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なぜパーパス経営が必要なのか?
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2023年7月13日

Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。 アイディール・リーダーズ共同創業者 丹羽 真理氏、パナソニック コネクト執行役員常務 山口有希子氏と「パーパスマネージメントの実践」について話しました。【Sponsored】 <ゲスト> 丹羽 真理/アイディール・リーダーズ共同創業者...
実践パーパス経営: なぜ「儲かる」企業は「存在意義」を追求するのか
近年、「パーパス経営」という言葉がビジネス界を席巻している。しかし、その真の意味や実践方法はまだ十分に理解されているとは言えないだろう。企業の持続的な成長には不可欠とされ、日本企業にも急速に広がるパーパス経営とは一体何か。その定義から実践的なアプローチまで、第一人者である丹羽万里氏と、実践企業パナソニックコネクトの山口幸子氏の解説を元に深掘りする。
Q. 「パーパス経営」とは一体どのような経営を指すのだろうか?
パーパスは企業や組織の「社会における存在意義」を意味する。単なる「目的」や「目標」とは異なり、「自社の活動を通じてどんな社会を創りたいのか」「社会にどんなインパクトを与えたいのか」という問いに対する答えがパーパスである。
「売上10%増」や「業界ナンバーワン」といった目標は、企業の内的成果に焦点を当てるため、社会への具体的な影響が不明瞭だ。パーパスは、こうした短期的な目標を超え、社会貢献という大局的な視点を持つ。
「パーパス経営」とは、このパーパスに沿った形で経営の全てを運営すること。単にパーパスを掲げるだけでなく、実際の事業活動や戦略、組織文化までがその存在意義と一貫している状態を指す。口先だけではなく、経営全体で実践することが不可欠だ。
Q. なぜ今、企業にとって「パーパス」がこれほどまでに重要視されているのか?
パーパスが注目される背景には、いくつかの要因がある。世界的な傾向としては、ESG投資の拡大やステークホルダー資本主義への移行が挙げられる。企業は株主だけでなく、顧客、従業員、地域社会といった多様なステークホルダーへの貢献を通じて評価される時代になった。
特に日本において影響が大きいのが、労働市場と働く人々の価値観の変化である。従業員は「何のために働くのか」「自分の仕事が社会にどう貢献しているのか」を強く意識するようになった。高給や安定だけでは満足せず、意味のある仕事を求める傾向が顕著だ。
これにより、パーパスは企業の魅力を高め、優秀な人材を引きつけ、社員のモチベーションを向上させる重要な要素となった。内発的な動機づけは生産性向上にも直結する。日本では2022年時点で、上場企業約3800社のうちパーパスを掲げる企業は215社とまだ約5%だが、この数年で急増しており、時代の大きな潮流となっている。
Q. 「パーパス」の策定と組織への浸透は、具体的にどのように進めればよいのだろうか?
パーパスを組織に根付かせるには、「発見」「共鳴」「実装」の3ステップが鍵となる。まず「発見」はパーパスの言語化プロセスだ。この際、パーパスには2種類あると認識することが重要だ。一つは現状を言葉にする「過去現状型パーパス」。もう一つは、変革や挑戦を促す「未来型パーパス」である。組織文化を変えたいならば、現状に留まらず「こうありたい」という未来の姿を描く未来型パーパスの策定が望ましい。
パナソニックコネクトは、新会社設立のタイミングで「現場から社会を動かし、未来へつなぐ」というパーパスを策定した。彼らは、社名自体に「コネクト」(つなぐ)という言葉を選び、「テクノロジーと人がつながる」など、存在意義そのものを込めている。
パーパス策定では、全社員を巻き込むことが重要だ。パナソニックコネクトは1年をかけ、全社員アンケートを実施し「自社の誇り」や「新会社に持っていきたいもの」を問いかけた。経営層のトップダウンの意思と、現場の意見というボトムアップを融合させることで、多くの共感が生まれる土台を作るのだ。
次に「共鳴」は、社員にパーパスを浸透させ、自分事として捉えてもらうプロセスである。社員が会社のパーパスを「自分も共感できる」と感じるには、個人の価値観との接点が必要だ。自分の「軸」を明確にしている社員ほど、会社のパーパスとの共通点を見つけやすい。
最後の「実装」は、パーパスを絵に描いた餅にせず、具体的なアクションに落とし込む段階である。パナソニックコネクトでは、社員の自律性を促すためジョブ型人事制度へ移行し、役員室を全廃してオープンなコミュニケーション文化を醸成するなど、制度と文化の両面からパーパスの実現を目指している。
Q. 社員一人ひとりが自身の「パーパス」を見つけるためのヒントはあるか?
自身のパーパスや大切な価値観は、日常生活の中での「感情の動き」にヒントがある。生きていて「嬉しい」「ワクワクする」と感じる瞬間や、逆に「なんでだろう」「イライラする」「モヤモヤする」といった「違和感」を覚える瞬間に注目することが有効だ。
これらの感情が動いた時、それを単に流さずに「なぜ自分は今、このように感じたのか」「何を大切にしているからこの感情が生まれたのか」と自問自答することで、自身の深層にある価値観が見えてくる。このような気づきの積み重ねが、自身のパーパスを発見する第一歩となるだろう。
Q. 「利益を出してからパーパスに取り組む」という考え方は正しいのだろうか?また、成功のための鍵は何だろうか?
「儲けが先、パーパスは後」という考え方は適切ではない。パーパスと利益は対立するものではなく、むしろ互いに高め合う関係にある。パーパスが明確であれば、社員の内発的な動機が引き出され、モチベーションとパフォーマンスが向上する。結果として、企業の競争力が高まり、利益向上につながるため、両者は同時進行で追求すべきものだ。
パーパス経営は、企業の社会貢献活動(CSR)とは一線を画す。CSRは時に「儲けの余力で」行われるものと捉えられがちだが、パーパスは事業活動の根幹であり、ビジネスモデルや戦略そのものに深く組み込まれるべき要素である。社会貢献は事業の「横」ではなく、「中」にあるものなのだ。
パーパス経営を成功させる最も重要な鍵は、経営陣の「本気度」にある。パーパスを単なる美辞麗句で終わらせず、経営課題として真剣に捉え、人事、IT、広報など全部門を巻き込み、具体的なアクションとして実行し続ける覚悟が必要だ。リーダーが率先してその実践を示すことで、全社的な変革が促進され、パーパスの真価を発揮することができる。