JAPAN FUTURE DISCUSSION
小泉選対委員長が語る、大逆風の総選挙
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2024年10月22日

文藝春秋とPIVOTのコラボレーションによる新企画がスタート。初回のゲストは、小泉進次郎氏。裏金問題で大逆風にある自民党は、選挙戦をどう戦うのか?総裁選の負けから学んだことは何か?選対委員長として陣頭指揮を取る、小泉氏を直撃した。 <ゲスト> 小泉進次郎|自民党選対委員長 1981年神奈川県横須賀...
小泉進次郎氏×新谷学氏 対談「選挙の裏側と政治報道の実態」
「政治と金の不信感を払拭するには国民の審判を受けた上での政策推行、政権運営でないと推進力は出ない」—小泉進次郎氏は、衆議院選挙の真っただ中で、選対委員長としての思いを語った。

Q. 選対委員長としての毎日はどのようなスケジュールですか?
応援のスケジュールは過酷だ。例えば昨日は朝、静岡に行き、その後愛知で2か所回った。いったん愛知を出て岐阜を超えて滋賀に入り、岐阜で1か所演説をして、再び愛知に戻って名古屋で2か所回った。
今日は7人、明日は10人の候補者を応援する予定だ。特に明日は神奈川だけで10人を回る。
選挙期間中は「参決状態」だ。移動中の車内でも、地元の演説会とFaceTimeで繋いだり、電話でマイクを当ててもらって「今移動中ですが、皆さんお集まりいただいてありがとうございます」と話したりする。応援弁士の調整をしたり、電話での支援を求めたりしながら、次に回る場所の情報もインプットする。
Q. 情勢はどうですか?各地で有権者からの厳しい声も多いのでしょうか?
実際の現場では反応は明るく前向きなものをいただいている。ただ、大阪は象徴的な全敗区だ。維新に全選挙区負けているので、初日に大阪に入ったのは「信頼が地に落ちた自民党が再スタートすべきは0から始める。0から1だ」という思いも込めてのことだった。
維新の特徴は選挙が始まってから実力を発揮し、後半に巻き返してくることだ。大阪ではぜひ1議席でも奪還したいという思いがある。
Q. 自民党総裁選が盛り上がったのに、なぜまだ情勢が厳しいのでしょうか?
今の時代はあらゆるものの消費速度が非常に早くなっている。1週間前に何が起きたか覚えていないのが現状だ。「そういえば総裁選あったよね」という感じになっている。
政治と金の不信感を払拭するには国民の審判を受けた上での政策推行、政権運営でないと推進力は出ない。今回の衆議院選挙では「自民党は本当に反省しているのか」「本当に変わろうとしているのか」を候補者一人一人で見られている感じがする。
Q. いわゆる「裏金議員」の処遇について、当初は全員公認されるという報道があったのに、12人が非公認になりました。実際はどうだったのですか?
これは報道のあり方をよく考えていただきたい。朝日新聞などは一面で「原則公認」と報じたが、実際は違った。しかし、違ったことを同じように一面で「違いました」とは報じない。
政治報道において、メディア側が圧倒的な力を持っている。ジャーナリズムも実は非常に大きな権力で、様々な世論変化を起こす。
今回も石破氏が「2点3点」と言われているが、2点3点はメディアの方だ。報道が2点3点している。途中過程の議論やブレストが報道されて、「これが2点3点」と言われたら自由な議論などできない。
Q. 非公認と公認の線引きはどうなっていたのですか?
政治とカネの問題は執行部が追うべき責任であり、新人候補など全く関係ない議員にまで批判が及ぶのは避けるべきだ。
今回、対象の議員全員に重複立候補を認めないことにしたのは、石破総理(総裁)の判断も含めて、この選挙で再起につなげたい、再出発につなげたい、身を清めたいという思いからだ。
例えば敗者復活で比例復活した場合、「地元の人は選んでいないよね」と言われ続ける政治活動になる。それが本当にその方にとってプラスなのか。むしろ見放しているのではなく、小選挙区で勝ってきてほしいという思いがある。
Q. 非公認の人たちへの応援はどうなっていますか?
自民党の統一的な対応として、役員会のメンバーや閣僚は応援に行かない方針だ。それをしてしまうと、「非公認」という判断が国民から見て分かりにくくなってしまう。
高市氏は執行部でも閣僚でもないため、自分の判断で応援に行った。議員一人一人の判断はあると思う。
もし非公認の候補が当選した場合の扱いについては、選挙後の判断になる。一人一人が当選するか落選するか、また選挙全体の獲得議席がどうなっていくかを見てからだ。選挙は終わってみないと分からない部分が多い。
Q. 勝敗の定義は何ですか?また、何が勝負を分けると思いますか?
過半数、これが一つの目標だ。
勝負を分けるのは都市部だ。東京は30選挙区、神奈川は20選挙区あり、合わせて50選挙区になる。地方は1県当たり2~3選挙区というところも多い。東京と神奈川で例えば半分落とせば25議席を失うことになる。
だからこそ議席の多いところで、特に接戦区にある候補者が踏ん張れるかどうかが重要だ。今日は千葉、埼玉、東京で計7人、明日は神奈川だけで10人を回る予定なのも、首都圏で数が多いところで一議席でも多く、一票でも多く小選挙区で勝ってもらいたいからだ。
Q. 100人以上も応援するとなると、一人一人の情報を把握するのも大変では?
各地域の情報を得るために様々な工夫をしている。例えば静岡の掛川では、一番茶の価格が下がっていて茶農家が大変な状況だ。海外では日本の抹茶に引きが強いが、スターバックスなどに供給するには認証が必要で、それには従来の慣行農法ではなく有機農法に変えなければならない。その転換には約3年かかるため、その期間の支援策を充実させる必要がある—という具体的な話をすると「よく勉強している」と喜ばれる。
情報収集は、自民党の職員がまとめてくれる資料もあるが、地域に住む方に電話するのが一番リアルだ。全国で青年局長も務めていたので、各地域に仲間がいる。また、現地で待っていてくれるタクシー運転手から移動中に聞く情報も非常に貴重だ。
Q. 選挙は好きですか?
政治家にとって選挙は戦場に出るようなものだ。今日も自民党本部に爆発物が投げ込まれ、その後に総理官邸に車が突っ込んだ。安倍元総理の件もあり、岸田政権時代にも爆発物が投げ込まれたことがあった。そのため今は非常に厳しい警備体制になっている。
こうした緊張感の中で、他の瞬間にはないようなテンションやアドレナリンが出るという感覚はあるが、それを「好き」とは言えない。あまりにもしんどい。
選対委員長としては初めての選挙戦だが、感じるのは自分が候補者であることに加えて、党全体の選挙を見る立場としての言い表せない重さだ。感覚としては衆議院小選挙区の候補者であることに加えて、まるで参議院全国比例の候補者のような気持ちになる。全国どこに行っても自分の選挙区の有権者のような感覚になる。
Q. 今回の選挙の特徴は?
今回の選挙は、選挙区ごとに全く状況が違う。一律の傾向は感じられない。相当選挙区ごとの要素が色濃く出ている。例えば地元の地方議員が割れているとか、最近行われた市長選挙での立場の違いが選挙運動における人工の熱量の差になっているなど、個別の要因が大きい。
今回の選挙は、自民党の議員の中での非公認問題、重複立候補を対象議員に認めていないという異例の形に加えて、政治とカネの問題の影響もあり、一人一人のこれまでの活動の中での「自力」が個別の情勢に大きなばらつきを生んでいる。
Q. メディアの選挙報道についてどう思いますか?
報道がばらついている。自民党単独過半数、過半数割れ、自公過半数など、様々な予測が出ている。同じ生データでも係数が違うと全く違う見出しになることもある。
分かっていることは「選挙は最後まで分からない」ということだけだ。選対委員長としては最悪のシナリオを想定して、それでも一議席でも多く取るという姿勢で臨むしかない。
選挙期間中は公平性が問われるため、深い政策論争が報道しにくい側面もある。討論会でも各党が均等に発言しなければならず、一人あたり30秒でまとめるような形では政策論は深まりにくい。
ただ、候補者は選挙区で実際にしっかりと政策を訴えている。有権者には街頭演説や集会、SNSの発信を積極的に見てほしい。以前よりも候補者情報は格段に得やすくなっている。