
今後10年で勝つ投資戦略
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2023年9月5日
Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長 CEO&CIO 藤野英人氏に、「10年後を見据える投資思考法とは」について聞きました。 【Sponsored】 <ゲスト> 藤野英人/レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長 C...
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激変する運用業界:ひふみ投信を率いる藤野英人氏の新戦略と投資家への提言
映画監督や検事を夢見た若者が、まさかの金融業界に足を踏み入れ、日本の資産運用界をリードする存在になるとは。レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長の藤野英人氏は、まさに異色のキャリアを歩んできた。
そして今、藤野氏はこれからの3~5年間で資産運用業界はAIの台頭によって激変し、多くのプレイヤーが淘汰されると断言する。果たして、この大転換期において、ひふみ投信はどのように市場の荒波を乗り越え、次なる10年を切り開くのだろうか。
過去の成功の要因、直近の苦戦、そして未来を見据えた画期的な新戦略について、藤野氏の深遠な洞察に迫る。
Q. 藤野英人氏はどのような道のりを経て投資家になったのか?
藤野氏は幼少期から映画監督や作家といったクリエイティブな仕事に憧れていた。しかし、高等裁判所判事だった祖父の影響で、一族からは法曹の道を期待され、法学部へ進学。当時は、世間を騒がせたリクルート事件のような「悪い企業家を逮捕する検事」を目指していたという。
司法試験の勉強資金を稼ぐため、ゼミの教授からの助言で「腰掛けのつもり」で野村アセットマネジメントに入社。ここで中堅・中小企業の調査を担当することになった。
だが、実際に経営者たちと直接対話する中で、彼らの情熱やビジョンに魅了されていく。当初は「逮捕すべき悪」と考えていた企業家たちが、次第に自らの人生のロールモデルとなり、自身も起業を志す大きな転換期を迎えた。外資系金融機関での経験も、起業のための準備期間と位置づけていた。
Q. レオス・キャピタルワークスとひふみ投信が誕生した背景は何か?
起業の動機は、企業家への憧れと、当時の資産運用業界が抱えていた社会課題の発見にあった。当時の業界は、顧客の利益よりも自社の都合を優先する「お客様中心主義でない」状況であったという。この矛盾を解決し、顧客本位の運用会社を創ることが、大きなビジネスチャンスになると藤野氏は確信した。
さらに藤野氏は、「なぜ金融商品に、お菓子のポッキーのように誰もが知っていて指名買いされるようなブランド品がないのか?」という疑問を抱き続けた。大手が社名ブランドに頼る一方で、個別商品のブランド育成を怠っている現状に勝機を見出し、「ひふみ」というブランドの立ち上げを決意する。
Q. ひふみ投信はどのようにして金融業界で独自のブランドを確立したのか?
藤野氏は「金融は信用で売るもの」「お菓子と一緒に考えてはならない」という当時の業界の常識に異を唱えた。本来、投資信託は「小口で広く国民に売る」というコンセプトであり、ブランド品であるべきだと主張した。レオス・キャピタルワークスという理念を表す会社名と、「ひふみ」というユニクロのような商品ブランドを使い分け、商品そのものの価値を高める戦略をとった。
このブランド戦略を成功させた大きな要因の一つが「直販」モデルだ。販売会社を通さないことで、自社で商品の価値や哲学を顧客に直接、かつ一貫して伝え続けることが可能になった。これにより、顧客との間に強固な信頼関係を築き、一貫したブランドイメージの確立に成功したのである。
Q. ひふみ投信が過去10年間で圧倒的な実績を残せた主な理由は何か?
ひふみ投信が長期にわたり高い実績を出せた理由は大きく二つある。一つは「顧客との二人三脚」が逆張り投資を可能にしたことである。顧客との強固な信頼関係により解約が少なく、マーケットが下落した際には「買い時」と捉えた顧客からの資金流入が逆に増加する傾向が見られた。
これにより、パニック相場でも資金が尽きることなく優良株を安値で買い増すことができ、その後の回復局面で大きなリターンに繋がったという。もう一つは、明確な「JTC(日本の伝統的大企業)回避戦略」をとったことである。
2000年から2020年にかけて日本の大型株(時価総額上位200社)のパフォーマンスは悪かったため、ひふみはこれらの企業への投資を意図的に避け、時価総額201位以下の成長企業や中小型株に集中投資したことが、高い成果に結びついたのだ。
Q. ひふみ投信が直近2年間で苦戦している原因は何か?
直近2年間の苦戦は、皮肉にも過去の成功戦略が機能しなくなったためであった。これまでは回避してきたJTCが、この2年間で良好な株価パフォーマンスを見せた一方で、ひふみ投信が得意としていた小型株やグロース市場は全体的に低迷した。
小型株比率の高かったひふみ投信は、大型株主導の上昇相場についていけなかったのである。この状況は、これまでの成功法則が必ずしも未来永劫通用するわけではないことを示し、新たな戦略の必要性を藤野氏に突きつけた。
Q. ChatGPTの登場は資産運用業界にどのような影響を与えるのか?
藤野氏は、ChatGPTのようなAIの登場が運用業界に3~5年で激変と淘汰をもたらすと断言する。AIがブルームバーグなどの膨大なデータと連携することで、短期的な業績予測の精度は飛躍的に向上する。人間による短期予測の価値は失われ、従来の「短期予測を中心とした運用」は崩壊するだろう。
これまで短期の業績予想を分析し、シグナルを与える役割を担ってきたアナリストの仕事も激変を余儀なくされる。多くの業務がAIによって代替され、業界全体で大規模な淘汰が進むとの見通しを示した。
Q. AI時代を見据えたひふみ投信の新しい10年戦略とは?
AIが短期予測を席巻する未来において、ひふみ投信は「10年後の世界を考える」長期思考に舵を切るという。短期の業績予測競争から撤退し、代わりに10年後の未来を見据えた深い研究を行う。
例えば、アナリストが鉱山の国際学会に参加したり、最先端医療の専門家と議論したりするなど、学術レベルの深い基礎知識と研究を通じて、企業経営者と未来について対等に議論できる存在となることを目指す。企業に投資するだけでなく、未来を共創するパートナーとしての役割を重視する。
この新しいアクティブ投資戦略は、以下の4つのカテゴリーでポートフォリオを構成する。まず、全体の約6割を「ザ・プライム」と呼ぶ変革を遂げた日本の大企業に投資する。社長が若返り、新しいエネルギーを持ったこれら企業群は、かつてのJTCとは異なると判断したため、旧来のJTC回避戦略を転換する。
次に、全体の約15%を、時価総額1,000億円から1兆円規模の「ネクストジャパン」に投資する。これは10年後にザ・プライム入りする可能性を秘めた次世代の中核企業群である。さらに、残りの約10%は、上場後に資金不足に陥りがちな、時価総額1,000億円以下の有望な中小型企業約300社に1,000億円を投入する「テンバーガーズ」戦略を実施する。これは、日本のスタートアップエコシステム全体を支援し、上場後の成長を支えることを目的とする。
最後の約10%は、日本には存在しない画期的なビジネスモデルを持つ海外企業を対象とした「グローバルスターズ」に投資し、ポートフォリオのリスク分散も図る。ひふみはこれらの戦略を通じて、1.2兆円もの運用資金と126万人という顧客の力を活用し、単にインデックスを上回るだけでなく「社会のあるべき未来を能動的に創造し、リードする」真のアクティブ運用を目指すと藤野氏は語る。
Q. 新NISA時代の投資家へのメッセージは?
藤野氏は、2024年に始まる新NISAを、ぜひ活用すべき好機であると強調する。今後インフレが進行する可能性が高く、資産防衛の観点からも、現金のみを保有することは厳しい結果を招くと指摘した。新NISAは一般の生活者にとって極めて有利な制度設計となっているため、これを最大限に活用し、資産を増やす以上に資産を守るという意識を持って投資を始めるよう提言する。