MANAGEMENT SKILL SET
孫正義&ホリエモンも実践する「三手」 LINEヤフー会長・川邊健太郎(前編)
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2024年2月8日

働き方が多様化する中で「人材育成」「チームビルディング」などマネジメントにおける課題にも大きな変化が生まれつつある。そんな新時代のマネジメントにおいて必要なスキルセットをプロフェッショナルたちから学ぶ。今回のゲストはLINEヤフー会長の川邊健太郎氏 <目次> 0:00 ダイジェスト 1:20 ...
「生きる気200%」を体現!川邊健太郎が明かすマネジメントの秘訣
LINEヤフー会長の川邊健太郎氏が自身のXアカウントで発信するマネジメント論が話題になっています。約9万人のフォロワーを持つ彼のXでは、日々ためになるマネジメントのコツが投稿されています。今回は、そんな川邊氏の「マネジメントスキルセット」について、特に注目すべき4つのポイントをQ&A形式でまとめました。

Q. 川邊さんはなぜXでマネジメント論を発信し始めたのですか?
A. 2023年2月に会長就任が決まり、4月から始まった「会長業」の一環として始めました。川邊氏は「青年会長業」を自ら定義し、その条件の一つに「SNSのフォロワーが10万人以上いること」を設定。当時は3万人ほどだったフォロワーを増やすために、人々の役に立つ情報を継続的に発信することにしたのです。
「見る側の視点に立って、ためになるものを継続的に投稿すれば、フォローしてくれるだろう」という考えから、マネジメントに関する知見の発信を始めました。
Q. 人間関係を円滑にする「三手」とは何ですか?
A. 「拍手」「握手」「挙手」の三つを指します。
1. 「拍手」:誰かの成果や取り組みに対して賞賛すること
2. 「握手」:その人に近づいて敬意や応援の気持ちを伝えること
3. 「挙手」:自ら積極的に行動を起こすこと
これは「生きる気200%」の考え方を表しており、何かをする人はまず誰かの行動に「拍手」し、その人に近づいて「握手」し、そして自分も「挙手」して行動するという流れです。
この「三手」の考え方は、2004年のプロ野球1リーグ制問題の際の経験から生まれました。当時、川邊氏らは野球とは無関係でしたが、選手たちの主張に「拍手」し、彼らに寄り添い「握手」し、そして自分たちも球団に入ると「挙手」しました。その結果、楽天やソフトバンクの参入が実現し、今の12球団体制につながったのです。
会社のマネジメントにおいても、誰かが主体的に行動している人がいたら積極的に「拍手」し、その人に「握手」して寄り添い、何か困っていることがあれば「私がそれをやります」と「挙手」する。この流れが重要です。
Q. 1on1で最も気をつけるべきことは何ですか?
A. 最もやるべきことは「ただひたすら話を聞くこと」、最もやってはいけないのは「相手の話を最後まで聞かずに中断すること」です。
1on1の真の価値は、単に指示を出すことではなく、相手の主体性を引き出し、仕事に夢中になってもらうことでパフォーマンスを高めることにあります。ただ聞くだけで効果があるという事例として、ある大学の先生が工場で聞き取り調査をしただけで生産性が上がったというエピソードがあります。
人は話をすることで自問自答が進み、モチベーションが上がったり、自分の課題が自然と解決したりします。また、上司が真剣に話を聞いてくれるという経験は「心理的安全性」を生み出し、より率直なコミュニケーションを促進します。
ただし、単に聞くことは意外と難しいものです。多くの人は相手の話を聞きながら、次にどう返そうか、どんなアドバイスをしようかと考えてしまいます。真の「傾聴」とは、次の展開を考えずに、ただ相手の言葉に耳を傾けることなのです。
Q. 1on1では具体的にどのようなスキルを使い分けるべきですか?
A. 1on1では主に3つの技術を使い分けるとよいでしょう。
1. コーチング(6割):相手の自問自答の幅を広げるような質問をすること。経験の違いなどから、自分だけでは思いつかない解決策を見つけるための手助けをします。
2. フィードバック(3割):上司が鏡の役割を果たし、「今日はこういう話し方をして、周りはこう感じていた」というように、客観的な情報を伝えること。
3. ティーチング(1割):単純に教えること。業務に不慣れな人や緊急対応が必要な場合などに有効です。
川邊氏によれば、これらを理想的には「ティーチング1:コーチング6:フィードバック3」の割合で使い分けると効果的です。特に変化の激しいIT業界では、上司の古い知識がかえって障害になることもあるため、ティーチングは最小限にとどめ、コーチングを中心に据えるべきだと述べています。
Q. どのようなメンバーと1on1をすべきですか?
A. 全員と1on1をするのが理想ですが、時間的制約がある場合は優先順位をつけるべきです。
特に注目すべきは「能力は高いがパッとしていない、成果が出ていない人」です。彼らの才能を活かせていない原因(障害)を見つけ、解決することで大きな成果につながる可能性があります。
一方、すでに能力が高く成果も出している人には、もちろん賞賛は必要ですが、1on1の時間を優先的に割く必要性は相対的に低いかもしれません。
Q. 良いマネージャーの定義とは何ですか?
A. Yahoo!時代から掲げていた定義によれば、「リーダーシップとはフォロワーシップである」という考え方があります。
大組織では1人のリーダーがすべてをコントロールすることは不可能です。良いマネージャーとは、配下のメンバー全員の力を最大限に引き出せる人のことを指します。
そのためには、メンバーからの信頼を得ることが不可欠です。メンバーの実力を最大限に発揮させることが、与えられた事業領域での最大のパフォーマンスにつながるという考え方です。
Q. 川邊さんご自身はいつからこのマネジメントスタイルを実践し始めたのですか?
A. 大きな転機となったのは、GyaOの社長に就任した時でした。それまでYahoo!ニュースの責任者として「率先垂範」のスタイルで成果を上げてきましたが、GyaOでは年間数十億円の赤字を黒字化するという大きな課題に直面します。
「これは自分の力だけでは無理だ」と気づいた川邊氏は、当時Yahoo!で実践されていた1on1などのマネジメント手法を学び始めました。この手法を実践した結果、チームメンバーが主体的に考え、動くようになり、黒字化という成果につながったのです。
この経験から、人の主体性を引き出すマネジメント技術の重要性を実感し、以後積極的に取り入れるようになりました。
Q. マネージャー自身の機嫌や態度は重要ですか?
A. 非常に重要です。マネージャーは常に明るく、前向きであることが大切です。大きな失敗があっても笑いながら「次頑張ろう」と言える姿勢が必要です。
会議やミーティングの冒頭では、いきなり本題に入るのではなく、雑談やアイスブレイクから始めることで、メンバーが話しやすい雰囲気を作ることが大切です。マネージャーの不機嫌な態度は、チーム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。
「失敗してもいいんだ」という雰囲気を作るためには、マネージャー自身がそのような態度で接することが重要なのです。