PIVOT TALK FOOTBALL
最終予選レビュー:日本代表の収穫と課題
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2024年10月20日

サウジアラビア戦に勝ち、オーストラリア戦で引き分けたサッカー日本代表。この2戦から見えてきた収穫と課題は何か?レオザ氏、ミムラ・ユウスケ氏、垣内一之氏に語ってもらった。 <ゲスト> Leo the football|シュワーボ東京監督 1986年福島生まれ。YouTubeのチャンネル登録者数は29...
サッカー日本代表 サウジアラビア戦とオーストラリア戦を専門家が総括!3バック定着の強みと弱点とは
サッカー日本代表がワールドカップ最終予選で実施したサウジアラビア戦、オーストラリア戦の2連戦。スリーバックが定着しつつある日本代表だが、どのような強みと課題があるのか。専門家たちが詳細に分析した。

Q. サウジアラビア戦の結果をどう評価する?
サウジアラビア戦はアウェイながら内容の良い試合だった。スタッツ上ではシュート数がサウジの方が多かったものの、日本はずっと守っていたわけではない。
スリーバックが定着してきたのが大きい。守備時にはファイブバックになり、上田や安田選手が後ろを見ながらバランスを取り、中盤を抑えつつ、前にずれられる時だけずれるという形で守っていた。
この「後ろ重心」のシステムと選手の考え方が、サウジのような簡単にボールを離さないチームに対して有効に機能した。アウェイでもホームでも使える便利なシステムだが、より強い相手に押し込まれ続けた場合にどうなるかは別の話になる。
Q. オーストラリア戦はどのような試合だった?
オーストラリア戦は1-1の引き分けだったが、オーストラリアのシュートは1本だけで、それも前半7分のフリーキックからのものだった。流れの中からのシュートは0本、枠内シュートも0という、日本の守備面では圧倒的に上回った試合だった。
日本は同じくスリーバックで、サイドを何度も破っていき、多くのチャンスを作ったが、ゴール前で決め切れない試合展開だった。オーストラリアが引いて守り、身長の高い選手たちがゴール前に集まる守備形態になると、日本は崩すのに苦労した。
Q. 日本代表の攻撃面での課題は?
オーストラリア戦では、久保選手が「縦に行かざるを得ない心理があった」と語っていた。しかし、ドリブルで突破しても相手のカバーが来るため、単独での打開は難しかった。
専門家の意見では、「日本はウイングが1対1で仕掛けてチャンスを作れるプレイヤーがいるが、頭が贅沢になりすぎている」と指摘。サポートが少なく、結果として久保選手に全く援護が行かない状況も見られた。
オーストラリアが引いて守った際、日本の選手たちは個人ベースで「スーパープレーをしろ」という思考になりがちだが、実際には逆サイド展開でスペースを作り、オーバーラップを使うなど、別のプランニングが必要だった。
特に前半はグラウンダーのクロスが少なく、高いクロスが多かったが、これはオーストラリアの長身ディフェンダーが有利な状況を作ってしまった。
Q. クロス戦術について、どのような改善点がある?
高いクロスに対して「大きい選手に高いクロスは無理」という考え方が一般的だが、専門家によれば実はそれも誤解だという。助走をつけて飛び込めば、ディフェンスが下がった状態では相手は静止ジャンプしかできないため、攻撃側に有利な場面もある。
しかし、問題はクロスの入れ方や入れるまでのデザインが不足していること。「クロスを出す久保や見とまが突破したところへのクロスの入り方のパターン」や「突破できない時のインスイングクロスへのパターン」などを練習していれば、より効果的な攻撃ができたはずだ。
また、クロスをうまくデザインすれば、クリアがうまくできずに近くでミドルシュートの機会も生まれる。「大きさがない」という考えだけで思考が止まると、解像度が上がらなくなる。
Q. サイドチェンジが少なかった理由は?
日本が押し込む展開になると、相手チームは一方のサイドに寄ってくる。その時、相手が寄っていない反対側には浮いている選手がおり、そこを早く使うことが重要だが、前半のオーストラリア戦ではサイドチェンジが少なかった。
これは日本のサッカー文化として「同サイドで崩しきる」考え方が根付いていることが影響している。綺麗に崩したいなら反対サイドを使い、綺麗に崩せないならクロスに勢いをつけて入る方法があるが、そういった戦術的な約束事が不足していた。
三苫選手のブライトンでは逆サイド展開がよく行われており、それは「決め事があるから」と専門家は指摘。日本代表では選手一人一人の考えが異なり、チーム全体の戦術的な統一感に欠ける部分があった。
Q. 日本代表のディフェンスラインの特徴は?
専門家によれば、日本代表のスリーバックは守備時にはファイブバックになるが、センターバックとしての技術力は高い。しかし、後ろからボールをつなぐ際に必要なのは「相手のプレスをかわす」だけでなく、「どういう意図を持ってやるか」という点。
例えば、相手の布陣を見て「こっち側が薄いからこっちに」という判断や、「自分のところを経由するよりも1個飛ばした方が逆サイドフリーの選手に早くボールが行く」といったコーチングができるレベルまで行くには、富安選手の復帰などが待たれる状況だ。
最終的には、富安選手を右サイドに置いた4センターバック並べた形が森保監督の理想なのではないかという見方もある。アーセナルも全員センターバックの布陣を取ることがあり、3バックにも4バックにもなれる柔軟さを持たせようとしている。
Q. 遠藤航選手の不在はどう影響した?
遠藤選手がいれば、彼が最終ラインに下がり、森田選手がもっと攻撃的なポジションを取れたはずだ。森田選手は「田中選手と組む時は攻守半々、遠藤選手と組む時は自分が攻撃的、鎌田選手と組む時は自分が守備的」というカメレオン的な役割を担っている。
今回のオーストラリア戦では、森田選手が下がって田中選手を前目にしようとしたが、田中選手は初めての先発で気を使った部分があった。後半には工夫して良くなったが、バランスを崩すことへの警戒感があった。
遠藤選手のメンタリティはレベルが違い、逆境でも自分にできることにフォーカスし、周りにコーチングもできる。トミアス選手や遠藤選手がいるとチームの「背骨がぶっとくなる」効果がある。
Q. 日本代表の戦術的な方向性をどう見る?
日本代表の課題は「誰でも中心になれる強み」をどうまとめるかという点。三苫選手中心にしても、久保選手中心にしても、伊藤選手中心にしても、それぞれ中心になれる選手がいる。
そのため、固執した形ではなく、「軸を作って遊びがある形が必要」という指摘がある。スター集団にはルールが必要で、決め事をきちんと作ることが重要だ。
また、森保監督の特徴として「選手を尊重する」点があり、選手の意見を吸い上げてワールドカップでもシステムを変えた。しかし、全員が中心になれる状況で、監督がどう方向性を決めるかが重要になってくる。
Q. 森保監督の評価はどうか?
専門家の評価では、森保監督は「選手の能力にバフもデバフもかけない人」という見方がある。相手が崩れてくれたり、キーパーが止めてくれたりすれば良いが、相手がちゃんと日本対策してきたら対応が難しいという点が課題だ。
ただし、日本の選手の質が上がっていることを考えると、「問題を起こさない監督」という点ではマッチングが良くなっている。以前の日本は突破力がないためコンビネーションの国だったが、今は全員が突破を求めるレベルになっている。
また、森保監督の長所として、選手のメンタル面でのマネジメントがある。「選手の気持ちをしっかり保つ」ことを重視しており、これは本大会までに崩壊させずに、本大会の時期に調子の良い選手と軸の選手でベストを出すという考え方だ。