
SOで2億円手にした夫婦の選択 IPO後に「半分」売却した理由
構成/加々美 翼 撮影/稲垣純也
スタートアップが盛り上がる中、SOによって大金を手にするのも夢ではなくなっている。その他にも早期退職や相続などでまとまった金融資産が急に手に入った場合、正しく運用できる自信があるだろうか? 住宅購入などの大きな支出はどう考えるか。IFAの長谷川学氏が事例を元に深く解説する。
SOで突然資産を持ったAさん
では具体的にどんなアドバイスをするのか、実際の顧客の例でみていきます。
Aさんは30代前半で、自身が勤める会社が上場したことにより、SOで2億円相当を手にしたという方です。
今後、どのような資産配分で運用していけば良いか。将来の資産形成に向けて、SOを一部売却した方がよいのか。その場合の税金についてや、売却の方法などのご相談に対し、どういう戦略を立てていったのか、説明していきます。
まずはゴールを描く
運用アドバイスは、ゴールベース・アプローチで行います。ゴールベースアプローチとは、自身の将来を思い描き、この先どのような生活をしたいか、どのような夢を実現したいかなど、具体的に考えてライフプラン上のゴール設定をすることです。
Aさんの場合、「短期的には自宅購入を3年以内に行い、長期的には自社のSOに頼らず安定した生活を送る」ことをゴールに定めました。具体的には、自宅購入費用と、老後資金として80歳時点で換金可能な資産を4,000万円分確保することの2点。
これらのニーズを達成するため、まずAさんの資産状況をしっかりヒアリングしながら整理し、資産の将来予測を立て、シナリオを設計していきます。

SOをいつ、どのくらい売却するか
具体的な設計の前に、この例で肝となるSOについて話します。
SOは、基本的に自分が所属する会社から付与されているため、感情的には「まだ伸びる」「持っておきたい」と思う方が多いです。しかし、実際には多くの会社は上場時、割高に評価される傾向にあります。設定したゴールを叶えるためには、感情面でためらいがあったとしても、合理的に考えると一部は売却するべき場合があります。
もし、将来的に保有しておきたいのであれば、資産がある程度形成できた後に、買い戻すという選択肢もあります。
SOのもう一つの使い途
もう一つ、SOで得た株式を担保に“証券担保ローン”を活用するという方法もあります。行使する際に現金が必要(※)になりますが、行使した株に関しては、それを担保にお金を借入できる場合があります。(金利や借入可能比率は、各証券会社による)
※SOは生株ではなく、あくまで新株予約権です。上場以降、会社が設定した価格で株式を買うことができるということなので、指定価格×行使分の現金を支払う必要があります。
例えば2億円分あるAさんの場合、株式価値の30%の6,000万円を借入して、その6,000万円を3.5%で運用した場合、借入の金利(仮に1.5%とする)を払ったとしても2%分の120万が、キャッシュフローとして増えるということになります。
注意点としては、ボラティリティが高い銘柄では、株価が半分や4分の1などになる可能性が高い確率としてあるという点です。株価が大きく変動し、下がった場合には、追証が発生し、すぐにお金を返す必要が出てきます。比率を考え、流動性の高い運用をすることが重要です。

実際Aさんは、SOを1億円売却した残りのうち、50%は権利行使をし証券担保ローンに拠出しました。また、売却した1億円は、売却でかかる税金(約20%)を支払い後、半分を株式、半分を債券に投資するという選択をしています。
なぜそうしたのか、第7話で話した4つのポケットの考え方になぞらえて、Aさんの例を見ていきましょう。