
2022年2月1日
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――岩崎さんは2017年に起業し、キャリアSNS「YOUTRUST」をリリース。
一緒に働いた人から寄せられる“信頼”を可視化して、それをベースに副業や転職のチャンスが広がるプラットフォームを生み出し、ユーザー数を急伸させています。
転職市場のピボットを推し進めてきた岩崎さんが見据える社会ビジョン、そして、ご自身が起業家としてどう成長していきたいのか、じっくり聞かせてください。
まずは、YOUTRUSTを立ち上げた動機とはなんだったのでしょうか?
YOUTRUSTは、自分自身が転職しようとしたときに感じた違和感や不便さを解消するために、2017年末に立ち上げました。
解消したいと感じたのは「身近な人から信頼を集める優秀な人たちが、自分に合った転職ができていない」という課題です。
前職のDeNAで採用関係の業務を担当していた経験から、画一的な書類や面接での選考でしか能力を測られない問題、また、エージェンシーを介しての転職では、仲介手数料を高く取れる大企業への人材流入に偏ってしまうという構造的問題を感じていたんですね。
「信頼される人が報われる社会にしたい」という思いで、周囲の人からの信頼を可視化して副業や転職の希望を「知人の知人」まで発信できるSNSをつくろうと決意。
起業をする気は全然なかったのですが、「誰もやっていないのなら、自分でやるんだよ」と先輩から背中を押され、会社を立ち上げてから4年半がたちました。
――2021年には資金調達やSNSプロモーションも注目を集めましたが、岩崎さんが目指すゴールに対して達成具合はいかがですか?
起業当時と比べて成長を感じていることは、「自分たちの力で、“転職の常識”は本当に変えられる」という、ある種の自信がついたことです。
また一方で、「自分たちがやらないと、日本の人材の流動性は変わらない」と責任を背負うようにもなりました。
創業当初は、「人材の流動性を高めたい」というゴールまでは描けておらず、「自分や身近な人々を幸せにしたい」という小さな願望から事業を始めました。
それがここ1年ほどで「あれ? 私たちがやっていることって、日本全体に影響する規模になってきていない?」と自覚するシーンが増えてきて。
また、結果が出るにつれて、周囲からの期待も大きくなってきた実感があります。
その期待に応えつつ、「何のためにやっているのか」と原点に立ち返って、プチピボットを続けてきたイメージだと思います。
――最初は「自分や友人のためにつくったサービス」から始まったんですね。
はい。実際に始めてみると、自分たちのつくるサービスで世界は変えられる可能性に気づき、もっと大きな未来を描こうと思うに至りました。人間は“どこをゴールにするか”で着地点が変わるものですが、私の場合は、「身近にいる10人が幸せになれば良い」というゴールを、「日本にいる1億人のキャリアに変化を起こそう」というところまで昇華させたことで、景色が変わって見えるようになりました。
それまではサービス運用の大部分を自分自身で担っていたのですが、「このままでは遠くのゴールには届かない」と考えを改め、この1年でスイッチを完全に切り替えました。
また、コロナの影響で働き方やキャリアを見直す人が増えたことも追い風になりました。感覚的には5年早く、次の段階へと事業を進めることができました。
――「身近にいる10人を変えたい」から「日本中の労働市場を変えてみる」へ。ゴールを転換した背景には、何かきっかけとなる出来事があったのでしょうか。
一番のきっかけとなったのは、前職のDeNAの創業者、南場智子さんに叱っていただいたことでした。
1年ほど前、資金調達を控えて南場さんとお話ししたときのことです。南場さんに自分たちのサービスについてきちんと話をするのは初めてというタイミングでした。

順調に事業を伸ばしていた私はだいぶ調子に乗っていて、「いい感じです。投資してください」と、軽いトーンで話を始めてしまったんですね。
すると次の瞬間、南場さんは「あなたは何も分かってない」と一喝。
「あなたたちが始めた事業は、日本にとって本当に大切なことなのに、社長のあなたがそんなに目線が低くてどうするの?」と。背筋が伸びましたね。
――南場さんは創業当初から岩崎さんを支援してきた投資家の一人ですね。
はい、愛あるお叱りだったと思います。当時の私がプレゼンした目標は「20XX年までに数百億円規模の上場をします」といったもの。
それに対して南場さんは「こんな規模で上場しようとしているなんて、目線が低い」と失望したのだと思います。
日本の人材流動性を、5年で10倍にしようとするならば、数百億円のスケールで済むわけがない。つまり、自分たちの事業価値を理解していないと。
南場さんは、常に「日本をどうするか」という目線で世界を見ている方なので、起業した元社員が、目線も低く、自分たちの本来の価値も分かっていないというのがショックだったのだと思います。
あのとき私は叱られたわけですが、尊敬する先輩起業家であり、しかも日本の経済界を率いている南場さんから、ストレートに“期待”を受け取ったことは自信につながり、自分の中のスイッチが切り替わるきっかけになりました。
※岩崎さんのキャリアを深掘りする映像インタビューもお楽しみください。