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記録ずくめの日本株、安定するのはいつ?
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2024年8月8日

日本株は記録づくめの日々が続いている。楽天証券 チーフ・ストラテジストの窪田真之氏にジェットコースターのような株価推移の分析と収束の見通しについて聞いた。 <ゲスト> 窪田真之|楽天証券経済研究所 所長 兼 チーフ・ストラテジスト 慶應義塾大学経済学部を卒業後、住友銀行に入行。その後、住銀バンカー...
日経平均の急落と反発、何が起きている?株式市場の激震を専門家が解説
ジェットコースターのように乱高下する日経平均株価。8月5日には過去最大の下げ幅を記録し、多くの投資家を驚かせました。一体何が起きているのか、専門家の視点から市場の動きを読み解きます。
Q. 今回の日経平均の乱高下は何が原因なのでしょうか?
まず根本的な原因はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の変化です。7月11日までは「米国経済好調×円安→日経平均上昇」というストーリーでしたが、それ以降は「米国経済不安×円高→日経平均下落」という全く逆のストーリーに変わりました。
しかし、これだけでは今回のような大きな動きは説明できません。実際の動きを増幅させたのがデリバティブ(派生商品)、特に先物やオプションです。ファンダメンタルズの変化に対して、市場が過剰反応する形になっています。
Q. 8月5日の急落はどれほど深刻だったのですか?
8月5日の日経平均は4,451円の下落を記録しました。下げ幅としては過去最大と言われていますが、重要なのは下落率です。この日の下落率は12.4%で、1987年以降で2番目の大きさでした。
最も大きかったのは1987年10月20日のブラックマンデーで、この時は14.9%下落しました。両者の共通点は、デリバティブが大きく影響したことです。特に先物の売りが集中したことで、1日での下落幅が非常に大きくなりました。
Q. デリバティブがどのように市場を増幅させたのか具体的に説明してください。
例として、日経平均3万5000円のプットオプション(売る権利)を考えてみましょう。これは日経平均が3万5000円を下回った場合に価値が生じる金融商品です。
日経平均が4万円前後で推移していた7月上旬、3万5000円のプットは非常に安価(10円~30円程度)で取引されていました。なぜなら、「8月9日までに3万5000円まで下がるわけがない」と多くの投資家が考えていたからです。
しかし、日経平均が実際に3万5000円を割って急落すると、このプットの価格は急騰します(1000円~4000円程度)。7月に軽い気持ちでプットを売った投資家やヘッジファンドは、想定外の大きな損失を被る可能性が出てきます。
そこで彼らは損失拡大を避けるため、ポジションを閉じる(買い戻す)必要が生じますが、この動きが日経平均の下落をさらに加速させました。このような動きが様々な投資家、様々なポジションで同時に起こったことで、8月5日の急落が引き起こされたのです。
Q. 今回の下落は世界経済の悪化の予兆なのでしょうか?
必ずしもそうとは言えません。1987年のブラックマンデーの例を見ると、当時も「これは世界恐慌の予兆ではないか」という懸念がありましたが、実際には1988年から世界経済も日本経済も好転しました。
結局、1987年の急落はデリバティブによって増幅されただけで、世界経済悪化の予兆ではなかったのです。今回の2024年8月5日の下落についても、デリバティブによる増幅が大きな要因であり、必ずしも世界経済の崩壊を示唆するものではないと考えられます。
Q. 米国経済の現状はどうなっていますか?
米国経済には確かに不安材料が出てきています。まず、ISM景気指数を見ると、製造業は50を割り込み(46.8)、景気が悪化していることを示しています。非製造業は51.4と辛うじて50を上回っていますが、こちらも弱含みです。
また、完全失業率は2023年の3.4%から4.3%まで上昇し、非農業部門の雇用者増加数も鈍化しています。これらは米国の労働市場の緩みを示しています。
一方で、2024年4-6月のGDPは前期比年率2.8%増と堅調で、個人消費も2.1%伸びています。ただし、これは生活必需品の値上がりを懸念した「買いだめ」効果が含まれている可能性があり、今後は消費が弱まる可能性があります。
Q. 円高への転換はなぜ起きているのですか?
円高への転換には主に4つの理由があります:
1. 米国経済の不安が高まり、9月の利下げがほぼ確実視されるようになった
2. 日銀が7月に利上げを実施し、さらなる利上げを示唆している
3. 為替介入の可能性
4. 米国の政治圧力(特にトランプ氏は「ドル高は問題」と発言)
これらの要因により、日米の金利差が縮小する方向に向かい、円高のモメンタムが生まれています。
Q. 日経平均の急落・急騰は誰が動かしているのですか?
過去30年以上、日本株を動かしているのは主に外国人投資家です。外国人が買うと日経平均が上がり、売ると下がります。7月前半に日経平均が4万2000円台まで急騰したのは外国人の買いによるもので、7月11日以降の急落は外国人の売りによるものです。
特に注目すべきは、単なる株式現物の売買だけでなく、先物の売買が大きく影響していることです。今回の急落では、先物の売り越しが大きく影響しました。
Q. 今後の日経平均はどうなりそうですか?
日経平均が3万8000円~4万円台に簡単に戻るとは考えにくいでしょう。テクニカル分析では、3万6000円以上の水準は弱い形になっています。また、今後も米国経済に関する不安材料が増え、さらに円高が進む可能性があります。
一般的に、大きな下落後に高値を取り戻すには半年から1年程度かかることが多いです。例外的に2020年のコロナショック後は景気がV字回復したため半年程度で高値を取り戻しましたが、これは珍しいケースです。
今後は3万5000円から3万6000円あたりを中心に、上下に行ったり来たりする展開が半年から1年程度続く可能性があります。長期的には、日本企業の投資魅力の高まりから5年以内に日経平均が5万円に達する可能性もあります。
Q. 個人投資家はどのように対応すべきでしょうか?
個人投資家は短期的な動きに一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが大切です。興味深いことに、外国人投資家と個人投資家の行動は対照的で、外国人が買っている時に個人は売り、外国人が売っている時に個人は買う傾向があります。
日経平均が4万2000円を超えた時には個人投資家は売り、3万1500円に急落した時には個人投資家は大量に買っています。このように、個人投資家は「逆張り」で安くなったところで長期でじっくり買っていくというアプローチが有効です。
重要なのは、短期的な景気見通しや日経平均の見通しに依存せず、割安になったところで時間分散しながらじっくり買っていく姿勢です。市場は常に様々な要因で変動しますが、長期的な視点を持つことで、その波を乗り越えることができるでしょう。