Deep Interview
橋下徹氏に聞く、政治への新提言:後編
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2024年8月25日

日本の政治が変わるための新提言「政権変容」を元大阪市長で弁護士の橋下徹氏に聞いた。後編では石丸伸二氏から学べること、政権変容実現のためのリーダー像などを紐解く。 <ゲスト>橋下 徹|元大阪府知事/元大阪市長/弁護士 早稲田大学政治経済学部卒。1998年、橋下綜合法律事務所を開設。 2008年、...
橋下徹「無党派層を引きつける力が政権変容の鍵」
日本の政治状況において、自民党の支持率は20%台、野党はさらに低い一桁台という現状がある。そんな中、圧倒的多数を占める無党派層をどう引きつけるかが選挙の勝敗を分ける重要な要素となっている。政治評論家の橋下徹氏に、無党派層の心をつかむ方法や政権変容に必要な要素について聞いた。
Q. 現在の政治状況をどう分析していますか?
現在の日本政治では自民党の支持率が20%台、野党も一桁台という状況で、圧倒的多数は無党派層となっている。この無党派層を引きつければ選挙で勝てる可能性が高まる。無党派層をどう引きつけるかが一番重要で、東京都知事選で大旋風を起こした石丸氏のようなスタイルも必要だと考える。SNSの活用などが批判されることもあるが、それだけで166万票は集まらない。熱量を持って訴えかけることで無党派層の心をつかむことができる。
Q. 次の選挙で「政権変容型」の選挙にするには何が必要ですか?
政権変容型の選挙にするには野党の結束が不可欠だ。現在の小選挙区制では、野党候補が一人にまとまっていないと勝てない。まず予備選を実施して野党候補を一本化する必要がある。ただし予備選の実現には野党間の壁を越える必要がある。予備選は投票では決められないため、世論調査で決めるのが現実的だろう。世論調査では現状、関西以外の地域では立憲民主党が優勢とされている。しかし、選挙戦が始まれば世論は動く可能性がある。
Q. 日本維新の会の「維新スピリッツ」とは何ですか?
維新スピリッツとは、熱量を持って訴えかけ、それを広げていくことだと考えている。維新の創設時は、ゼロからスタートして既存政党に挑んでいった。堺市長選挙などでは当初世論調査ではボロ負けだったが、熱量を持って訴えかけることで世論を動かした。たとえ60万人の有権者全員に会えなくても、ごくわずかな人に熱量を持って訴えかければ、その人たちが口コミで広げてくれる。しかし現在の維新執行部はこの原点を忘れ、「世論調査で負けているから予備選はしない」などと言うようになった。17年間国会議員を続けると、永田町の生活に慣れてしまい本来の姿勢が失われてしまうのかもしれない。
Q. 政治とお金の問題について、クリーンな政治家はいるのですか?
完全にクリーンな政治家というより、必要なのは透明化とルール化だ。政治活動には当然お金が使われるが、それをオープンにして説明責任を果たすことが重要。例えば、維新を作った当初は自己資金も投入し、政治資金パーティーでも企業・団体には券を売らず個人のみに販売していた。2012年の選挙では、維新に資金がなかったため交通費やホテル代も自費で賄っていた。一方で、現在の日本維新の会は年間40億円規模の資金を持つようになり、政治資金の使い方に対する姿勢が変わってきているように感じる。
Q. 政権変容を実現するために有権者は何をすべきですか?
有権者は「政権変容」という不安定さを作り出すことが重要だ。現状では自民公明が何をしても政権維持が可能という状況だが、「場合によっては政権交代になるかもしれない」という状況を作り出せば、政治家の意識と行動が変わってくる。自民公明にとっては「ちゃんとしないと政権を奪われるかもしれない」、野党にとっては「しっかりすれば政権交代のチャンスがある」という緊張感が生まれる。この不安定さから政治の正常化が始まるのではないか。投票率は50%程度で、半分の人は投票していない。この投票に行っていない層を野党がどれだけ引きつけられるかが次の選挙の鍵となる。
Q. 新しいリーダー像として何が求められますか?
新しいリーダー像として重要なのは透明化とルール化の姿勢だ。政治資金の使い方を透明にし、上限を設けるなどのルールを作ることが必要。ただし現状ではそうした透明化とルール化を本気で進めようとする政治家は見当たらない。イギリスでは2009年に政治スキャンダルが発覚し、議員たちが政治資金を私的に流用していたことが明らかになった。それまで「国家戦略に関わる」として領収書の開示を拒んでいたが、メディアの追及によって実態が暴露された。その後、イギリスでは政治資金の使い方についてルールを決めるようになった。日本でもこうした透明化とルール化が必要だ。
Q. 無党派層を引きつけるためには何が効果的ですか?
無党派層を引きつけるには企業団体の権益に縛られない姿勢を示し、一般有権者のための政策を打ち出すことが重要だ。維新を立ち上げた当初は「一般の有権者、団体に属していない人のための政治をします」と訴え、企業団体からの献金は受けずに、教育の無償化など一般の人に幅広く恩恵が出るような政策を実施してきた。また、政治家同士の議論はオープンな場で行うことも重要だ。自民党が会食ばかりしている中、野党は会議室でオープンに議論する姿を見せれば、無党派層の心をつかめるだろう。石丸氏が東京都知事選で166万票を集めたのも、既存政党にはない新しいアプローチで無党派層の心をつかんだからだ。