業界超分析
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2024年8月31日

人気業界と、そのトップ企業をよく知る専門家が、元社員と共に徹底分析していく。今回は「エンタメ四皇」。海外展開旺盛な4社を、業界を横断して取り上げる。 <ゲスト> 中山淳雄 エンタメ社会学者 / Re entertainment 代表 大澤陽樹 OpenWork CEO <目次> 00:00 ダイ...
日本発のエンターテインメントコンテンツが世界で大きな存在感を示している。「エンタメ四皇」と呼ばれる4社が業界の壁を超えて、グローバル市場で急成長を遂げているのだ。その実態と最新動向を探る。
「エンタメ四皇」とは、バンダイナムコグループ、ポケモン、東宝、ソニーミュージックエンタテインメントの4社を指す言葉だ。これらの企業は元々異なる業界に属していたが、IPを基軸にしたメディアミックス戦略で、業界の壁を超えた展開を見せている。
かつては「映画会社」「ゲーム会社」「音楽会社」と明確に分かれていた業界の境界線が溶け始めている。例えば、映画会社がゲームを手掛けたり、アニメ会社が普通にガンプラを展開したりと、各社がIPを中心に様々なメディアで事業を拡大している。
これらの企業は海外展開に特に積極的で、北米などの市場から見ても「最近勢いがある」と評価されている日本発のエンターテインメント企業群だ。
ソニーミュージックエンタテインメント
音楽事業を中核としているが、日本のソニーミュージックとアメリカのソニーミュージックは実質的に別会社として動いている。日本のソニーミュージックジャパン(SME Japan)はアニプレックスを傘下に持ち、「鬼滅の刃」「エヴァンゲリオン」などのアニメ制作から海外展開まで、アメリカのソニーミュージックとはほとんど関係なく独自の動きをしている。
ソニーミュージックグローバルの売上高は約1.6兆円で、利益率は20%程度と高い。一方、日本のソニーミュージックジャパングループは約4000億円の規模だが、音楽ビジネス(乃木坂46やYOASOBIなど)とアニメビジネス(アニプレックス)がそれぞれ約2000億円ずつとなっており、バランスの取れた成長を見せている。
バンダイナムコグループ
ガンプラで知られるバンダイとゲーム会社のナムコが統合した企業グループ。主な事業はトイホビー(約5000億円)、ゲーム(約3700億円)、映像(約300億円)、リアルエンターテインメント(ゲームセンターなど:約1000億円)の4部門だ。
特にガンプラを中心とするトイホビー部門は海外展開で大きな成功を収めている。70〜80年代から海外進出を試みてきたが、近年特にアジア圏での成長が著しく、台湾、韓国、中国などで急速に売上を伸ばしている。
ポケモン
特異な存在として、1つのIPだけで会社を運営している。売上高は約3000億円、純利益は約800億円と、純利益率30%程度の非常に高い収益性を誇る。世界的に見ても「1つのキャラクターだけの会社」という事例は他に類を見ない。
2016年の「ポケモンGO」の世界的ヒットをきっかけに売上が急増し、その後もカードゲームの人気やコレクターアイテム化が進み、現在も成長が続いている。一部推測では、もし上場していたら時価総額は2〜3兆円に達する可能性もある。
東宝
日本の映画市場で約50%のシェアを持つ映画大手。「ゴジラ」をはじめとするIPを活用した展開を積極的に進めている。特に「ゴジラ-1」のアカデミー賞受賞は大きな転機となった。
松岡一族の経営のもと、近年は海外市場、特にアメリカでの展開に注力している。「東宝グローバル」を設立し、外国人材を積極採用するなど、かつての保守的なイメージから脱却し、攻めの姿勢を見せている。
4社とも好調な業績を維持している。各社の売上規模は2000億円〜5000億円程度で、利益率も高い水準にある。特にポケモンは売上高約3000億円に対して営業利益は約800億円と驚異的な利益率を誇る。
東宝も売上高3000億円弱に対して純利益は450億円程度と高い収益性を維持している。バンダイナムコグループはトイホビー部門を中心に成長を続け、ソニーミュージックジャパンもアニメ事業の拡大により安定した業績を上げている。
時価総額で見ると、ポケモンは非上場だが、バンダイナムコグループが約2兆円、東宝が約1兆円と、日本を代表する企業の水準に達している。
大きな要因としては、コロナ禍での動画配信サービスの普及がある。Netflix、Amazon Prime Video、Crunchyrollなどの配信プラットフォームを通じて、日本のアニメコンテンツが世界中に広がった。
特にアメリカではZ世代を中心に日本のアニメやゲームを消費する層が急増しており、「スーパーボウル(アメリカの国民的イベント)よりも『鬼滅の刃』を見たい」という若者も出てきている状況だ。
一方で、ディズニーをはじめとするハリウッドの大手エンターテインメント企業は苦戦している。各社がNetflixに追いつこうと配信サービスに巨額投資を行ったものの、採算が取れず戦略の見直しを迫られている。
このような状況下で「コンテンツ・イズ・キング」という原点に回帰する流れが生まれ、質の高いコンテンツを持つ日本企業が注目されている。
日本のエンターテインメント企業はIPを長期的に育てる戦略を取っており、四半期ごとの業績に左右されるアメリカの企業と比較して、安定した成長が期待できる。
また、日本には四皇以外にも優れたIPを持つ企業(集英社など)が多数存在し、それらのIPの多くはまだ十分に活用されていない状況だ。海外からのアプローチに対して窓口が明確でないなど、課題も残されているが、ポテンシャルは非常に高い。
コンテンツ配信の世界的な広がりと、日本コンテンツへの注目の高まりを考えると、この「エンタメ四皇」を中心とした日本のエンターテインメント産業は今後も成長を続ける可能性が高いだろう。