PIVOT TALK BUSINESS
観光業の給料を上げる方法。DXを進めよ
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2024年10月3日

インバウンドブームに沸く日本。しかし、星野リゾートの星野佳路代表は「円安効果が大きい」と指摘する。現在のホテルブームはバブルなのか?観光業の人手不足を解消するために何が必要なのか?星野代表と、FAV HOTELを運営する霞ヶ関キャピタルの緒方秀和取締役に聞いた。 <ゲスト> 星野佳路|星野リゾート...
ホテル業界のDX革命:煩雑な業務から脱却する鍵とは
観光産業における人材不足、予約システムの遅れ、地方での交通アクセスの課題...。日本のホテル業界が抱える問題点は多岐にわたります。業界の変革にはDXが不可欠ですが、単に既存の業務をIT化するだけでは不十分です。本質的な業務改革と併せたDXとは何か、星野リゾート代表の星野佳路氏とfav hospitality group代表取締役の緒方秀和氏に聞きました。

Q. ホテル業界に必要なDXとは何でしょうか?
DXというと特殊なサービスを考えがちですが、本当に必要なのは「今までできていたことをいかに便利に世界標準でできるか」という点です。交通機関やホテル、レストランの予約をオンライン上で簡単にできるようにすることが重要です。
既存の複雑で効率の悪い業務をそのままIT化するのではなく、まず業務を徹底的に見直し、効率化し、無駄なことは省く。その上でIT化することで、シンプルで使いやすいシステムが実現します。
Q. 日本のホテル予約システムの課題は何ですか?
ホテル業界の予約システムは航空業界に比べてまだ追いついていません。特に海外からの観光客にとって、日本のホテル予約や交通機関の利用手続きはハードルが高いです。
例えば新幹線の予約は、JR東日本、JR東海、JR西日本といった会社の区分を越えて予約する場合に複雑になります。海外の観光客は日本の鉄道会社の区分を知らないため、ネットワークが統合されていると思い込みがちです。
また、レールパスのような乗り放題サービスは、観光客が長く滞在せずに移動を促進してしまう問題があります。滞在型観光を促進するためには、割引の仕方やサービスの設計を見直す必要があります。
Q. ホテルのチェックインにおけるDXの課題は?
航空会社のようにQRコードでのチェックインがホテルでもできるはずですが、日本では地域によって保健所の判断が異なるという問題があります。
例えば「目を見て挨拶する」という対面確認を求められたり、オンラインチェックイン機があっても裏で人が作業しているという証明を求められたりします。こうした規制の地域差が全国統一のシステム導入を難しくしています。
本来守るべきルールの本質を理解し、全国で統一した基準を設けることが可能なはずです。この点は行政のリーダーシップで改善できる部分でしょう。
Q. 海外からの予約と自社予約システムの違いは?
外国人観光客の多くはExpediaなどの海外OTA(オンライントラベルエージェント)を使用しています。しかし、星野リゾートでは自社サイトでの予約にこだわっています。
OTAからの予約だと事前に得られる顧客情報が限られるため、子供の年齢や人数などの情報がわからないまま当日を迎えることになります。これはサービスの質に影響し、スタッフの負担も増加させます。
自社予約システムであれば顧客情報を事前に確保でき、準備も万全にできるため、顧客満足度も高まります。
Q. ホテル業界の情報システムにはどのような課題がありますか?
ホテル業界では基本的な情報システムであるPMS(プロパティマネジメントシステム)が古いままであることが多いです。PMSは会計システムから進化してきたもので、予約システムとの連携に課題があります。
この問題は日本だけでなく世界的な課題です。情報の伝達が複雑で、投資家に届く頃には3ヶ月後になってしまうという現状があります。
理想的には、ホテルの現場情報をリアルタイムで投資家とマネジメントが同じダッシュボードで見られるようなシステムが必要です。そうすれば中間コストも削減でき、効率的な投資が促進されます。
Q. 人手不足時代、テクノロジーで無人化すべきか、人は大事にすべきか?
人は大切です。民泊サービスが世界的に伸びていますが、利用者アンケートを見るとホテルの良さも認められています。人がいることのメリットは必ずあります。
観光産業の人手不足は働く環境に問題があります。日本の他の一流産業に比べて給与水準や労働環境が劣っているため、人材が集まりにくい状況です。
年収や労働環境を改善し、一流産業としての地位を確立すれば、人材不足の問題は解決できるでしょう。
Q. 従業員のキャリアアップはどのように促進していますか?
星野リゾートでは「立候補制」を採用しています。新しい施設や既存施設の新しいマネジメントポジションは立候補制にし、自分の力を試す機会を提供しています。
人事部が遠くから評価するのを待つのではなく、自分から挑戦できる仕組みが重要です。同時に、年収上昇の目標も明確に持っています。
特にコロナ後の3年間は、観光産業が一流産業に近づこうとする中で、給与アップに前向きな風潮がありました。この機会に賃金を上げ、良い人材を確保した企業は、今後2〜3年で成果が出てくるでしょう。
Q. 日本の地方におけるライドシェアの必要性について
日本全国の駅の中で、タクシーが待っていない駅の方が多いです。特に地方に行くほど無人駅が増え、交通の便が悪くなります。
タクシー会社が採算の合わない地域でサービスを提供するのは難しいため、ライドシェアのような新しい仕組みを活用すべきです。日本版ライドシェアという形でタクシー会社が関与する現在の形では限界があります。
地方からライドシェアを導入し、様子を見るという方法が最も推奨されます。既存事業者との競争も少なく、採算の合わないエリアをライドシェアが担うことができるでしょう。