
2026年テスタが儲けた株/注目銘柄はソフトバンク
2026年テスタが儲けた株/注目銘柄はソフトバンク
個人投資家として莫大な資産を築き上げた100億円投資家テスタ氏。その投資人生は、時代と共に変化する市場環境を読み解き、自身の投資戦略を柔軟に適応させてきた歴史である。
本稿では、テスタ氏が過去1年に目をつけて勝負した銘柄から、長期投資への移行、カリスマ経営者への見方、そして相場を生き抜くために必要な「鈍感力」に至るまで、多岐にわたる投資哲学と具体的な判断の裏側を深掘りする。彼の独自の視点と戦略から、これからの投資に役立つ貴重なヒントを見出せるだろう。

Q. キオクシア株で見せたデイトレードの極意と大規模資金での取り組みはどのようなものだったか?
テスタ氏の投資スタイルは短期トレードが中心だったが、近年は長期投資への移行も進んでいる。しかし2024年のキオクシア株では、約10年ぶりとなる本格的なデイトレードを行った。
このデイトレードで成功する鍵は、特定の銘柄を毎日継続して取引し、その銘柄特有の値動きの癖や、売買する参加者の行動パターンを徹底的に肌感覚で把握することにある。これにより、取引開始から1週間〜10日程度で負けにくい状態を確立できると氏は語る。
キオクシアにおいては、突出した売買代金が氏の大規模な資金運用を可能にした。一日で約1400回の約定を行い、多い日には400億円から500億円規模の売買を成立させていた。東証全体の売買代金が1兆円以下だった時代を知る氏にとって、1銘柄で数兆円規模の流動性があるキオクシアは、現在の資金規模でもデイトレードを行うことができる数少ない機会だったという。
Q. 20年越しの夢、「オリエンタルランド」の底値買いの決断に至った経緯と判断基準は何か?

長期保有を前提とした銘柄選定において、テスタ氏は「一生持てる株」を探し続けている。過去6〜7年前には米国の大型株を既に購入しているが、日本株でも同様の視点で検討していた。
オリエンタルランド株は氏が株を始めた頃から注目していたが、PER(株価収益率)が40倍〜60倍と常に割高な水準で推移しており、なかなか購入に踏み切れない銘柄であった。しかし、コロナ禍などを経て株価が半値以下に下落した局面を氏は見逃さなかった。この株価2200円付近でのエントリーは、氏が20年越しの購入機会と判断したものだ。
一般的な割安水準(PER20倍未満)まで下落しないまでも、過去の自社水準と比較して「まあまあ割高」(PER25倍前後)な水準かつチャートで横ばい圏で推移した時をエントリーポイントと判断する。人気株は、常に買いを待つ層がいるため、完全な割安にはならないという独自の読みがそこにはある。
同社が日本におけるエンターテイメントの最高峰として盤石な事業継続性を持ち、競争優位性が極めて高い点も、長期保有を決定する大きな要因だ。チケットの値上げが可能であるブランド力は、来園者数に左右されない利益成長を見込めることから、長期的な株価上昇に繋がる可能性が高いと分析する。
Q. サイゼリヤの下方修正を「買い」と捉えた独特な視点とその後の戦略はどのようなものだったか?
サイゼリヤの株への投資判断も、氏の独自性を示す好例である。2024年4月に下方修正が発表された際、通常であれば売り材料となるニュースを氏あえて買いと判断した。
その背景には、長らくミラノ風ドリアが300円のまま据え置かれるなど、他社が値上げする中でサイゼリヤが価格戦略を維持していた事実がある。下方修正を「株主との約束を果たすため、経営陣が国内での値上げに舵を切る必然的なきっかけとなる」と解釈した。その予想通り、その後値上げの検討が報じられ、株価はストップ高となった。
テスタ氏は値上げ発表後も買い増しを続けた。その理由は、値上げによる本格的な利益貢献がまだ株価に十分に織り込まれていないと判断したためだ。さらに、サイゼリヤは海外での店舗展開も加速しており、年間100店舗(3日に1店舗)ペースで出店を続ける「再現性のある成長戦略」が高く評価されている。
氏のサイゼリヤ株への投資前提は、値上げ後の客数維持、あるいは客足の落ち込み幅をカバーする収益性の向上と、海外展開の順調な推移である。これらの前提が崩れた場合には、ためらわずに損切りするという明確な基準を持つ。長期保有の銘柄であっても、当初の前提条件とのズレを許容しない厳格な姿勢を示している。
Q. カリスマ経営者への信頼が軸となるソフトバンクグループへの投資哲学とはどのようなものか?

テスタ氏が注目銘柄として挙げた一つにソフトバンクグループがある。同社は近年、事業会社から投資会社へとその性質を変化させている。特にAI分野への傾注は顕著であり、氏はこの分野における孫正義氏の卓越した先見性と資本配分能力を高く評価する。
個人投資家がAIのような複雑かつ急速に進化する市場全体を完全に分析しきるのは困難であるため、市場で群を抜く知見と胆力を持つ孫正義氏に「任せる」形で投資を行うことは、極めて合理的な選択だと氏は考える。自らの判断よりも優れた投資家に資金を委ねる、という氏独自の投資哲学の現れと言えよう。
もちろん、短期的な売買でソフトバンクグループ株を攻略することは難しく、氏自身も短期トレードでは2億円規模の損失を経験したことがある。しかし、超長期的な視点で見れば、孫氏が主導する投資によってソフトバンクグループは着実に企業価値を向上させていると指摘する。孫氏の存在が最大のリスクであると同時に最大の機会であり、彼が「あと10年やる」と語る限り、その投資は有効であると判断する。
Q. 長期投資成功の鍵「鈍感力」と精神的な強さをいかに養うべきか?

長期投資の難しさについて、テスタ氏はテラドローンのような成長株を例に解説した。初期の1600円から1万円へ急騰し、その後2000円まで暴落し、さらに2万円へ再急騰するといった激しい値動きは、多くの個人投資家にとって保有し続けることを困難にする。
氏はこれを「鈍感力」と呼ぶ。含み益が減少したり、株価が一時的に急落したりする局面で、不安に駆られて売却したり、途中で利益確定してしまったりする誘惑に打ち勝つ精神的な強さが必要とされる。
この鈍感力を養うためには、まず精神的な安定を保てる範囲でしかポジションを取らないことが重要だ。また、短期的なデイトレードを行う資金と、長期的な視野で保有する資金とを頭の中で明確に区別する能力も不可欠となる。目の前の値動きに一喜一憂せず、自身の立てた長期的なシナリオを信じ抜く意志が問われる。
その他、注目している銘柄として氏はトヨタを挙げる。トヨタが日経平均の上昇から取り残されている現状を、需要がないためではなく、半導体不足や生産体制の問題など一時的な供給制約によるものと分析する。このような「需要があるのに作れない」状況は、制約が解消された際に業績が急回復する好機となりうると考える。
また、楽天やサイバーエージェントなどのカリスマ創業者による企業における「事業承継」の問題にも着目している。創業者個人の影響力が強い企業では、世代交代が株価に与える影響は大きく、後継体制がスムーズに機能するかが評価の分かれ目になると分析した。
