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パワハラ境界線徹底解説
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2024年11月14日

パワハラ訴訟・労務に強い弁護士の梅澤康二氏が登場。 どこからがパワハラか?指導との違いは?プロに聞くパワハラ訴訟の最前線 <ゲスト> 梅澤康二|弁護士法人プラム綜合法律事務所代表 2008年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。2014年同事務所退所し独立。主な業務分野は、労務全般の対応、紛争等...
パワハラとグレーゾーン:職場での線引きガイド

Q. パワハラとは何ですか?法的定義はありますか?
パワハラは法律に明確に定義されているわけではありません。最近の法律で企業の体制整備の流れの中で、「職場での優劣関係を背景において、業務上適正な範囲を超えて、相手に精神的・肉体的苦痛を与えること」と定義されています。
Q. パワハラを行った場合、法的な罰則はありますか?
現時点で日本の法令の中でパワハラを社会的に罰する法律はありません。会社内での処分は、会社独自の懲戒処分であり、会社のルールとして秩序を乱した者に対するペナルティとして雇用上の制裁を与える民事的な行為です。これは社会の罰則ではなく、契約関係の中で発生するペナルティです。
Q. 明らかなパワハラと判断される行為には何がありますか?
まず、暴力は絶対にアウトです。手を出すことはどんな理由があっても正当化される余地はありません。次に明らかな暴言があります。「死ね」などの言葉や、人格を著しく否定するような「お前の家族はどうだ」「どういう育て方をしたんだ」といった発言、雇用不安を煽るような「このままだと首になる」「解雇してもいいんだぞ」といった言葉も一発アウトです。
Q. パワハラとグレーゾーン、どちらが多いですか?
圧倒的にグレーゾーンの方が多いです。相談者は「明らかにパワハラを受けている」というトーンで相談してくることが多いですが、実際に明らかだったケースはあまりありません。被害を受けている方は被害感情が強まる傾向があり、すべてがハラスメントに思えてしまうことがあります。
Q. パワハラと指導の境目はどこにありますか?
明確な基準はなく、ケースバイケースです。基準としては、①業務との関連性があるか、②業務上の必要性があるか、③その対応が常識的かどうか、の3つの視点で判断することが多いです。特に3つ目の「対応の相当性」は非常に曖昧で、個人の価値観や考え方が絡んでくるため、客観的な観点からの判断が重要になります。
Q. 冗談やいじりはパワハラになりますか?
具体的な状況と言動内容が重要です。上司と部下の間で付き合いが長く、信頼関係が形成されており、普段から軽口を叩き合うような関係の中でのいじりや冗談は、一般的にはパワハラとは判断されにくいです。しかし、長期間にわたって毎日繰り返されるような場合は、上司に悪気がなくても客観的に限度を超えていると判断されることがあります。
Q. 相手の外見について言及することはパワハラになりますか?
体型に言及することはパワハラというより、セクシュアルハラスメントの典型例として問題になる可能性があります。「デブ」「ブス」といった言葉は論外ですが、「最近太った」「ふくよかになった」といった遠回しな表現も、不必要に体型に言及する行為としてセクハラに該当する可能性があります。
Q. 「声が小さい」「暗い顔をしている」といった指摘はパワハラですか?
指摘をする理由によります。接客業やコミュニケーションが重要な職業では、表情や声の出し方についての指摘は業務上必要な正当な指摘といえます。しかし、他者とのコミュニケーションが少ない職務の人に対して同様の指摘をするのは不適切な場合が多いでしょう。
Q. 高すぎる目標設定はパワハラになりますか?
原則としてパワハラにはなりません。会社には利益を上げるという課題があり、その意味で労働者に求める基準としてノルマを課すことは原則として許されます。ただし、明らかに嫌がらせ目的で達成困難な課題を出し、それが達成されないことで相手の人格や労働者としての能力を批判するようなことを繰り返した場合には、ハラスメントになりうるでしょう。
Q. 上司の不機嫌さはパワハラになりますか?
原則としてパワハラにはなりません。不機嫌という言葉は評価であり、不機嫌で具体的に何をしたかが重要です。怒った表情をしているとか、いつもより声が大きいといった微妙な変化までパワハラと言うのは無理があります。しかし、不機嫌な日に些細なミスを見つけて皆の前で怒鳴ったり、業務上必要な連絡に返信しないといった場合は、業務上必要なコミュニケーションを正当な理由なく取らないことになるため、ハラスメントと言いやすくなります。
Q. リモートワークから出社を命じられることはパワハラですか?
原則として、会社には出社を命じる権利があります。例外的に、雇用契約の中で「勤務場所は自分の好きな場所でよい」という合意があった場合には、会社は正当な理由なく出社を命じることは難しくなります。ただし、募集要項で「リモートOK」と書いてあっても、実際の雇用契約や就業規則に何が書かれているかが重要です。
Q. 本人の望まない人事異動はパワハラになりますか?
基本的にはパワハラにはなりません。人事異動は会社の基本的な人事権の行使であり、原則として会社の裁量的な判断に委ねられています。例外的に、退職に導くための嫌がらせ目的であることが客観的に明らかな場合や、業務上の必要性が全くないのに突然命じられる場合などの特殊なケースでは問題となる可能性があります。
Q. 上司だけでなく、同僚や部下の行為もパワハラになりますか?
理論的にはなります。パワハラは「職場での優劣関係を背景に置く行為」ですが、この優劣関係は職制上の優位・劣位だけでなく、社歴の長さや知識・経験の深さなどの事実上の優劣関係も考慮されます。ただし、優劣関係がない場合でも、人の悪口を言って人格を否定するような行為は単なるハラスメント行為として問題になることはあります。
Q. パワハラを受けていると感じたら、どうすればいいですか?
まず当事者同士でコミュニケーションを取ることが大切です。「こういう言葉が自分には辛い」「このように受け止めてしまっている」と対話し、誤解が解ければ精神的負担も軽減されます。対話ができない、または改善されない場合は、会社の窓口に苦情申し立てたり、上司の上司に相談するなど第三者を巻き込む形で問題改善を図ります。それでも改善されない場合は、弁護士や労働組合などの外部機関に相談するという段階的な解決方法が望ましいです。
Q. パワハラの加害者と指摘された場合、どう対応すべきですか?
感情的にならないことが大事です。相手が不快な思いや不安を覚えていると申告してきた場合、それを引き起こしてしまったことに対して素直に謝罪することが非常に重要です。
Q. パワハラの証拠として有効なものは何ですか?
録音や録画は使いにくく、信用性があまりないことがあります。最も使いやすく強力なのはメールです。明確に記録されるため有効な証拠となります。ただし、長期間にわたる些細ないじりなどの場合、すべてを録音するのは難しく、証拠として提出するのも困難です。