける業界は?
金融業界は大きな恩恵を受けると考えられます。2008年のリーマンショック後、ドッド・フランク法によって金融機関はコンプライアンス要員の増加など非ビジネス部門でのコスト負担が増えました。トランプ第1政権では金融規制が緩和されましたが、バイデン政権で再び強化されました。トランプ政権2.0では金融規制が再度緩和される可能性が高いです。
また、M&A(合併・買収)活動も活発になる可能性があります。バイデン政権ではM&Aに対して消極的でしたが、トランプ政権ではより認められやすくなるでしょう。これは金融機関、特に証券会社のM&A部門にとって収益増加につながります。
エネルギー分野では、石油・天然ガス業界が恩恵を受けるでしょう。トランプ氏は「ドリル・ベイビー・ドリル」(掘れ、掘れ、掘れ)と表現し、エネルギーインフラの建設や採掘権の確保を容易にすることを約束しています。特にLNG(液化天然ガス)の輸出に力を入れる方針です。
Q. 暗号資産市場への影響は?
暗号資産市場もトランプ政権の恩恵を受けると見られています。トランプ氏はビットコインのカンファレンスに参加したり、ビットコインバーで暗号資産を使って支払いをするなど、ビットコイン世代へのアピールを行ってきました。
バイデン政権下では、SEC(証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長が暗号資産に対して批判的なスタンスを取り、多くの暗号資産企業に対して訴訟を提起していました。トランプ政権ではゲンスラー委員長が退任する可能性が高く、暗号資産企業に対する規制が大幅に緩和され、現在の訴訟も取り下げられる可能性があります。
これらの期待からビットコインの価格は連日上昇し、9万3000ドル近くまで達しています。
Q. トランプ政権によるインフレリスクはどうなりますか?
トランプ氏は輸入品に関税をかけると公言しており、これによりアメリカの輸入コストや製造コストが上昇する可能性があります。このコスト増は最終的にアメリカの消費者に転嫁されるため、インフレ圧力を高める要因となります。実際に市場金利も上昇傾向にあります。
一方で、相殺要因もあります。生成AIなどの新しいイノベーションによる生産性向上はディフレ的です。また、トランプ氏が石油・天然ガスの生産を増やすことは、エネルギー価格の低下につながり、インフレ抑制につながります。したがって、必ずしもトランプ政権がインフレを引き起こすとは限らず、現時点ではインフレリスクがあるという程度の認識が適切でしょう。
Q. 今後のS&P500の見通しはどうでしょうか?
S&P500の2025年予想EPSを使った現時点でのPER(株価収益率)は約22倍で、これは歴史的に見ると高い水準です。しかし、2000年頃のITバブル期ほどではありません。
アメリカの企業業績は2024年から2025年にかけて前年比で約13%の増加、2025年から2026年にかけても約13%の増加が予想されています。つまり、2年連続で二桁成長が見込まれています。
また、規制緩和の効果も大きいと考えられます。アメリカでは1990年から2021年までの間に30万以上の規制が制定され、これはGDPの約12%に相当するコストがかかっていると言われています。規制緩和はこのコスト負担を軽減し、企業業績の押し上げ要因となります。
さらに、法人税の引き下げも企業業績にプラスの影響を与えるでしょう。FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利もピークを過ぎて下降トレンドにあり、市場をサポートする要因となります。
リスク要因としては、トランプ氏の予測不能な発言や政策転換、そして「トリプルビクトリー」(大統領職、上院、下院のすべてを共和党が制すること)による権力の集中が挙げられます。
しかし、トランプ氏の政策はアメリカをより良くするために行われるものであり、長期的には投資を継続することが良いでしょう。短期的なボラティリティ(価格変動)の高まりはあるかもしれませんが、長期的には米国株式市場は上昇傾向を維持すると考えられます。