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米利下げ期待は過剰。1ドル=160円に戻る
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2024年9月22日

0.5%の大幅利下げを決めた米FRB。今後、どの程度の追加利下げを行うのか?そして、ドル円レートにどう影響するのか?ふくおかフィナンシャルグループ(FG)チーフ・ストラテジストの佐々木融氏に聞いた。 <ゲスト> 佐々木 融 ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト 2023年12月か...
最近の金融政策とドル円レート、今後の展望は?
金融市場が大きく動く中、日米金利差の変化とドル円相場はどのような関係にあるのか。福岡フィナンシャルグループのチーフストラテジスト佐々木融氏に、為替相場の動向とFOMC(連邦公開市場委員会)の見通しについて聞いた。

Q. 最近の円高ドル安の動きはなぜ起きたのでしょうか?
最近の円高・ドル安の背景には大きく3つの要因があります。まず第一に、日米金利差の縮小です。7月10日以降、日米の金利差は111ベーシスポイント(1.11%)縮小しました。興味深いのは、この縮小幅のうち106ベーシスポイント(1.06%)がアメリカ側の金利低下で説明できる点です。つまり「上田ショック」や日銀の金融政策よりも、アメリカの金利低下が円高・ドル安の主因となっているのです。
第二に、円ショートポジションの巻き戻しがありました。それまで積み上がっていた円売りポジションが急速に解消され、現在は円ロングポジションに転じています。
第三に、市場のボラティリティ上昇があります。8月初めに中東情勢の緊張が高まり、VIX指数(市場のボラティリティを示す指標)が急上昇しました。ボラティリティが高まると円キャリートレード(低金利の円を借りて高金利通貨に投資する取引)を維持することが難しくなるため、ポジションの巻き戻しが加速したのです。
Q. 米国の利下げ予想が大幅に織り込まれていますが、実際はどうなりそうですか?
現在、市場は2025年末までに約200ベーシスポイント(2.0%)の利下げを織り込んでいますが、これは極めて異例です。過去を振り返ると、このような大幅な利下げは景気後退期にしか見られません。例えば、コロナショック、リーマンショック、ドットコムバブル崩壊、1990年代初頭の不況など、何らかの危機が発生した時期に限られています。
しかし現在の経済指標を見ると、景気後退の兆候は乏しいのです。非農業部門雇用者数は過去の利下げ局面ほど悪化していません。過去の利下げ前には雇用者数の増加が5万人を下回るケースが多かったのですが、現在はそこまで落ち込んでいません。また、コアPCE(個人消費支出)インフレ率も2.6%程度で、過去の利下げ局面(2%以下)と比べて高い水準を維持しています。
このことから、現在のFRB(連邦準備制度理事会)の利下げは景気後退への対応というより、予防的な性格が強いと考えられます。市場が織り込むほどの大幅な利下げにはならず、もっと緩やかな利下げペースになる可能性が高いでしょう。
Q. 9月のFOMCで0.5%の利下げを決定しましたが、これをどう評価していますか?
今回の0.5%(50ベーシスポイント)の利下げは、市場の予想通りでしたが、エコノミストの間では0.25%の利下げ予想が優勢だったため、やや大きめの利下げとなりました。
ただし、パウエル議長の記者会見では「このペースで利下げを続けるわけではない」という発言がありました。また、景気見通しについてもそれほど悪いわけではなく、「予防的」な利下げであることが強調されました。つまり「景気が悪いから利下げする」のではなく、「景気が悪化しないように先手を打つ」という姿勢です。
年内の追加利下げについては、FRB内でも意見が分かれています。今年末までの金利見通しでは、現在の水準から0.5%の追加利下げを予想する委員が9名いる一方で、0.25%以下の利下げを予想する委員も9名います。この分布を見ると、今後の利下げペースは経済指標に大きく左右されると考えられます。
Q. 今後のドル円相場はどのように推移すると予想されますか?
現在の円高ドル安は一時的なものであり、再び円安ドル高の方向に戻ると考えられます。理由としては、まず円ロングポジションが積み上がっていますが、日米の金利差はまだ5%程度あり、この状況で円買いポジションを維持するのは難しいからです。また、円が構造的に弱い要因は何も変わっていません。
米国経済は予想よりも強く、大幅な利下げ期待は行き過ぎである可能性が高いです。したがって、米国の金利低下が一服すれば、金利差を背景に再び円安ドル高方向に動くでしょう。年内に160円台に戻るかは不確実ですが、中長期的には再び160円に向かう可能性は高いと考えられます。
ただし、この見通しには米国の景気動向や政治情勢など、不確定要素があります。特に米大統領選は市場にとって大きな分岐点になるでしょう。市場はまだどちらが勝つか不透明なため、結果が確定した時点で大きな市場反応が起きる可能性があります。どちらの候補が勝っても財政赤字の拡大が予想されるため、長期的には金利上昇・ドル高要因になると考えられます。
Q. 一時的な円高局面は投資のチャンスですか?
現在の円高局面は、外貨資産を買う好機と捉えることができます。ただし、短期的には市場のボラティリティが高いため、一度に大量に購入するのではなく、少しずつ分散して買い進めるのが賢明です。
特に今後は米大統領選という大きなイベントが控えていることから、選挙結果が出るまでは市場の方向感が出にくいでしょう。しかし長期的な視点に立てば、円の構造的な弱さと日米金利差という要因から、再び円安・ドル高に向かう可能性が高いと考えられます。