KUROFUNE
GAFAMの次の時代
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2024年8月3日

日本に住む外国人が、「ニッポン」の文化や経済をテーマに議論。どうすれば日本がもっと良くなるか?を考えていく番組。 今回のテーマは「GAFAMの次の時代」 <ゲスト> イェスパー・コール|エコノミスト 2015年7月1日、ウィズダムツリー・ジャパンの最高経営責任者(CEO)就任。 これまで20年に...
GAFAMの次に来る企業はどこだ?—専門家が語る「次世代テック」の最前線
最近、半導体大手NVIDIAが時価総額世界一になるなど、テクノロジー業界は目まぐるしく変化している。本記事では、ドイツ出身エコノミストのイェスパー・コール氏と国内外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任した藤野英人氏に、GAFAMの次に来る時代について語ってもらった。
Q. NVIDIAの成功の背景には何があるのでしょうか?
NVIDIAの成功には、単に優れた技術だけでなく、CEOのジェンスン・ファン氏の人間性も大きく関わっている。彼が「革ジャン」スタイルに変えたことも、グローバルな舞台での印象形成に役立った。
21世紀のビジネスでは、冷たいエンジニアリングだけでなく、人間味のあるアピールと社会との対話が重要になっている。かつて日本のソニーの盛田昭夫氏も、世界的な舞台で人間性をアピールし成功を収めた。技術はもちろん重要だが、その背後にある経営者の人間性や企業文化が大きな影響を与えている。
Q. NVIDIAの次に注目すべき技術は何ですか?
量子コンピューターが次の大きな革命になる可能性が高い。NVIDIAのGPUは優れているが、より高性能なチップというレベルにとどまる。一方、量子コンピューターは根本的にコンピューティングの仕組みを変える技術だ。
現在のAIの最大の課題は電力消費と発熱問題。NVIDIAのGPUは膨大な熱を発生させ、1つのデータセンターで原子力発電所5基分の電力を消費することもある。これはサステナビリティの観点から長期的に維持困難だ。量子コンピューターは電力をほとんど使わずに高速計算ができるため、この問題を解決できる。
日本企業では東芝やNTTが量子コンピューター分野で注目されている。また、過渡期の技術として、クアルコムのスナップドラゴンのような電力効率の高いチップも重要になるだろう。「ワットあたり計算力」という指標が今後重視されるようになる。
Q. 米国株市場の今後の見通しはどうですか?
アメリカは今後も成長力を集められる国として最強の地位を維持するだろう。基礎研究が世界各地で行われても、それをスケールアップする力はアメリカが圧倒的に強い。
また、世界中から優秀な人材が集まる土壌があり、それが新しい開発や経営者を生み出す。製薬業界を例にとると、日本にも優秀な企業はあるが、人材の厚みではアメリカに及ばない。日本の製薬会社の多くはアメリカに本社を置いている。
世界の優秀な研究者がアメリカに流れる理由の一つは、日本の大学やポスドクの待遇が良くないことも挙げられる。東大のような日本のトップ大学でも、ポスドク研究者の給料はアメリカの1/3程度で、設備も見劣りする。日本が成長するためには、基礎教育や大学教育により多くの投資をする必要がある。
Q. GAFAMの次に来る企業はどこですか?
GAFAMの中では「E」が加わる可能性がある。イーライリリー社は肥満症治療薬で急成長し、時価総額がテスラを超える規模になった。これは元々糖尿病薬だったが、副作用として食欲を減退させる効果があり、それを活かした減量薬として効果を発揮している。100kgの人が80kgになるなど劇的な変化をもたらす。
このような人々のQOL(生活の質)を大きく向上させる企業が今後も台頭するだろう。アルツハイマー薬なども10年以内に出てくる可能性が高い。認知症は大きな社会問題であり、効果的な治療法が開発されれば大きな需要がある。
また、アンチエイジング、自動操縦技術、気候変動対策(クライメイトテック)なども数十兆単位の市場に成長する可能性がある。これらの分野は人々の幸福に直結する課題を解決するビジネスとして注目されている。
Q. Googleの今後はどうなりますか?
Googleは基礎研究に非常に力を入れており、AI関連の特許をどの大学よりも多く持っている。現在はOpenAIなどに先を越された印象があるが、その豊富な研究資源から何か革新的なものが生まれる可能性は高い。最高の人材を集め続け、知的投資を続けている企業として過小評価はできない。
一方で、Googleの従業員の在籍期間は短くなってきており、優秀な人材が2年程度で他の企業に移る傾向がある。検索エンジンという基幹事業も、AIによる変革の波に晒されている。
Q. 金融セクターはどうなりますか?
金融業界はAI技術の恩恵を大きく受ける分野だ。特にマスターカードやビザなどの決済プラットフォームは、見た目にはテクノロジー企業に見えないが、社会インフラとして多くの人の決済を支え、継続的に成長している。JPモルガンのような伝統的な金融機関もAIを活用してコスト効率と顧客満足度を向上させている。
また、SaaS(Software as a Service)については、過大評価されていた部分があるが、今後見直される可能性がある。
Q. 日本企業の課題は何ですか?
日本企業の多くは内製開発にこだわりすぎる傾向がある。成長するためには、アンテナ投資やM&A(合併・買収)を積極的に行い、外部から技術だけでなくビジネスモデルやマインドも取り入れることが重要だ。
日経上位企業で業績を伸ばしている約20社の特徴として、M&Aを積極的に行っていることが挙げられる。例えばソニーは18ヶ月で108件のM&Aを実施している。「すべて社内で開発する」というプライドから脱却し、世界中から優れた技術や人材を取り込む姿勢が必要だ。
Q. 量子コンピューターは日本企業にチャンスをもたらしますか?
量子コンピューターのインフラ整備は日本のメーカーにとって魅力的な機会になり得る。特に日本企業は素材研究で強みを持っており、世界に負けない技術を持っている。例えばアルファX(アルファエックス)は優れた技術を持ち、素材研究においても注目されている。
かつてドイツも素材分野で強かったが、80年代以降力を失ってしまった。日本は量子コンピューター時代に向けた素材技術で一定の優位性を持っており、大阪大学などの研究者も優れた成果を上げている。
Q. 今後はどのような時代になりますか?
「人間の時代」になる。テクノロジーへの投資は確かに重要だが、最終的な顧客は人間だ。AIのためのAIではビジネスにならず、AIを使って人間の顧客体験をどう向上させるかが鍵となる。
例えば、Amazonはテクノロジーを活用して顧客満足度を高め、事業を多様化させている。ただし、あまりにも大きくなりすぎると独占禁止法の問題に直面する可能性もある。
現在は成長のストーリーの始まりに過ぎず、これからの10年、20年で多くの変化が起こるだろう。技術の進歩だけでなく、それを人間のためにどう活用するかという視点が、ますます重要になっていく。