
2022/06/24
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1、2話で、NFTゲームをプレイすることでお金を稼げるという話をしました。JobTribesを例に挙げましたが、ゲームを始めるにはカードを6枚購入しなければならず、日本円で4.5万円〜かかります。この初期投資ハードルを解決する仕組みがスカラーシップ制度です。
スカラーシップ制度は、JobTribesで既にカードを保有しているプレイヤー(オーナー)が、保有していないプレイヤー(スカラー)にカードを貸し出す仕組みです。例として、あるギルドのエントリーフォームを載せます。2カ月間の貸し出し期間中にスカラーが得たDEPのうち、カードの種類別に22%、50%、80%がスカラーの取り分になると書かれています。

GameFiを生み出した存在と言われるモンスターバトルゲーム・Axie Infinityでスカラーシップ制度が確立しました。驚くべきことに、実はこれは運営側で最初から意図して作っていた制度ではないと言われています。
始まりは2021年春頃。
Axie Infinityをプレイしたいフィリピンのユーザーが、NFT(カード)を保有している人(オーナー)に対し「あなたのNFTは放置されていて、稼いでいない。僕らが代わりにプレイして稼いであげるから、NFTを貸してくれ」と申し出たのです。
高価なゲームアイテム(カードなど)を購入していて、本来ではゲーム内でバトルに勝ちやすく、稼げるポテンシャルがあるにもかかわらず、忙しくて遊ぶ時間がないオーナーも多い。そこで、時間はあるが元手がないプレイヤーが、オーナーからカードを借りるということを思いついたわけです。オーナーに払うレンタル料のような料金を決めておき、ゲームで稼いだ総額をオーナーと分け合い自分の収入にするというアイデアです。
オーナーは「売るときに高く売れるかも」と思ってNFTカードを買っておいて、遊んでいないという人も多いです。それが、プレイヤーに貸し出すことで、持ち出しもなく決まったお金が入るならやってみようと思う人もいました。
2021年8月時点で、Axie Infinityでは、プレイヤーがオーナーのNFT(※JobTribesでいうカード。最初の元手として必要なもの)を借りてプレイすることで月に15万稼げて、半分をオーナーに返しても7.5万円手元に残る状態でした。
フィリピンの平均月収が5万円と言われているので、その数字には社会を変えるインパクトがありました。

これをJobTribesで言うと、オーナーはNFTを貸し出し、スカラーはプレイすることで報酬を獲得します。報酬は一旦全額オーナーが受け取り、両者の取り決めの通りスカラーへ給料として支払われる、という流れです。オーナーもスカラーも満足のエコシステムが自然とできています。
オーナーが10万円で買ったゲームアイテムが、貸し出して1カ月で15万になるとすると、それだけで原資が取れてしまいます。しかもそれ以降も、利益が出続けます。
2021年前半あたりには、利回りが数百%にも上る人も出現していました。
ここで起きたのが、オーナーの役割の事業化です。オーナーはNFT(ゲームアイテム)を多数買い、スカラーを増やすという行為を、事業化し、会社で行うことを考えます。会社の事業資金を使ってNFTを大量に買い込み、スカラーもたくさん雇う仕組みをシステム化できるからです。この事業体をゲームギルドと呼びます。


この図はJobTribesをはじめとしたDEAが提供する数々のNFTゲームを遊ぶことができる、PlayMiningプラットフォーム参画中の主なギルドです。
このようなギルドは、他NFTゲームも含めて2021年夏くらいから勃興し始め、今や世界で2.5万のギルドが存在します。
ギルドは、Web3ジャンルの新規事業として有望だと思います。
その理由の一つは、雇用を大胆に増やすことができることです。
Axie Infinityの最盛期は、DAU(Daily Active Users:1日に1回以上の利用や活動があったユーザーの数)が200万人いて、そのうち4分の1が雇われてプレイしている人でした。
ゲーム内雇用がフィリピンを中心に推定50万人いたということ。どんな世界企業でもなしえないサイズで雇用を生み出せる。ESGの観点からもインパクトがありました。

もう一つは、ギルドがまとまった資金を買い上げてくれるため、私たちのようなスタートアップでも、事業基盤の構築や事業拡大に邁進できる点です。
スマホゲームのガチャに多額のお金をつぎ込んでしまう“重課金勢”廃課金勢”と呼ばれる人たちでも、大抵10〜20万からスタートします。ギルドは数百万円、数千万円という額が当たり前です。なぜなら、購入するオーナーたちはそれを投資・資産運用だと思っているからです。
一般的なゲームにおける課金と異なり、GameFiのゲームアセットを購入することは、実世界のモノを買うことと同じことだと考えられます。しかも、セカンダリーマーケットが期待できる腕時計や自動車、マンションの一室のようなものです。そこでの値上がりが期待できるから、大金を投入できるのです。
また、スカラーシップ制度の上では、ゲームアセットを売らずに貸すことでさらにお金が入り続けるため、回収のめどもたちやすい利点もあります。
スカラーシップ制度は、オーナーやギルドにとって単に儲かるだけではありません。クリスマス・キャロル効果と私たちが呼んでいる現象が起きています。
『クリスマス・キャロル』はあの有名なチャールズ・ディケンズの小説で、金の亡者であるスクルージじいさんが、あるきっかけで改心してすてきなクリスマスを過ごすお話です。安月給で雇っていた社員の昇給を約束し、クリスマスのごちそうを届け、人に富を分け与えることで初めて、スクルージは幸せを感じられたというところ。
この「人に富を分けることで、幸せを感じられる」ということが、スカラーシップ制度の中で起こっています。
元手がなくスカラーとしてゲームを始めるユーザーの中には、新型コロナで失業してしまった人や、生活に困窮している人もいます。実際に、スカラーから多くの感謝の言葉が集まっているのです。



ギルド運営の中で、このようなスカラーから集まってくる1カ月分の感謝の言葉を集め、そのギルドのオーナーに見せたところ、「長年オーナー業や投資をやっているが、人助けなんかしたことなかったよ」ととても感動していました。
こうしてどこかの誰かを明確に救えているという実感を持てるのは、なかなか得難いことだと思います。
Web2以前は、ゲームとはひとりで楽しむだけでした。Web2世界でのゲームは、インターネットの向こうに他者がいて、自分がうまくプレイできることを見せたり競争したりして、承認欲求が満たすことができました。そしてWeb3では、自分の能力を他の人のために役立てるという新しい喜びが得られる可能性があると思っています。
4話では、自分でWeb3事業を立ち上げたいという人へメッセージを送りたいと思います。