
2022年5月12日
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――最初に「CMOとはどんな仕事」だと定義しますか?
そもそも私の中でCMOになりたいと思ったことはないんですよ。たまたま自分の専門性がマーケティングなので、CMOという役職に就いています。
マーケティングの考え方やスキルを活かせる領域はたくさんあって、私の仕事は経営と組織の中にマーケティングを浸透させることだと思っています。いろんなところにビジネスと組織の成長チャンスを見つけて、そこに時間を使っています。

例えば、採用ひとつをとっても、分かりにくい募集要項を書いたら、読んでも分からないので、誰も応募しませんよね。それをマーケティングの発想で、ストーリー仕立てにして、すてきなパワポにすると、応募が増えるはずです。
そういう小さい工夫のところから、大きな経営戦略のところまで、マーケティングの専門性を生かす。それが私にとってのCMOの定義です。
――編集者も狭義に定義すると「本や雑誌やウェブなどメディアを編集する人」となるのですが、編集スキル自体はいろんな領域に応用可能です。それと似ていますね。
そういう感じです。
特にマーケティングはいろんなところで生かせるスキルなので、編集スキルと同じようにいろんなところで使っています。
――プロのマーケターとCMOに違いはあるのでしょうか?
そもそも日本では、CMOというタイトルの人はあまり多くないですよね。CMO人材の集まりに行っても、名刺を見ると宣伝部長だったりします。日本の中で、CMOの定義はまだ明確になっていないのだと思います。
私が思うに、CMOは組織づくりの役割が結構大きい。会社のビジネスや状況を理解した上で、「成長するためには今のマーケティングチームの採用や配置をこう変えていこう」とチーム全体をデザインしていく仕事です。

会社のサイズにもよりますが、CMOが直接手を動かしてやる仕事はそんなに多くありません。レノボでも、さまざまなキャンペーンが走っていますが、基本は各チームが頑張ってやってくれます。CMOはそれをサポートしながら、組織デザインによって価値を出していく仕事です。
――プロのマーケターは自ら手を動かすプレーヤーとしての面も強いと思いますが、CMOはマネジャーとして、チームメンバーに動いてもらう方が中心ということですね。
まさにそんな感じです。
そのためにもCMOは全てのことについて大枠を理解しておく必要があります。例えば、デジタルマーケティングのスキルや経験がないと、自分の部下にデジタルマーケティングについてアドバイスすることもできません。一つの専門を極めるよりも、全部をある程度理解しておくことが大切です。
――現在、レノボのCMOとして、どう組織をデザインしているのですか?
私がマネジメントしているのは、toBのマーケチーム、toCのマーケチーム、デジタルマーケティングチーム、オペレーションチームです。人数でいうと、合計で35人くらいですね。それぞれのチームにはマネジャーがいて、皆さんとても頼りになるので、細かいところはマネジャーが決めています。
大きい方向性を決めるタイミングでは、みんなと一緒に話しながら決めていきます。それと、みんなが困っている時には、「助けてください」というメッセージが来るので、随時サポートしています。
――毎日どんなことに時間を使うんですか?
大きく分けると3つあります。
1つ目は、定例のアップデートへの参加です。
さまざまなビジネスに関わっているので、いろんな定例ミーティングに出て、ビジネスやマーケティングプランの現状を理解していきます。そうして社内の各所に顔を出しながら、「ここにすごくオポチュニティーがあるのでは」と探すようにしています。

2つ目は、社外とのコミュニケーションです。
私は外部の方からインスピレーションを得るのが好きなので、エージェンシーや社外のマーケターなどと話しながら、マーケティングプランを磨き上げたり、新しいトレンドにキャッチアップしたりしています。
3つ目は、社内のチームとのコミュニケーションです。
レノボに入社したのは2年前ですが、ちょうど緊急事態宣言のタイミングだったので、入社以来ずっとオンラインが中心です。ただ、オンラインだけだと、皆が本当に話さなくなってしまいます。
だから、オンラインでも雑談が起きるように、雑談レベルの会話を投下したり、皆さんにいろいろ質問したり、会話がちゃんとオンラインでも起きるように声をかけていますね。皆さんがプレッシャーを感じないように。
――CEOや幹部とはどれくらいの距離感で仕事をしているのでしょうか?
経営陣でも頻繁に話をします。CEOともよく雑談していますね。
レノボのように会社の規模が大きいと、「何かをやる」と決めたら、各チームの優秀なメンバーが、エグゼキューションを完璧にやってくれます。
だから経営陣として大事なことは、「どこにオポチュニティーがあるのか」を見極めた上で、「何を実行すればいいのか」を決めることです。経営陣はいろんなチームの動きが見えるので、「このチームとあのチームがやっていることは結構重なっているので、一緒にやるといいかも」とアイデアを考えて、チームをつなぎ合わせていくことです。
まさにCMOは、ビジネスを成長させるために、組織をデザインしていく仕事なのです。
*第2話に続く。