KUROFUNE
楽天三木谷の労働環境改革
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2024年10月17日

日本に住む外国人が、「ニッポン」の文化や経済をテーマに議論。 今回のテーマは「労働環境」 <ゲスト> ○可児俊信|千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授 東京大学卒業後 1983年明治生命保険相互会社入社。 1991年株式会社明治生命フィナンシュアランス研究所に出向し福利厚生や企業年金...
働き方改革の現在地:有給取得率向上、解雇規制緩和、AI労働環境の未来

Q.日本の職場環境は世界と比較してどうなのでしょうか?
日本の職場環境は世界と比較すると厳しい現実が浮かび上がる。アメリカのギャラップ社による「グローバル職場環境調査」では、仕事への熱意や職場への愛着がある社員の割合が日本はわずか5%程度で、145カ国中最低水準が4年連続続いている。また、パーソル研究所の2023年調査でも「働く幸せを感じる割合」が他国と比較して著しく低い。
Q.日本人が有給休暇を取りにくい理由は何ですか?
調査によると、日本人の約7割が有給取得にためらいを感じている。その理由として最も多いのが「みんなに迷惑がかかると感じる」(58.7%)、次いで「後で戻って忙しくなる」(42.3%)、「職場の雰囲気で取得しづらい」(36.4%)となっている。また「上司がいい顔しない」(15.7%)や「昇給や査定に悪い影響がある」(8.4%)といった懸念もある。
これに対し専門家の可児氏は「社員本人は休むことは悪くないと思っていても、周りの同僚がそう思っていないのではという忖度があって休みづらい」と分析する。解決策として「一番手っ取り早いのは上司が率先して休むこと」と提案している。
Q.アメリカやフィンランドの休暇取得の考え方はどう違うのでしょうか?
アメリカでは有給取得時に理由を述べる必要がないという。アナンヤ氏によれば「アメリカは結構その働いた分有給取れるようになる。日本はアメリカと違って祝日が多いので、その分休んでるんだという強制的にみんな休まないといけないという概念がないと休まない」と語る。
一方、フィンランド出身のラウラ氏は「フィンランドは自分のプライベートの時間を使って皆と飲むという発想がなく、働いて休むことを前提に引き継ぎをちゃんとして、お互い様なので皆で分担してやる」と説明。さらに「プライベートは会社のものではないという考え方で、休みにネガティブな印象がないし、理由をつけないと休めないというのは会社に所有されている気がする」と日本の労働観との違いを指摘した。
Q.日本の解雇規制緩和の議論についてどう考えればいいですか?
自民党総裁選でも議論された解雇規制緩和について、カリス氏は「日本を一番ダメにしたのは終身雇用」と厳しく指摘。「結果が全てで、プロなのだから結果を出さないと当然別の適材適所の場所へ行くべき。日本はなんとなく同じところに座っているだけで10年、20年いて高い給料をもらい、優秀な若者の給料で苦しんでいる。それはおかしい」と主張する。
可児氏も「工業の国だった80年代はみんなが同じように働くのに向いていたが、2000年になって個性や能力を活かす産業構造になり、工業時代のままの働き方が邪魔になってきた」と分析。「クビにできないということは採用に慎重になってしまう。解雇しやすくなれば思い切って採用できるようになり、雇用の流動化や産業経営の活性化につながる」と説明した。
Q.フィンランドの「コーヒーブレイク」とは何ですか?
ラウラ氏によれば、フィンランドでは飲み会の代わりに「コーヒーブレイク」がコミュニケーションの場として重要な役割を果たしている。「会社に必ずコーヒールームがあって、そこに好きな時に休憩しに行く。効率が上がるだけでなく、いろんな社員と話すきっかけになり、会議と違ういろんなイノベーションが生まれる」と説明した。
この習慣はプライベートの時間を使わずに社内コミュニケーションを促進する効果があり、「イノベーションが生まれるというデータもある」とラウラ氏は付け加えた。可児氏も「日本は社員食堂にそういう役割を与えている会社もあり、社員食堂を無料にして集まりやすくするなど、社員のコミュニケーションの場にしようという動きがある」と述べている。
Q.外国人社員の採用が日本企業にもたらす変化とは?
ラウラ氏は楽天での経験から「三木谷さんの採用方法は面白い。あえて空気を読まない人というか、他の国の働き方も見ている人を中に入れることで皆の働き方を改善する」と評価。「私だけではないと思うが、入った時はほぼその部署に外国人はいなくて、帰国子女だったり外国人を入れたことで、例えば休みが取りやすくなったり、ジャケットなしで営業ができるようになったりした」と変化を語った。
さらに「日本人だけだと違うことを言った人になりたくない。外の人を入れると、外から変えていくというか、日本人も結局楽になる」と指摘。これに対し司会者が「ラウラさんを皆入れればいいんですね、会社に」と冗談めかして言うと、「もちろん全ての会社に入れないし、誰かパイオニアを作るしかない」と返答した。
Q.AIの進化により労働環境はどう変わっていくのでしょうか?
カリス氏は「そもそも有給どころか人間が働かなくていい社会が来る。有給とかそんなのはバカみたいな議論が行われた時代が5年前、10年前にあったと将来の人は思うだろう」と予測。「ベーシックインカムになると思う。20年くらいかかるが、そこまで行ったら結局自分がやりたいことをやるだけ、より高いお金が欲しいから働いているだけという風に両極端に強化する」と展望を示した。
また「1年前でもチャットGPTを使っている人はほとんどいなかったが、今はみんな使っている。この1年でこれだけ変わったのなら、次の1年、3年、5年でどうなるか。AIはどんどんあらゆるところに普及して在り方をまるっきり変えていく」と急速な変化を予測している。
Q.日本の労働環境を改善するためのアドバイスは?
アナンヤ氏は「自分のキャリアをどう進めていきたいのか真剣に考えることが大事。キャリアアップに合わせてどう進みたいのか考えていない人が多い」と指摘。
カリス氏は「自分の理由で生きることが大事。自分はどうしたら価値を発揮してこの社会で自分なりの幸せを見出しながら生きていけるのか、そういった観点が大事」と述べた。
ラウラ氏は「働き方改善というと働くことが人生の全てという風になりつつあるが、それよりも生き方改善なのではないか。働くことも重要だが、その後にやるとか自分のためになるものも見つけると、働く人の幸福度も上がるし会社のためにもなる」と提案。「上司レベルでリーダーシップを持って上司も休むと部下も休みやすくなる」と付け加えた。
可児氏は「会社の立場からいうと、いろんな人が働くので、いい人をいかに取るかも含めて尖った会社にしていく。その中身は普通だけど休みが取れるとか、社員がやりたいことを会社が補助するなど、尖った会社にして希望する社員を集めれば、社員も会社もウィンウィンになる」とアドバイスした。