
2022/11/17
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「ミドルマネジャーの支援を真剣に考える必要があります」
警鐘を鳴らすのは、キャリアカウンセラー兼コーチとして、直近1年で100人を超えるマネジャー支援に携わってきた筒井健太郎さんです。
リクルートワークス研究所に所属する人材開発の研究者でもある筒井さんは、この「ミドルマネジャーが抱える課題と解決策についての研究は、ほとんど“空白”状態」になってしまっていると指摘します。

カウンセラー兼コーチとして、マネジャーの生の声を聞いてきた中で、筒井さんは「一般的に捉えられている以上に、マネジャーは苦しい状況にいるのではないか」という実感を強めてきました。
「部下にどう関わったらよいか分からない」、「やることが多くてつらい」、「この状況を誰に相談してよいか分からない」と一様に苦悩を訴えるケースが多いと言います。

一般的に、マネジャー職にある人はアンケート調査において、自分の本音よりも「社会的に望ましいとされる回答」を優先する傾向が強いことも指摘されています。
結果、マネジャーを取り巻く実態は、適切に把握されていない可能性が高いと説明する筒井さん。特に気になるのが、マネジャーにまつわる二重の「ケア」の問題、つまり、部下のケアと自分自身のケア、どちらも切実に求められているという問題です。
産業能率大学総合研究所の調査によると、課長職の99.5%が実務も担うプレイングマネジャーというのが現状。マネジメント業務に集中できない状況に加えて、マネジメント業務においても質的な変化が起きています。

第2話ですでに述べたように、マネジャーが担うマネジメント業務は、大きく分けて2つ。日常の業務推進といった「仕事」の業務推進系マネジメントと、部下の指導・育成や職場の人間関係づくりといった「人」に関わるピープルマネジメントです。
マネジャーの役割は長期的に見て変わらない部分も多いとされていますが、近年注目されるようになったのがピープルマネジメントの重要性。中でも、メンバーとの関り合いの中で、ケア(配慮)や対話の要素がより求められるようになったという変化が、今のミドルマネジャーを戸惑わせているのです。
「自分たちが上司からそうしたアプローチを受けた経験が十分にないから、上司は手本にならない。何を手掛かりにしていいか分からない暗闇の中で、必死にサーチライトを探しているのが、今のミドルマネジャーの姿ではないでしょうか」
サーチライトを求める新世代マネジャーを救うために何が必要なのか。処方箋として、筒井さんは3つのポイントを強調します。

1つ目は、ケアや対話に関するピープルマネジメントスキルの教育機会を継続的に提供すること。
例えば、マネジャーが対部下の「1on1」を定期的に実施することを会社のルールとして決めるならば、「1on1」に求められるアクティブリスニングやコーチングのスキルを習得するためのトレーニングの時間も先んじて確保する手立ては不可欠。しかも、継続的に学習できる環境を整えることが重要です。
「ケアや対話に関するピープルマネジメントのスキルは、たった1回数時間の座学で身につくようなものではありません。個人が学ぶ努力は大前提ですが、会社としても支援する体制を整えることが、マネジメント層の定着と成長につながります」

しかしながら、中にはどうしてもピープルマネジメントの領域で力を発揮できないマネジャーもいます。
「これらのヒューマンスキルは、難易度が高く、また得手不得がはっきりと出てしまう部分です。根っから得意なマネジャーもいる一方で、不得手なマネジャーがトレーニングしようとしても、十分に開発できないことも多いのは事実です。そうした場合、無理に負荷をかけるのではなく、これらの役割を思い切って切り離してしまうのも一つです」
例えば、ケアや対話を専門に行うチームを別につくり、これらの役割をそのチームに任せてしまうといった方法が考えられます。

処方箋の2つ目は、「ミドルマネジャーのメンタルケアの強化」です。
マネジャー自身のメンタルダウンは組織全体の大きなリスクになります。
「マネジャーが自らのケアにもっと意識を向けるのと同時に、企業側もマネジャーのストレスを解消するための働きかけをしてほしい」と筒井さんは強調します。
最低限の予防策として、産業医やカウンセリングを提供する施策はすでに一定規模以上の企業では実施・定着されていますが、本当に必要としている人にこれらのサービスが届いていないのが実態です。

「ハラスメント予防の目的から、非管理者のメンバーに積極的に案内されることが多いストレスケア施策ですが、実はこれを一番必要としているのは、新しい役割期待の中で暗中模索し、積み重なった多用な役割の下で苦しむマネジャーたちです」
企業側がこうした事態に気づきマネジャーにアプローチすることはもちろん、「マネジャー自身が適切な助けを求めることも必要」なのだと筒井さんは繰り返します。
これが3つ目の処方箋、「ヘルプシーキングスキル」の習得です。具体的にどんなアクションが必要なのか、続く第5話で解説します。
※11月18日(金)公開予定の第5話に続く