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個別株の教科書:前編
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2024年9月20日

日本政府も投資の活性化を図り、オールカントリーやS&P500をはじめとしたインデックス投資が注目を集める中、個別株を勧める理由を京都大学名誉教授の川北英隆氏に聞いた。 <ゲスト> 川北英隆|京都大学名誉教授 1950年奈良県生まれ。京都大学卒業後、1974年日本生命保険に入社。 通商産業省(...
「投資信託は短期売買が前提」京大教授の驚きの持論 なぜ初心者は個別株を買うべきか
高まるNISA人気とともに投資のハードルが下がる中、多くの初心者は「インデックス投資」に流れている。しかし、長年株式市場と向き合ってきた京都大学名誉教授の川北英隆氏は「投資信託よりも個別株投資を」と主張する。なぜ初心者には個別株がおすすめなのか、その理由と成功するために必要な視点を解説する。

Q. 投資と資産運用の違いとは何ですか?
一般的には「投資」という言葉は短期・長期を問わず使われますが、日本人が「株式投資」と聞くと、多くの場合「短期的に売買して儲ける」というイメージを持ちます。これに対して「資産運用」は長期保有を意味し、企業の成長を楽しむという違いがあります。
Q. 短期売買と長期投資、それぞれのリスクとリターンはどう違いますか?
短期売買は「安く買って高く売る」を繰り返せば儲かるという単純な考え方ですが、実際に成功している人は少ないです。なぜなら、もし皆が安く買って高く売ることに成功すれば、安値の水準が上がり、高値のピークが小さくなるはずです。しかし実際はそうなっていません。これは「誰かの得は誰かの損」であり、短期売買は「ゼロサムゲーム」だからです。
一方、長期投資のリスクは企業選びの難しさにあります。成長し続ける企業を選ぶのは簡単ではなく、当たり外れがあります。しかし感性を大切にし、日常生活の中で「これはすごいサービスだ」と感じる企業に投資することが重要です。
Q. なぜ投資信託よりも個別株投資をすすめるのですか?
投資信託、特に日本のインデックスファンドは問題があります。例えば、東証株価指数(TOPIX)は東証に上場している企業を幅広く含みますが、その中には成長が止まってピークアウトし衰退している企業も多く含まれています。そのため「いい企業も買うし、良くない企業も買う」という状態になってしまいます。
さらに投資信託は短期売買を前提とした商品設計になっています。これには二つの理由があります。一つは、投資信託を購入した人が途中で解約すると、ファンドマネージャーはその資金を返すために保有株を売却しなければならないこと。もう一つは、トレンドに乗っている銘柄を追いかけ、トレンドから外れたら別の銘柄に乗り換えるという運用手法が一般的だからです。
Q. 個別株投資のメリットは何ですか?
個別株投資の最大のメリットは、自分で企業を選ぶことで経済や企業への関心が高まり、金融リテラシーが向上することです。また「株主になっている」という実感も強くなります。
分散投資の観点でも、専門家によれば2~3社の投資でも十分な分散効果が得られるとされています。例えばAI関連企業だけでなく、消費産業や製薬会社など、異なる業種に投資することで効果的な分散ができます。
Q. 日本株と米国株、どちらがおすすめですか?
比較すると、日本には成長している企業が少ないという現実があります。優れた経営者がいる企業も限られています。一方、アメリカにはMicrosoft、Amazon、Google、Appleなど魅力的な企業が多数あります。
また日本株は100株単位でしか買えないため、平均的には20万円以上必要になり、初心者にはハードルが高いです。これに対してアメリカ株は1株から購入可能で、少額から始められます。この違いは会社法による単元株制度に起因しています。
Q. 経済成長率と株価の関係はどうなっていますか?
長期的に見ると、株価は企業の業績(営業利益)と連動する傾向があります。また経済成長率と株価変動率にも相関関係があり、経済成長率が高いと株価上昇率も高くなります。逆に経済成長率が低くなると株価も下がる傾向があります。
このことから、投資家は経済成長を予測して株式を購入することが重要です。そして個別企業を選ぶ際には、その企業が経済成長の恩恵を受けられるかどうかを見極める必要があります。
Q. 配当金についてどう考えるべきですか?
日本企業では「配当性向30%」という目安がありますが、これは誤った考え方です。本来、配当は企業の成長に必要な投資をした後の余剰資金から支払われるべきものです。
アメリカの成功企業を見ると、Amazon、Microsoft、Appleなども成長期には無配でした。GoogleやMetaも最近になって配当を始めたばかりです。つまり、成長企業ほど配当よりも将来の成長に投資する傾向があります。
日本企業の多くは内部留保が多すぎるという問題もあります。かつては借入金で成長していた時代もありましたが、現在は自己資本比率がアメリカよりも高いほどです。しかし経営者が投資先を見つけられず、資金が銀行預金として眠っている状態です。
Q. 為替リスクとどう向き合うべきですか?
為替レートは基本的に国の経済力で決まります。日本円の対ドルレートのピークは1995年頃で、それ以降はアメリカ経済の方が強くなっています。これはマイクロソフトの台頭、パソコンの普及、インターネットの発展、そして現在のAI革命など、アメリカの技術的優位性を反映しています。
日本人の多くは外貨資産をほとんど保有していませんが、将来的な円資産のリスクを考えると、一部を米ドルやユーロなどに分散させておくことが賢明です。ポートフォリオの分散というと企業の分散に目が行きがちですが、通貨分散も重要な視点です。
Q. 個別株を選ぶ際に最も重要なことは何ですか?
最も重要なのは「自分の感性」です。日常生活の中で「これはすごいサービスだ」と感じる企業に注目することが大切です。プロの投資家でも長期的な視点で企業を見ている人は少ないため、むしろ初心者の方が長期的な視点で企業の価値を見抜ける可能性もあります。
また株式投資では「S&P500」のようなアメリカの代表的な指数に投資することも一つの選択肢です。日本のインデックスファンドよりも優れた選択肢となるでしょう。