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受験英語エリート 誤解だらけの学習法
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2023年4月21日

Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。パタプライングリッシュ開発者 松尾光治氏 に「受験英語エリートなのに英語が話せないのはナゼ?」について聞きました。【sponsored】 <ゲスト> 松尾光治/パタプライングリッシュ開発者 元大手英会話スクールの教務主任、教材開発。在米...
AI時代のビジネス英語:『話せない』から『話したくない』日本人への実践的学習法
AI翻訳技術が飛躍的に進歩する現代、ビジネスシーンにおける英語学習の価値について改めて考えるときだ。ツールを使えばなんとかなる、完璧な英語は不要という声も聞かれるが、真に人を動かし、新たな価値を創造するには何が必要なのだろうか。本稿では、AI時代に「なぜ英語が必要なのか」「何を目標とすべきか」「具体的にどう学ぶべきか」という問いに対し、実践的な回答を提示する。
Q. AI翻訳が発達した今、ビジネスパーソンに英語を学ぶ必要はあるだろうか?
AIや翻訳ツールの進化は、英語との付き合い方を大きく変えた。全員が流暢な英語を話す必要はもはやないだろう。しかし、自身の人生設計や目標を突き詰めた結果、「誰かに何かを伝えたい」「相手に影響を与えたい」と願うなら、依然として英語を話す価値は大きいと考える。特に、人を巻き込み、新たな価値を創造する立場にあるビジネスリーダーにとっては、自分の言葉で直接語りかける力が不可欠となる。
Q. 具体的にどのような立場の人々が、今なお英語を学ぶべきと言えるのか?
チームや組織を率い、他者に影響を与えながら何か新しいものを創り出す立場にある人、すなわちリーダーやマネージャーは、英語を話す能力が当面の間必要であり続ける。例えば、外国人部下の人事評価や注意といった繊細なコミュニケーションでは、翻訳機を通すことで誤解が生じ、最悪の場合、訴訟問題に発展するリスクさえある。
日本の文化において部下をストレートに褒める習慣が薄いのに対し、海外では部下をうまく褒め、かつ建設的な批判を伝えることがマネジメントスキルとして重要視される。翻訳機は、データベースにない表現や文化的ニュアンスをうまく反映できない。自分の意図を正確に伝え、相手の心を掴むには、文化を理解した上での自身の発話が不可欠なのだ。
さらに、英語だけでなく異文化への「理解」も必要である。「納期を守らない」「非を認めない」といった他国の文化に出会ったとき、「この人たちは使えない」と感情的になるのは危険だ。それは単なる人種差別的思考に陥るだけで、問題解決には繋がらない。異文化の壁は、経験則ではなく「知識」で乗り越えるべきと捉え、相手と自分の文化を客観的に比較・分析することで、対立の原因を理解し、次の最適な行動を選択する力が身につく。
Q. ビジネスで使う英語として、ネイティブのような完璧な流暢さを目指す必要はあるのか?
ビジネス英語において、ネイティブ並みの完璧な流暢さや発音を目指す必要は全くない。今日の「英語ネイティブ」のイメージは、かつてステレオタイプ的に白人アメリカ人とされていたように、すでに時代遅れだ。世界中で様々な英語が話されており、アメリカ英語はその中の一地域のものに過ぎない。重要なのは、誤解なく意図が伝わる「通じる英語」であり、完璧さを求めすぎるあまり学習のモチベーションを失うのは避けるべきである。
目標とすべきは「語順が正しいブロークン英語」だ。英語は語順が崩れると全く意味が通じなくなるため、文法構造の正確性がコミュニケーションの生命線となる。この点において、日本の受験英語で培った文法知識やTOEIC学習で固めたビジネス語彙は、スピーキングの確固たる土台となる。まず語順を正しくすることに集中すれば、ネイティブのような完璧な発音を目指さなくとも十分に意思疎通が可能となるだろう。発音を学ぶこともリスニング力の向上に繋がるが、話す際は完璧さを求めすぎないことが重要だ。
Q. 「通じる英語」を習得するために、具体的にどのような学習法が効果的なのか?
英語学習に対するマインドセットを変革することが重要だ。それは「英語を勉強する」のではなく、「英語で勉強する」という姿勢である。自身の興味のある分野の情報を英語で得るようにすれば、英語学習が目的ではなく手段となり、知的好奇心と結びついて継続しやすくなる。例えば、アメリカの政治記事を読む、海外の専門コンテンツを視聴するといった形で、情報収集の中に英語学習を自然に組み込むとよい。隙間時間の有効活用も不可欠である。
正しい方法で実践すれば、半年ほどで「以前より上手くなった」「話せるようになった」と周りからも認められるレベルまで到達可能である。しかし、「これだけやればOK」といった魔法の学習法は存在しないことを理解すべきだ。どのスキル習得も同様に、地道な努力と継続が不可欠だ。
Q. 英語を知識ではなく「スキル」として脳に定着させるには、どのようなアプローチが有効なのか?
英語を話すという行為は、意識的に知識を引き出す「宣言的記憶(知識)」ではなく、自転車に乗るように無意識に体が動く「手続き記憶(スキル)」の領域にある。考えなくても自然と口から言葉が出てくる状態が、英語習得の理想形と言える。
学校で学ぶ文法や単語は「知識」として宣言的記憶に格納されるため、会話の際にそれらを意識的に引き出そうとすると、脳のワーキングメモリに負担がかかり、言葉に詰まってしまうのだ。一方、手続き記憶に英語が落とし込まれていれば、脳に負担なく必要な情報が揃い、スムーズに発話できるようになる。この状態へ移行するには、スポーツの素振り練習のように、脳科学的に裏付けられた大量かつ実践的な反復練習が不可欠である。
Q. 無意識に英語が出てくるようになるため、「チャンク」をどう活用した練習が必要となるのか?
流暢な英語を話す人は、単語単位ではなく、「チャンク」(2〜8語程度の言葉の塊)をレゴブロックのように組み立てて文章を生成している。このチャンク思考を身につけることが、瞬発力とスムーズな発話を可能にする。
具体的な学習法としては、例えば「Can you please get back to me by Friday?」という文章を、チャンクごとに区切って練習する。「Can you please(丁寧な依頼の冒頭)」「get back to me(返事をする、報告する)」「by Friday(金曜日までに)」のように、各チャンクを徹底的に体に馴染ませるのだ。これをパターンプラクティスと呼び、一つの文型に対して最低180回程度繰り返すことで、無意識に口から出るレベルまで引き上げられる。
効果的なパターンプラクティスでは、文字に頼らず音声のみを聴いてリピート練習を行う。これにより、実際の会話に近い「英語モード」で練習ができ、実践力が養われる。また、普段ビジネスでよく使うフレーズを自らカスタマイズして練習に取り入れれば、より実践的なスキルとして定着させられる。この訓練を繰り返せば、「This is a pen」が誰でも言えるのと同じように、多様なチャンクを使ってビジネスコミュニケーションができるようになるのだ。
Q. 日本人として英語を身につける上で、持つべきマインドセットや学習姿勢は何だろうか?
単調な反復練習を「お経」のように苦行と捉えるのではなく、「自分ごと」として臨場感を持って行うことが極めて重要だ。例えば、「嫌いな上司にこの依頼をしている場面」や「部下を鼓舞している場面」を想像しながら練習する。感情や具体的なイメージを伴うことで、手続き記憶への定着が格段に早まり、学習も格段に楽しくなる。
多くの日本人は、高校の教科書やTOEICを通じて既に豊富な英語知識を持っている。アメリカ人が「日本人は英語を話せないのではなく、話したくないだけ」と評するほど、基礎力は十分だ。完璧な「ペラペラ」を目指す必要はなく、持っている知識を信じ、話し始める一歩を踏み出せば、ビジネスで十分に通用する英語は誰でも身につけられる。自分の担当するビジネス分野を限定し、一つずつ使える表現やチャンクを増やしていく姿勢こそが、着実に成果を出すための鍵となる。