
【深井龍之介】同級生の証言「ネガティブオーラが出てた」
取材・構成/古澤誠一郎 撮影/竹井俊晴
日本を変えるイノベーターが仕事の軌跡と半生を語り尽くす新連載「マイヒストリー」。挑戦者たちの原点と未来のビジョンが明かされる。人気のポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」を配信するCOTENの深井龍之介CEOが、世界の未来と自分史を語り尽くす(全30話)。

自分をメタ認知するのは難しい
今回は、高校時代の同級生である稲垣杏太くんと岩田輝くんに僕のことを語ってもらいます。
自分を客観的に見るのは難しいので、どんなふうに見られていたのか、興味深いですね。
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こわもての体育教師に反発
稲垣 事前にPIVOTさんからいただいた質問に「現在の事業の原点を感じさせるエピソード」ってあったけど、まったくないよね(笑)。
頭は良くて語彙力は豊富だったけど、リーダーシップを発揮するタイプでもなくて、どちらかというと人と群れるのが嫌い。体育会系的な上下関係も嫌いだった。
岩田 何事にもドライというか、何か達観してたよね。その雰囲気は今に通じるところがあるけど、当時はその冷めた感じがネガティブなオーラとして出ていて、僕は「リュウちゃんって社会に出てちゃんと働けるのかな?」って思ってた。
稲垣 体育祭とかサボってたからね。

岩田 言葉にはしないけど、「みんな何でそんな熱くなってるの?」みたいな空気を発してたかもしれない。
稲垣 体育教師にも反発してたよね。当時の学校には角刈りサングラスのこわもてな先生がいて、みんながビビる存在だったけど、リュウちゃんはその体育教師に「体育教師っていらなくないですか?」と言っちゃう人間だったから(苦笑)。
マリリン・マンソンにドン引き
岩田 あとリュウちゃんといえばマリリン・マンソン。クラスメイトに布教活動をしてて、「『The Love Song』って曲、タイトルはラブソングなのに歌詞が全然ラブソングじゃないんだよ! government みたいな単語とか出てくるし、最後にFuck Yeahとか言ったりして、すごく面白いから!」と楽しそうに話してたのを覚えてる。

稲垣 みんなポカンとしてたよね。マリリン・マンソンが自分の体を傷つけて血を流すPVとかも「すごくない? こんなのやってるよ!」って喜んで紹介してたし。
岩田 ほかの友達に高校時代のリュウちゃんの印象を聞いても、「遠足の帰りのバスでマリリン・マンソンを流して、みんなドン引きしてた」って言ってたよ(笑)。

「愛想という概念を知らなかった」
稲垣 あと本人も「愛想という概念を知らなかった」って言ってるけど、たしかにみんなが愛想笑いしてるときも一切笑ってなかった。ちょっと口角がひきつってるぐらいだったな。
岩田 なんかここまでの話だと「ヤバい人で生徒の中でも浮いてそう」みたいな印象になりそうなんだけど、別にそんなことなかったですから。
リュウちゃんは子供っぽくて親しみやすいところもあったし、クラスで誰かがフザケたことをしたら机をたたいて爆笑するタイプだった。
稲垣 人を楽しませるサービス精神もあったよね。日直が書かなきゃいけない日誌で「○○が○○さんに告白したけどフラレて気の毒だった」とかウソの物語を作ったりして。
形式通りに真面目なことをやらされるのに反発したい気持ちがあったんだと思う。
僕らの学校は浪人生が校内の補修科に通う仕組みがあるんですけど、リュウちゃんは朝から必死に勉強してる人たちをバカにしてて、「教室の中で勉強してる人たちにバレずに、横の廊下をスライディングで通り過ぎるゲーム」を一緒に楽しんだのもいい思い出です。

大企業でコスパよく稼いでいきそう
岩田 こうやって話すと「やっぱりほかの人といろいろ違ったな」と思う部分もあるけど、本人はそんな意識は全然なかったのかも。
稲垣 将来、起業しそうな雰囲気はなかったよね。俺はむしろ「大企業で出世の階段を上ってコスパよく稼いでいきそうだな」と思ってた。
だから大手企業に入ったのは本人も納得だったと思うし、「金の卵」って呼ばれてすごく期待されてたって聞いたよ。
でもそこでうまくいかなくなってから、考え方がいろいろ変わったんじゃないかな。
岩田 このあいだリュウちゃんが大学時代の話をCOTEN RADIOでしてたけど、リュウちゃんのバンドのボーカルの女の子があまり歌がうまくなくて、「『なんで歌がうまくないのにボーカルやってるの?』と言って泣かせてしまった。それくらい自分はひどいやつだった」って話してて。
「ああ、大学時代は僕らの知ってるリュウちゃんのままだったんだ」って思ったよ(笑)。
*本連載は2話ずつ毎日公開します。明日の第15話に続く。