PIVOT TALK BUSINESS
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2024年11月1日

もし、トランプ氏が当選したらどうなるのか。もし、ハリス氏が当選したらどうなるのか。それらを考える上で基礎となるアメリカ「政党」の知識を中心に、米大統領選について、元外交官で著述家の山中俊之氏が解説する。
アメリカ大統領選挙が近づく中、日本のメディアではハリス氏優勢の報道が目立つ。しかし実際はトランプ氏の支持も根強いという。政権交代が起きた場合、日米関係や世界情勢にどのような変化が起きるのか。元外交官で豊富な国際経験を持つ山中俊之氏に聞いた。

日本のメディアではハリス氏よりの報道が多いが、実はトランプ氏が意外と強いと感じている。理由はいくつかある。まず、アメリカには白人労働者層を中心に民主党政権への不満を持つ層が非常に多い。これは経済政策を含めた様々な点での不満だ。
また、トランプ支持者は自分の支持を公言しにくい雰囲気がある。駐在員や企業関係者など一定の社会的地位がある人々の間では、トランプ支持を表明することに抵抗があるようだ。そのため表面的な支持率調査では見えない潜在的なトランプ支持層が存在する可能性が高い。
一定の社会的地位がある層、特にビジネス界や国際的な環境で働く人々の間では、トランプ支持を表明することは難しい状況がある。これは彼の政策や発言に対する国際的な評価と関係している。
しかし、実際には多くのアメリカ人がトランプの政策に共感している。特に経済政策や移民政策については、メディアで報道されている以上に支持する人々が存在する。このギャップが選挙結果を予測しづらくしている要因の一つだ。
世界的に激変が起きる可能性が高い。まず国際政治においては、トランプ氏はイデオロギーや価値観よりもビジネス的な「ディール」(取引)を重視する傾向が強い。つまり、民主主義かどうかといった価値観よりも、取引ができるかどうかが重要になる。
例えば、ウクライナ問題では、プーチン大統領と取引をして戦争を終わらせる可能性がある。これはロシア寄りの形での停戦につながる恐れもある。また、北朝鮮の金正恩委員長とも取引する可能性がある。このようなアプローチは、戦後の国際法秩序を重視するバイデン政権とは大きく異なる。
日米安保についても、在日米軍基地の負担増を要求してくる可能性が高い。現在、日本は防衛費をGDP比1%から増額する方向に動いているが、トランプ政権になればさらなる負担増を求められるだろう。日米の安全保障の枠組み全体が変わる可能性もある。
最も大きな変化は脱炭素政策だろう。トランプ政権になれば、アメリカの脱炭素への取り組みは大きく後退する可能性が高い。前回の政権でもパリ協定から離脱したように、国際的な環境枠組みからの離脱も考えられる。
これにより、世界的に石油や化石燃料の重要性が再び高まる可能性がある。少なくとも4年間は、世界の脱炭素の動きが鈍る可能性が高い。
ただし、ビジネスのやり方自体が劇的に変わるわけではない。アメリカの法律や司法制度はしっかりしているため、大統領が変わったからといって、ビジネス環境が根本から変わることはないだろう。
イスラエルとハマスの紛争については、トランプ政権になるとさらにイスラエル寄りの政策が強まる可能性がある。しかし、ウクライナ紛争と異なり、ハマスはアメリカの言うことを聞かないため、トランプ氏が主張するような「即座に終わらせる」ことは難しいだろう。
むしろ、アメリカがさらにイスラエルを支援すれば、ハマスはより強硬になり、国際社会のアメリカに対する批判も高まる可能性がある。中東紛争に関しては、トランプ政権になるとむしろ混迷を極める可能性が高い。
基本的にバイデン政権の政策を引き継ぐと予想される。トランプ氏ほどの極端な変化はないだろう。
注目すべき点としては、ハリス氏がインド系であることだ。母親がインド出身であるため、アメリカとインドの関係が強化される可能性がある。インドは世界最大の人口大国であり、この二つの大国がより結びつけば、国際政治にも大きな影響を与えるだろう。
首脳会談では個人的な相性も重要だ。共通の文化的背景があることで、インドとの関係構築においてプラスに働く可能性がある。
日本はもっと多様性を受け入れる国であることをアピールしていく必要がある。アメリカのメディアでは、日本について「移民をあまり受け入れない」「男女不平等」といった枕詞がよく使われる。こうした印象を変えていくことが重要だ。
ビジネスの世界でも、ダイバーシティの重要性は増している。アメリカではイノベーションの多くが移民や移民2世によって生み出されており、シリコンバレーの成功企業の多くも移民が創業している。日本もこうした多様性を受け入れる姿勢を示していくことが、国際社会での評価を高めることにつながるだろう。
一方で、欧米で起きている移民政策の課題も冷静に分析し、何を学び、何を避けるべきかを判断することも重要だ。
外交官は現地での情報収集を重視している。メディア報道だけでなく、実際に現地の集会に足を運び、人々の声を直接聞くことで、より正確な情勢判断を行っている。
例えば、4年前と比べて集会での雰囲気がどう変わったかといった経験的な情報は非常に重要だ。特にアメリカ大統領選挙のような重要な選挙では、各国の外交官が細かく情報を収集し、本国に報告している。
収集した情報は各国の外交本部に集約され、必要に応じて関連する在外公館にも共有される。情報の分析と対応の判断は、基本的に本国の外交本部が中心になって行っている。