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日本版ブラックマンデー後の株価。どこまで戻るのか?
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2024年8月6日

日本版ブラックマンデーと呼べるほどの大暴落となった日経平均株価。今後の反発はどれくらいのスピードと規模になるのか?株価回復の条件と合わせて、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 広木隆|マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済...
8月の株価急落は「日本版ブラックマンデー」…その真因は「わからない」という衝撃
2024年8月初旬、日本株は歴史的な暴落を記録した。マネックス証券チーフストラテジストの広木隆氏は、この急落を「ブラックマンデー2」あるいは「日本版ブラックマンデー」と名付けようとしている。そんな株価大暴落の理由と今後の展望について、広木氏の分析を紹介する。
Q. 今回の大暴落は何が原因で起きたのでしょうか?
一言で言うと「わからない」というのが正直なところだ。これが「ブラックマンデー2」や「日本版ブラックマンデー」と名付けようとした理由でもある。下げ幅の大きさという点では、1987年のブラックマンデー時の日本株の下げを超えたことから、そう呼んでいる。
歴史的に大きな暴落には「○○ショック」という名前がつくことが多い。リーマンショックやニクソンショックなど、ショッキングな衝撃的な事件が起きて、その影響で株価が下がるパターンだ。なぜ株価が下がったのかは、明確な理由がある。
しかし、1987年のブラックマンデーは34年経った今でも、なぜあれほどの暴落が起きたのか解明されていない。今回もそれに似ている。「なぜこんな大きな下げが起きたのか」という問いに対して、「わからない」としか答えられない。
Q. では、最も可能性の高い理由は何でしょうか?
最も分かりやすい説明は「円高」だろう。急激に円高に巻き戻ったからという説明だ。しかし、これは結局、円高と株安が相互に影響し合いながら下がってきたものであり、どちらかがどちらかの原因というよりは、共振しながら下落した。
円高になった要因として日本側では、日銀が金融政策で利上げをしたことが挙げられる。ただ、それに先立つ前から実は円高に戻っていたので、それだけが原因ではない。
アメリカ側では、FRBが9月に利下げをするという観測が強まり、さらにアメリカ経済の調子が悪くなってきたこともあって、「9月でも遅いから緊急利下げをすべき」「9月に0.25%ではなく0.5%一気に下げるべき」などの見方が強まった。アメリカの債券市場でも金利が低下し、それがドル安、円高を助長した。
このように日米の金融政策の方向性が真逆に動き始め、それが急激な円高への巻き戻しを呼び込み、株安の最大の原因となったと考えられる。
Q. 個人投資家の参入増加や新NISAの影響はありますか?
それも確かにある。特に今までずっと上げ相場だった中で、NISAは買いしかできないという特性がある。空売りなどはNISAではできない。つまり、ずっと一方向の投資家が増えていた状況だ。
相場が安定的に上がっている間は良かったが、一度下げになると、こういう大きな振れ幅になる。NISAの影響は一定程度あるだろうし、NISAをきっかけに投資を始めた人がNISA以外でも売買をしている場合、そういった人々の「パニック売り」も相当出たと思われる。
Q. 世界同時株安のリスクはありますか?
ある程度は世界同時株安のような状況になっている。日本株も、アメリカ株が下がったからその余波で日本も下がったという面はあったが、日本はアメリカの下げ以上に下がっていることを考えると、今回の震源地は日本だと言える。
日本にとっての悪材料と言えば円高であり、その円高を引き起こした最大の原因は日銀の金融政策だ。最終的に突き詰めれば、今回の株安の原因は日銀の金融政策の変更とそのスタンスにある。このタイミングで金融引き締め・利上げを急いだこと、そしてこの先もそういったことを続けていくことを匂わせたことが、投資家の不安心理に影響を与えて強烈な下げにつながったと思われる。
Q. 今後の株価はどのように推移すると予想されますか?
8月6日は大幅に反発しているが、これは為替がドル円相場が反発して戻ったことと連動している。ただし、また円高に振れていくとなると、日本株も売られる可能性がある。
反発局面では3万5000円の回復、その上の3万8000円くらいまでは見込まれる。3万5000円から3万8000円のレンジを形成しつつ、3万8000円台を狙っていくというシナリオが考えられる。短期的には3万5000円が節目となり、そこから3万6000円から3万7000円台の揉み合いがあって、上に行くか下に行くかが決まるだろう。
Q. 年内4万5000円という以前の予測は変わりましたか?
年内という時間的制約を考えると、今回下に行き過ぎたため、4万5000円までの回復は難しい。時間が足りない。
まずはどこかで底入れし、3万5000円という心理的な節目の回復は意外に早いだろう。そこから3万6000円や3万7000円台までの揉み合いゾーンに移行できると思うが、すぐにその上のレンジに行けるかは不透明だ。二番底を探りに行くなど、段階を踏んで固めていかないと、一度相場が崩れてしまうとなかなか上がりにくくなる。
バリュエーション面(PERなど)で見れば、企業業績の観点からこの水準は安すぎることはなく、適正値だと考えられる。しかし、今年に入って買った投資家の多くが含み損を抱えており、相場が戻った時に「解消売り」が出てくるため、すぐには戻りきらない可能性が高い。
年内の株価見通しとしては、4万5000円は届かず、4万円回復があるかどうかというところだろう。
Q. 為替のトレンドも変わったのでしょうか?
為替は歴史的な円安で160円台をピークに付けたので、大きいトレンドは変わったと言える。ただし、一本調子で円高方向へ進むとも考えにくい。
これまで円安の背景には、金利差以外にも日本の国力低下や貿易量の変化など構造的な問題が指摘されてきた。これらは金融政策の変化だけでは変わらない部分が残っている。よって、円だけが一方的に進むわけでもなく、為替相場のトレンドもまだ見えにくい状況だ。
日本株は必ずしも円安だけを材料に買われてきたわけではなく、日本企業の構造変化など「日本は変わっている」という認識で買われてきた部分もある。そういった点に再び注目されれば、中長期的には上昇基調が続いていく可能性はある。
Q. 株価上昇のために必要な政治面・金融政策面での方向性は?
政治リスクについては、アメリカでは大統領選が決着することで不透明感は下がるだろう。日本の場合は、自民党がしっかり立て直せるかがポイントだ。9月の自民党総裁選に向けていろいろな動きが出ているので注目したい。前回懸念していた政権交代のリスクはだいぶ低くなったが、自民党の与党としての立て直しはまだ見えていない。
金融政策については、今回の大暴落を招いた最大の要因は日銀の政策ミスと言っても過言ではない。日銀の政策に対する市場の不信感が根底にある。日銀が金融政策の正常化という認識のもとに突き進む姿勢が強すぎたことが問題だ。
経済がしっかり立て直って、実質賃金がプラスになり、消費に明るさが見えてくるなど、賃上げとインフレの好循環ができてから金融政策の正常化を進めるべきだった。それを度外視して利上げありき、金融引き締めありきで走ったスタンスが良くなかった。
今後また同様の姿勢が続くと、マーケットの日本の金融政策に対する不信感が残り、株価は上がりきらないだろう。株価は企業価値だけでなく、金利や金融政策、経済環境など全てを織り込んで決まるものだ。日本企業がいくら変わろうとしても、それを取り巻く大きな舞台装置が不健全な状況では、投資家の信任は得られない。
Q. 最後に個人投資家へのメッセージをお願いします
まだ投資を始めていない方にとっては、これから始めるには最高のタイミングだ。今年になって投資を始めた方は、いきなりこのような衝撃を受けて動揺していると思うが、マーケットには暴落がつきものだ。
この程度の大きな暴落は数年に1回来るし、明確な理由もなく大きく下がることもある。それが相場の性質だ。しかし、そういったことを全て乗り越えて結局は高値を更新してきたのが、アメリカのマーケットでも日本でも見られる傾向だ。
日本も過去10年間、基本的には右肩上がりの相場で、いろいろなことがあっても全て乗り越えて、ついこの間も史上最高値を更新した。今回も必ず乗り越えて、中長期的には上昇トレンドに回帰していくだろう。
最も避けるべきことは、「マーケットは怖いから資産運用はこりごり」と言ってやめてしまうことだ。マーケットから退出しないでほしい。むしろこういう下げた時こそ安いところで買える大チャンスだと思って投資を継続してほしい。
特に積立投資をしている方は絶対にやめないでほしい。急落の時こそ多くの株数や口数を買えるので、本当に良いタイミングが巡ってきたと考えてほしい。