
2022/07/15
読了目安4分
大学院の修士過程修了後に入社した電通では、関西支社に配属。テレビ朝日のCM枠を担当しました。僕が担当したのは全国ネット・30秒枠のCMで、仕事の内容は分かりやすく言えば、「CM枠の仲介業」。

テレビ局側と良好な関係を築くことで良いCM枠を仕入れ、それをクライアント担当の営業に渡し、契約から撮影、放送まで各種の調整を行う仕事です。
2年目に異動したデジタル分野の部署では、産学共同プロジェクトを立ち上げ、3年目には視聴率とWebのバズの相関分析を行うシステムを開発。論文も執筆し、社内で役員へのプレゼンテーションも行いました。
そしてGoogleへ転職したのは、入社から4年目のことでした。
転職を考えたきっかけは、まず「生まれ育った東京で働きたい」という個人的な理由でした。今思えば関西で働いた経験は非常に有益なものでしたが、当時の自分はそうは思えず、入社から3年が過ぎてから転職サイトに登録し、転職活動を始めた形です。
その後いくつかの企業に応募をしたものの、ピンとくる企業と出会えない状況が続きました。そんな時期に転職サイト経由で、Googleから広告セールスの職種でのオファーが届きました。具体的な仕事のイメージはつきませんでしたが、「とりあえず受けてみよう」と応募をしました。
Googleへの転職を考えるなかでは、企業の将来性も改めて考えました。まず当時の電通は、テレビ広告の売り上げが全体の50%程度を占めている状況でした。そのおかげで僕は大きな案件に関われたわけです。
テレビの視聴率が下がっても、CM枠の単価が値崩れを起こさなかったのは、電通の社員たちが必死に営業をしていたからです。しかし、これから人口減少が続く日本において、テレビ広告の価値に疑問符が付き、「このビジネスはサステナブルだろうか」と考えるようになりました。
一方のデジタル広告については、非常に大きな成長の可能性がありました。また、日本の市場がシュリンクするなかでは、グローバル企業での仕事を経験したほうが、今後のキャリアは築きやすくなるとも感じました。
ただ、電通を20代で辞める人は珍しく、おそらく同期初の転職だったのではないかと思います。それでも、Googleでデジタル広告の分野にキャリアチェンジをすべきだと感じました。
Google入社後は、有名企業の広告を担当するLCS(ラージ・カスタマー・セールス=大企業の広告セールス)のチームに入り、最初の3年は化粧品などのビューティ系の企業を担当。さらに1年ほど外資系自動車メーカーを担当しました。
その後の4年はYouTube広告プロダクトを担当し、Googleでは計8年間勤務した形です。
僕がGoogleに採用された理由を自分なりに分析をすると、やはり「電通でテレビCMの営業をしていた」という経歴は大きかったと思います。当時、日本の広告市場の売り上げの半分はテレビ広告という状況だったので、Googleは将来的にその市場の数字も取りに行く必要がありました。
実際、クライアント営業を担当していた際に、間にいた代理店と一緒にテレビとYouTubeの最適アロケーションなどを模索し、年間契約などを取り付けたこともありました。

さらにYouTube広告プロダクトの仕事では、今のYouTubeではおなじみとなった「6秒広告」のローンチにも関わることができたのです。
「30秒や15秒で作られてきたテレビのCMを6秒にするにはどうするか」「6秒では何を伝えられるか」をレクチャーする企業向けのセミナーも開催しました。そうした仕事には、電通時代の経験が大いに生きていたと思います。
入社した2011年当時のGoogleは、創業から13年。その後に業務規模を急拡大する時期と比べると、採用人数もまだ少ない時期でした。そしてGoogleのウェブ広告も検索連動型広告が9割で、バナー広告はほぼなく、動画広告はありませんでした。
そのため広告の分野でも「新しいもの」「新しい売り方」を考えて実行するスキルが求められました。電通入社して数年以内に新しいプロジェクトを立ち上げ、視聴率以外の指標に着目したCM枠の売り方を考えた経験は、Googleに合っていたポイントだったと思います。
テレビCMの営業であれば、「これだけ視聴率でこれだけリーチ取れるので、この価格でどうですか」という提案ができます。それに比べて、デジタル広告はいつ・どの場所で・どのように表示され、どれだけの人にリーチできるか、そしてどういうブランドインパクトが生まれるのか、まだ解明し切れていない時期でした。
そのため広告営業のプレゼンも、データとフレームワークを用いたソリューション型のものになりますし、その能力はGoogleの営業に求められるものといえるでしょう。

僕は海外滞在経験とTOEIC900点台のスコアを持っており、英語には特に問題はなく、入社時の面接で聞かれることはなかったです。実際には、日本で営業の仕事をしている段階では、社内メールが英語で届く程度で、高い英語力が求められる場面は多くありませんでした。
ただしGoogleのようなグローバル企業では、チームリーダーの立場になると、英語ができないとマネジメントが上手くいかないはずです。
例えば「この部下は頑張っているし、能力もあるから昇進させたい」と思っても、自分の上司やほかのチームリーダーを納得させるために、英語でのプレゼンが必要です。それが上手くできなければ部下も昇進ができず、不満もたまっていくでしょう。
海外のチームに参加することもできるので、英語はできるにこしたことはなく、社内のキャリアは広がりやすくなると思います。

第2話では、僕がGoogleで得たスキルについて語ります。
※第2話は2022年7月15日公開予定