
【深井龍之介】人生で一番大きな出来事は、妻との出会い
取材・構成/古澤誠一郎 撮影/竹井俊晴
日本を変えるイノベーターが仕事の軌跡と半生を語り尽くす新連載「マイヒストリー」。挑戦者たちの原点と未来のビジョンが明かされる。人気のポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」を配信するCOTENの深井龍之介CEOが、世界の未来と自分史を語り尽くす(全30話)。

勉強の仕方を覚えたら、勉強は楽しい
中学時代に「勉強の仕方」を覚えて以来、僕にとって勉強は「楽しいこと」になっていました。
世界史は「面白いな」と思いながら勉強していましたし、数学もゲームみたいな感覚で楽しんでいました。国語も面白いし、英語も面白いし、英語は面白いだけでなく勉強する意義があると感じていました。
ただ化学だけは、「ベンゼンとかモルが自分にとって本当にどうでもいい」と感じていたので嫌いでした。

大学選びの基準
大学は地元の島根から離れて九州大学に進学し、社会学を専攻しました。最初は哲学科への進学を考えていたのを覚えています。
大学選びの基準は、「経済的な理由で私立には通えないので国立に」「高確率で合格できるA判定の学校を受験する」「自分が嫌いなセンター試験よりも2次試験の配点が高い大学を選ぶ」といった今思えば適当なものでした。
それ以外のことは深く考えていなかったですし、大学選びの基準を教えてくれる大人も周りにはいませんでした。

大学で学んだ社会学は今でも好きですが、当時は真面目に授業を受けている学生ではありませんでした。
僕には「授業を聞いて先生から学ぶ」という勉強の概念がなかったので、授業は聞かずに自勉だけをしていました。
大学の勉強に意味はない
そして大学で勉強する意義も見いだしてなかったので、大学に通うのは完全に「就職のため」でした。
なので授業は「どれだけ楽に単位を取れるか」という基準で選んでいました。経済的な理由から授業料免除を受けており、それを継続するには一定の優秀な成績が必要でした。
授業は真面目に受けていませんでしたが、「可能な限り短時間の対策で成績を上げる」「なるべく怠けながら単位を取る」といった効率への追求はして、実際に効率は良かったです。

そうした姿勢で大学の授業を受けていたのは、大学の勉強だけでなく大学という権威も何の意味もないと思っていたからです。
「好き勝手」がデフォルト
勉強以外ではバンドサークルをやっていました。そこでも僕は我が強いままの人間でした。
バンドのメンバーを決めるのは自分、音楽のジャンルや演奏する曲を決めるのも自分。ついて来られない人はついて来なくていい。自分で組みたいときにバンドを組んで、解散したくなったら解散していました。

その好き勝手が僕のデフォルトだったし、当時は「好き勝手」という概念も頭になかったので、それが普通だと思っていました。
僕の人生で一番大きな出来事
大学時代にあったことで「僕の人生で一番大きな出来事」といえるのは、妻との出会いです。
先に述べたように、僕は社会に対して怒りや恨みを持っていて、自分は反社会的な人間だという自覚もありました。
基本的に人間が嫌いで、初めて会う人は全員嫌い。「どうやったら世界が滅びるか」みたいなことばかり考えていました。
それが、妻と出会ったことで徐々に変わっていきました。

妻は人に対して愛情を注げる人間です。社会に怒りを抱えている僕をいさめるでもなく、ただ一緒にいてくれました。その生活の中で、反社会的な気持ちは、少しずつ消えていった感覚があります。
思えば僕の両親も、僕に対して何の強制もせず、ただ愛情だけを注いでくれました。妻もそういうタイプの人だったからうまくいったんでしょう。
妻と出会った頃の僕は人に愛情を持てない人間でしたが、それもだいぶ変われたと思っています。

*本連載は2話ずつ毎日公開します。明日の第17話に続く。