PIVOT TALK BUSINESS
前編:マウンティングを制する者が人生を制する
(109)
1,987回視聴
2024年3月29日

人間関係あるところにマウントあり、マウンティングを制する者こそが人生を制する。マインドフルネスより大事なマウントフルネスの極意を、マウンティング研究の分野における一人者に聞く。 <目次> 00:00 ダイジェスト 00:45 マウンティングスキルとは? 06:22 「ステルスマウンティング」のパタ...
「マウンティングは教養である」—現代ビジネスで差をつける「MX」の力
マウンティングは世間一般にネガティブな行為と見なされるが、その認識は今日において刷新を要する。
人間がその欲求から完全に逃れることは不可能であり、一流のビジネスパーソンはむしろそれを戦略的に活用しているのだ。
AI時代が到来し、単純な知識やスキルがコモディティ化する中、人間の根源的な欲求を深く理解し、それを事業やコミュニケーションに生かす能力こそ、現代社会を生き抜く必須の教養となる。
本稿では、ベストセラー『人生が整うマウンティング大全』の著者、マウンティングポリス氏の視点から、マウンティングをビジネススキルとして捉え、人生を豊かにする方法を探究する。
Q. 現代社会においてマウンティングはなぜ必須の教養となるのか?
マウンティングは人間の本質的な性質であり、そこから逃れることは不可能だ。しかし、この欲求をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブなスキルとして「捉え直す」ことが人生を謳歌する建設的なアプローチとなる。
特にAI時代では、人間そのものを理解するスキルがビジネスパーソンにとって不可欠であり、マウンティングの理解と活用は、人間関係構築、事業設計、ひいては個人の年収に直結すると説く。
ネガティブ思考の払拭: マウンティングを忌避せず、自身の感情を整理する。
積極的な活用: 人間関係やビジネスにおいて、自身の意見を通すためにマウンティングの側面を利用する。
Q. 一流エリートが行う「ステルス・マウンティング」とは何か?
エリートが行うマウンティングは非常に巧妙で分かりづらく、それを「ステルス・マウンティング」と呼ぶ。これは、自慢したいが嫌われたくないという人間の繊細な心理から生まれた高度な技術である。
例えば「ニューヨーク出張で時差ボケが辛く、この年になると回復が遅い」という発言は、多忙自慢と役職の高さをアピールしつつ、自虐に見せることで相手からの反感を買わないように設計されている。
本論ではない副詞句にマウンティング要素を埋め込むのが特徴で、表面的な言葉だけではその真意を把握することが難しい。
自虐マウンティング:表面的な謙遜の裏に隠された成功や忙しさのアピール。
ダボス・マウント:世界会議参加への嘆きに見せかけた自身のステータス誇示。
その他:学歴マウントや海外留学マウントなど多岐にわたる事例がある。
Q. コミュニケーションにおいて相手の「真意」をどう読み解き対応するべきか?
コミュニケーションにおいては、「日本語を日本語に翻訳する」スキルが重要である。
これは、相手の言葉の額面通りではなく、その裏に隠された「認められたい」「共感してほしい」といった根源的な欲求を読み解く能力を指す。
例えば、多忙な上司が「部下が15人もいて、会議ばかりで処理能力の低さに嫌になる」とこぼした場合、相手は課題解決策ではなく、その多大な労力に対する承認や称賛を求めている可能性が高い。
コミュニケーションの上手な人は、このような相手の真意を無意識に察し、適切に「マウントさせてあげる」対応をしている。このスキルを意識的に磨くことで、円滑な人間関係を構築できる。
Q. 超一流が操る「マウントさせてあげる」神スキルとは具体的に何か?
超一流の人物は自らマウントを取らず、むしろ相手に気持ちよく「マウントさせてあげる」ことでビジネスの主導権を握る。
相手のメンツを立てることは、チーム内で味方を作り、自身の意見を円滑に通す上で極めて有効な戦略となる。
共感型枕詞: 「おっしゃることは論点として極めて重要です」と肯定から入ることで、反論する場合でも相手のメンツを守り、反発を和らげる効果がある。
尊敬型枕詞: 「釈迦に説法ですが」と相手の専門性を持ち上げることで、自身の意見を聞き入れてもらいやすくする。
謙遜型枕詞: 「門外漢なもので恐縮ですが」など、自身を低く見せることで、相手に話す機会と優越感を提供する。
オバマ元大統領も「この点についてはジョイの方が詳しい」と対談相手を繰り返し立てる発言をしており、社会的地位が高い人物ほど、相手のメンツを意識的に設計するスキルに長けていると言える。マウンティングを取る側であるうちはまだ二流で、相手にマウントさせてあげる域に達して初めて超一流である。
Q. ビジネスにおける「MX(マウンティング・エクスペリエンス)」設計とは何か?
現代ビジネスの成功は、UX(ユーザー体験)だけでなく、それをさらに一歩踏み込んだ「MX(マウンティング・エクスペリエンス)」の設計に大きく左右されると指摘される。
MXとは、顧客がその製品やサービスを利用することで「自身が優れている」「特別な存在である」と感じられるような体験設計を指す。
製品そのものの機能的価値に加え、「それを使っている自分はイケている」という承認欲求を満たすことが、顧客ロイヤリティを高め、事業を加速させる鍵となるのだ。
Q. MXを設計し、実際に成功している企業は存在するのか?
世界的な成功を収める企業には、MX設計を巧みに取り入れた事例が多い。その代表格はAppleとスターバックス、そしてMeta社(FacebookやInstagram)だ。
Apple製品は単なる高機能なデバイスに留まらず、「Apple製品を持つクリエイティブな自分」というユーザーのマウンティング欲求を満たし、熱狂的なファン層を築き上げた。
スターバックスはコーヒーを提供するだけでなく、「スタバでMacBookを広げて作業する意識の高い自分」といったステータスを提供し、この「スタバにいる自分」こそが顧客の消費を促す重要な要素となる。
Meta社のFacebookやInstagramも、それぞれ中高年層、若年層の「自分を表現し、他者に認められたい」というマウンティング欲求に特化したプラットフォームを提供し、巨大なユーザーベースを獲得した。
一方、Clubhouseが一時的な流行に終わったのは、MX設計が露骨すぎたからかもしれない。「自慢したいが嫌われたくない」という絶妙なバランス、すなわち「ほどよい中毒性」をユーザーに与える設計こそが持続的な成功には不可欠となる。
Q. 「マウント競争」から自由になることは可能なのか?
マウンティング欲求そのものから自由になることは困難だが、他者との優劣を競い合う「マウント競争」の土俵から降りることは可能だ。
先進国ではモノや衣食住がある程度満たされ、「それを体験している自分」をアピールする「マウンティング消費」がトレンドだ。これは先進国共通の現象と言える。
著者のマウンティングポリス氏自身が、マウンティング研究というニッチな分野を究めることでマウント競争から距離を置く。個々人が独自の専門性や価値を追求し、特定の分野で第一人者になることが、精神的な解放と自己肯定感を高める道となるのだ。