
トップ大学ではどんな「課外活動」が評価されるのか?
構成/岩辺みどり 撮影/林 直幸
英語圏の名門大学に進学するには、小中学時代からの準備が欠かせない。自らハーバード、スタンフォードで学んだ、起業家の松田氏が創る「海外進学の決定版ガイドブック」。第11話からのシーズン2は、実践編として具体的な解説を行う(5日連続で10話公開)。

好きなことをどんどんやる
海外大学入試の重要な審査要素となるのが、本連載で何度も触れてきた「課外活動」です。
子どもは興味を持ったことや好きなことは、どんどんのめり込みます。主体性を持ってもっと知りたい、もっと上達したい、もっと上のレベルに挑戦したいと思うのです。
さらに次のステージでは、「こうしたらどうだろう」と探究をし、仮説を立てて検証するという行動変革へと移っていきます。
好きでのめり込めば主体性も生まれます。大変でも挑戦しますし、自分で決めるから責任を持ってやり通します。とにかく、好きなものをどんどんやることが原則です。
この「興味→探究→仮説→検証」といったプロセスが見えるのが課外活動であり、それを重点評価してくれるのが、海外の大学入試なのです。
海外の大学が欲しいと思う人材とは、語れるストーリー、いわゆるコンテキストのある課外活動に取り組んできた学生です。なぜなら、そういう人材は、「何かを良くしたい、達成したい」という情熱を持ち、目標に向けてトライ&エラーを繰り返しながら、行動できる人だからです。
そして、そういう人材こそが、このVUCAと言われる時代に見えない将来を切り拓いていくことができるからです。
課外活動さえ”正解主義”の日本
日本の学校でも、アクティブラーニングやプロジェクト型学習などに取り入れつつありますが、課外活動に重きは置かれていません。
しかも、日本で課外活動と言うと、受験と同じように“正解主義”に陥りがちです。
既存の日本における海外大学進学塾では、「欧米の大学に受かるためには模擬国連や数学オリンピックで賞を取らないといけない」「スピーチコンテスト出ましょう」「スポーツなら全国大会で入賞しましょう」といった型にハマった指導をしがちです。
しかし、とりあえずスタンプ集めのように賞の名前や数を集めようとすると、中途半端な結果になりかねません。

そんなやり方では世界から受験してくる学生たちとは差別化できませんし、そもそも、賞を獲るための内発的動機や探求が学生の中に生まれてくるわけがありません。
では、どのような課外活動が評価されるのでしょうか?実際に、米国のトップ大学に進学した生徒のケースを使って説明してみます。
新潟の公立高校生が4千万の奨学金を獲れた理由
<Case Study1:ウェズリアン大学進学 高橋さん>
一人目のケースは、昨年、アメリカのウェズリアン大学に全額奨学金をもらって合格した高橋さんです。
ウェズリアン大学は、フォーブス紙の調査では全米大学ランキングでも10位以内に入り、リベラルアーツでは3本の指に入る大学です。

その大学側から「君は面白い」と認められ4千万円近くの学費が無料となりました。さらに柳井正財団からも奨学金を獲得しています。
彼女は新潟で育ち、日々の中で女性が抑圧されているように感じていました。
部活の部長や生徒会など、気づけばみんな男子がやっている。女子がやろうとすると「いやいや、女の子なんだから」と言われる。そこに違和感を感じ、彼女は女子校に進学。女子校は男がいないから、リーダー的なポジションを取りやすいと考えたのです。
実際、女子校での生活を通して「新潟でも女性がしっかりと生き生きとして成長できる環境を作れるんだ」という原体験と確信が彼女には生まれました。
それを内発的動機として、世界的な女性の活躍支援組織「Lean In」の東京版、Lean In Tokyoに連絡をして、新潟にも立ち上げたいと行動し始めたのです。

「Lean In」は、Facebookの前COO、シェリル・サンドバーグが2013年に出し世界的ベストセラーとなった著書『Lean In』から生まれた、「女性が野心を持って、挑戦することができる社会」を実現するための支援組織です(ちなみに僕もLean In Tokyoのアドバイザリーをさせていただいています)。
その後、彼女は新潟で「Lean In Highschoolers」という高校生向けのプログラムを立ち上げて、講演会や勉強会を主催するようになりました。これこそまさに彼女にしかできないことです。
彼女だけのプロセスとストーリー
自分のことを知り、どんな社会をつくっていきたいかというビジョンを持った上で、「自分はこんな勉強をしたい」という思いが生まれた。そこには課外活動から読み取れる彼女だけのコンテキストが存在しています。
問題意識に直結した情熱があるからこそ、女性問題やカルチャーのテーマにのめり込み、深いリサーチを行い、さらには行動を起こしたのです。
さらに、女性のエンパワーメントが学べる大学を探し、社会運動も盛んなアメリカの大学を選びました。中でも、女性がリーダーシップをとる環境が整っており、全米屈指のリベラルアーツカレッジであるウェズリアン大学を選んだのです。
そういう誰にも負けない彼女だけのプロセスとストーリーがあり、それを体現する課外活動実績があったからこそ、大学側も奨学金付きで彼女にオファーしたのです。
今回は、原体験を大きなムーブメントへと変えた高校生のケースでしたが、次回はハーバード大学に進学した男子生徒のケースをお話しします。