
2022/06/16
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Web3ビジネスの中核を担うイーサリアムの歴史を振り返りましょう。
イーサリアムの構想が生まれたのは2013年。その生みの親は、当時カナダのウォータールー大学の学生だった、ヴィタリック・ブテリンというロシア系カナダ人の背年でした。
そして2014年6月には暗号資産「イーサ(ETH)」のICOが行われ、18億円相当のビットコインを調達。2015年7月に一般公開され、2016年3月にはイーサリアムが本格稼働しました。
しかし同年6月、「The DAO事件」と呼ばれる大きなトラブルに直面します。
「The DAO」とは、ドイツのSlock itという企業がイーサリアムのプラットフォーム上に設立した分散型投資組織の名称です。投資先はファンドの参加者の投票で決定し、上がった利益は独自のトークンで分配する仕組み。当時のICOでは、1億3900万ドル相当のイーサを調達しました。
しかし、「The DAO」のプログラムの脆弱性が何者かに突かれ、約360万イーサ(当時5000万米ドル)が盗まれる事件が発生しました。
その対応としてイーサリアムが行ったのは、「時計の針を巻き戻して、不正送金前の状態に戻すこと」。つまり、ハッカーが盗んだとされるイーサの取引記録をブロックチェーンから削除し、その上で被害者にイーサを戻す決定をしたわけです。
しかしブロックチェーンにおいて“時間を巻き戻す”のは一種の禁じ手です。その対応に反対した勢力は、不正送金のあったオリジナルのチェーンを継承する「イーサリアムクラシック」(ETC)を名乗って暗号資産の発行を継続。
イーサリアムのブロックチェーンは2つに分岐することとなり、イーサリアムは暴落を経験しました。
しかしその後イーサリアムは持ち直し、2017年から18年にかけてはICOブームが到来します。イーサリアムのプラットフォーム上では簡単にコインが発行できるため、様々なプロジェクトが立ち上がり、資金調達が行われたわけです。
例えば、ロシア発のメッセンジャーアプリ「テレグラム」のICOでは約17億ドル(当時のレートで約1800億円)が調達されました。
こうしたICOに参加するにはイーサの購入が必要になるので、ICOブーム下ではイーサの価格も急騰したわけです。
ただ、このブームにも問題がありました。従来のIPO(新規上場)では各種の厳しい条件があり、数年間の準備が必要ですが、当時のイーサリアムのICOは数枚のペーパーを提示するだけで簡単にお金を集めることができました。
その手軽さは大きな魅力でもありましたが、一方ではいい加減なプロジェクトも多数生まれてしまい、アメリカのICO専門の顧問会社サティス・グループの分析では「ICOの8割程度は詐欺」との見解も示されました。
実際にICOを行ったプロジェクトでは、約束した事業が実現しなかったものや、実現してもかなり残念な形になったものが数多くありました。そして2018年~2019年にかけては、SEC(米国証券取引委員会)が違法性のあるICOの摘発を強化。
「株と同じように投資を募ってリターンを返す約束なら、それは投資契約のはず。有価証券の基準に該当するものはきちんと登録手続きをしなさい」と基準や手続きの厳格化も求めたため、ICOブームは一気に下火に。イーサリアムも売り圧力が強い状態がしばらく続きました。
その後、2019年から20年にかけては、ICOブーム下でいくつかのプロジェクトが花開きました。
まずひとつが2020年のDeFi(分散型金融)です。DeFiとは中央の管理者がいない分散型の金融システムで、2018年にリリースされていたユニスワップなどが急拡大・急成長していきました。
以前から似たような仕組みの非中央集権的な交換所はありましたが、ユニスワップは使い勝手が良く、参加者の利益が上がりやすい仕組みも作ったので急拡大に成功したわけです。
そして2021年にはNFTブームが到来します。NFTも以前から存在したものですが、話題が目立つようになったのはこの頃からです。
話題を呼んだものの一例は、ブロックチェーン上のトレーディングカードゲーム「NBAトップショット」です。このトレーディングカードのテーマはNBAプレイヤーの名プレーで、それぞれの名プレーがNFTとして取引されます。
立ち上げから8カ月足らずでユーザー数が100万人に到達し、売買総額は7億ドル(当時のレートで約770億円)を突破 。数千万円の値がつくプレーも続々と登場し、世の中を驚かせました。
また「オープンシー」というNFTコンテンツの作成・出品・購入・管理ができるマーケットプレイスも一気に普及しました。同サービスの月間取引高は2021年8月には34億ドル(当時のレートで約3890億円)を記録するなど、急激に市場が成長を始めたわけです。
そして2021年から2022年にかけてはメタバースが大きな話題を呼びます。「サンドボックス」や「ディセントラランド」といったゲームから発展したメタバースでは、メタバース内の土地の取引が盛んに行われるようになりました。
モンスターを集めて戦わせる対戦ゲーム「アクシーインフィニティ」や、靴のNFTを購入してウォーキングやジョギングをすることが利益につながる「STEPN」など、NFTを活用した様々なゲームが人気を呼ぶようになりました。今後もNFTを活用したビジネスでは新しいものが次々と生まれていくはずです。
第3話では、イーサリアムキラーと呼ばれる暗号資産プロジェクトについて解説します。

第3話は2022年6月17日公開予定。