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ホテル・観光の新潮流:ホテルブームは、100%バブルだ
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2024年10月2日

インバウンドブームに沸く日本。しかし、星野リゾートの星野佳路代表は「円安効果が大きい」と指摘する。現在のホテルブームはバブルなのか?観光業の人手不足を解消するために何が必要なのか?星野代表と、FAV HOTELを運営する霞ヶ関キャピタルの緒方秀和取締役に聞いた。 <ゲスト> 星野佳路|星野リゾート...
ホテルブームはバブルか?観光業界の専門家が本音で語る
今、日本のインバウンド市場は絶好調だ。2024年4月から6月の外国人消費額は過去最高の2.1兆円を記録。各地でホテル建設ラッシュが続いているが、これは持続可能な成長なのか、それともバブルの兆候なのか。星野リゾート代表の星野佳路氏とファブホスピタリティグループ代表の緒方秀和氏が本音で語った。


Q. 今のホテルブームはバブルか?
「100%バブルだと思う」と星野氏は断言する。「バブルのすごいところは、終わってみるまで誰もバブルだと気づかないこと。みんなバブルだと思った時点で、すでに弾け始めている」と1990年前後のリゾートバブル時代を経験した星野氏は語る。
当時はゴルフ場が完成前に会員権が売り切れ、さらに転売される現象が起きた。日本人が海外のリゾートマンションを計画段階で購入するなど、明らかな投機的動きがあった。
現在も似たパターンが見られる。最初に大金を支払うタイプのリゾート案件や、同じようなホテルが続々と増えている。これらはインバウンド需要が今後も急成長し続けるという前提に立っている。
しかし、こうした事業計画には落とし穴がある。ホテル各社が同様の需要予測に基づいて開発を進めた結果、完成時には供給過剰になる可能性が高い。
Q. インバウンド需要は本物か?為替の影響はどうか?
「インバウンドの伸びが急すぎる」と星野氏は指摘する。過去10年のデータを見ると、順調に伸びてきたインバウンド数が最近急激に上昇している。この上昇と円安のタイミングを比べると非常に一致している。
「円安が訪日需要を押し上げている面は否定できない」と緒方氏も同意する。
より深刻なのは、東京、京都、大阪、北海道、福岡の5つの地域でインバウンド全体の75%が集中していることだ。これが「オーバーツーリズム」問題を引き起こす一方、他の地域では恩恵が限定的になっている。
Q. サステナブルな観光のためには何が必要か?
「今の課題は、一度訪れた外国人が二度、三度と日本に来たいと思うかどうか」と星野氏は問いかける。円安で「安く行ける」から来日した観光客が、将来円高になっても再訪するだろうか。
例えば、スキー目的でニセコを訪れるオーストラリア人は日本の雪質に惹かれてリピートする可能性が高い。しかし京都や東京は「金閣寺に2年に1回行きたいか」という問題がある。
サステナブルな観光のためには、単なる「訪問者数」ではなく、「リピート率」「満足度」「地域分散度」などの指標を重視すべきだと星野氏は指摘する。「日本は団体旅行ブームやスキーブームなど、様々なブームを作ってきたが、インバウンドブームで終わってしまう可能性もある。危機感を持って戦略を立てることが大事だ」
Q. ホテル業界と民泊の関係をどう見るか?
「民泊が世界で最も成長しているカテゴリーである理由は、ホテルへの不満だ」と星野氏は分析する。
特に家族連れが都市部のホテルに泊まろうとすると、2〜3部屋取らなければならない不便さがある。一方、民泊なら一つの広い空間で家族全員が泊まれる。
「ライドシェアが登場したらニューヨークのタクシーサービスが向上したように、競争が業界の切磋琢磨を促す」と星野氏は主張。日本では民泊を法的に厳しく規制しすぎており、これがホテル業界の危機感と進化を遅らせているという。
「日本の観光産業の競争力を高めるには、既存業界だけを守る姿勢ではなく、新たな競争を促進する環境が必要だ」
Q. ファブホテルはどんなビジネスモデルか?
「民泊にヒントを得たホテル」と緒方氏は説明する。日本のホテルはこれまでワンベッドかツーベッドが中心だったが、ファブホテルではバンクベッド(2段ベッド)を導入。4人が1室で快適に過ごせる設計だ。
運営面では「徹底したDX」を実践。民泊のように無人運営の要素を取り入れ、チェックインの自動化などで効率化を図っている。また地元パートナーとのフランチャイズに似た形で運営することで、年間約4棟のペースで出店を続けている。
緒方氏は「自分が楽しむホテルを作りたい」と語る。高級ホテルによくある「着いた瞬間から表面的なサービスがあり、料理にも様々な説明がつく」スタイルより、子供連れでも気軽に楽しめるカジュアルさを重視しているという。
Q. ラグジュアリーホテルの需要はあるか?
星野氏は「高級であることはいいことだが、とてつもないお金を払って一度泊まろうと個人的にあまり思わない」と語る。また、現在の円安で「安く見える」高級ホテルは、円高になった際に真っ先に需要が落ちる可能性があると指摘する。
緒方氏も「カジュアルに子供と一緒に気軽に楽しむホテル」を好むと述べ、表面的なサービスよりも本質的な価値を重視する姿勢を示した。
Q. 日本の観光の未来はどうあるべきか?
星野氏は「世界の観光地では東京・京都・大阪以外の場所に行く理由をどう作るかが重要」と指摘する。
例えばサンフランシスコは、かつて日本人にとって「一度行けばいい町」だった。しかしナパバレー(ワイン産地)やヨセミテ国立公園の人気によって、再訪理由が生まれた。日本もこうした「また行きたい」と思わせる地方の魅力づくりが必要だ。
「東京・京都・大阪に来た人たちが日本に2回目に来る理由をどう作るか、これが日本全体で考えるべき課題だ」と星野氏は結論づけた。