
2022/05/09
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――船木さんは昨年から東証一部上場(現プライム上場)企業である不動産テック企業で社外取締役をされていますが、ご就任経緯がとてもユニークなのだそうですね。
そうかもしれません。もともとは2020年12月17日の日経新聞の記事を読んで、自分のFacebookに投稿をしたのがきっかけです。
――どんな投稿をされたのですか?
記事は、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改訂の影響で社外取締役が不足するという内容でした。「社外取締役1000人不足」という見出しの一面記事でしたから、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事を読んだときに「1000人も不足しているなら私もやってみたい」と思ったんです。それで記事を引用しながら「私ぜひ立候補します!広報PRひとすじ20年の経験を活かしてコーポレート・コミュニケーションや危機管理の強化、さらに働き方や女性活用においても強みを発揮できます」とFacebookに投稿しました。
――ご自分から宣言されたんですね。それが、社外取締役としてのオファーにつながったのですか?
はい、現在の社外取締役をしている会社は、以前に広報面でご支援したことがありまして。その関係で私の投稿内容を社長が見てくださったようで、お声がけいただきました。

――先方の社長は船木さんに対して社外取締役としてどんな期待をお持ちだったのでしょうか?
そもそもプライム市場への市場変更を視野に入れ、社外取締役の増員をお考えだったようです。期待されたポイントは大きく3つです。
1つ目は「広報PRの専門家としての知見」です。既存役員のほとんどが不動産や金融の専門家だったので、さらに強化したい役割を求めていたということです。
2つ目は「経営視点」です。小さな会社ではありますが、2014年から自身が共同代表を務める会社を経営してきました。
3つ目は広報視点でのSDGsや女性視点での「ダイバーシティへの取り組み推進への助言」です。既存役員は全員男性でしたので、ダイバーシティの観点からも女性の社外取締役を登用したいと言ってくださいました。
――船木さんご自身が「社外取締役」という仕事にチャレンジしたいと思われたきっかけは何だったんですか?
広報PRのスキルを経営戦略のレベルまで持ち上げたいと考えたことが大きかったですね。

私はこれまでPR会社や事業会社で約20年にわたり広報PRの仕事をしてきました。2014年からは共同代表を務める会社で業界初の広報・PR家庭教師サービスを立ち上げ150社以上を支援してきました。
広報の家庭教師サービスでもクライアント先の社長とミーティングする機会はありますが、それだけでは経営戦略に広報PRを組み込むのは難しいと感じました。
広報PRは本来は経営戦略に組み込まれるくらい重要な手法なんです。自分自身が社外取締役として経営の意思決定層にかかわることで、広報PRを経営戦略に積極的に組み込むことを支援したいと思いました。
――経営に広報PR視点が入るメリットとは?
事業成長が加速します。これまでさまざまな企業の広報支援をさせていただいて、起業家のみなさんを心から尊敬しています。でも、残念ながらせっかくいいプロダクトやサービスを作っても、世に広められずに終わっていく事例もたくさん見てきました。それが本当に悔しくて。

認知を高めて周囲のステークホルダーを巻き込んでいくための広報戦略が経営戦略に組み込まれていれば、日本企業の事業成長実現はもちろん、グローバルで勝負できる企業ももっとたくさん生まれてくるはずです。
――実際に社外取締役に就任されてみていかがですか?
取締役会には不動産や金融のプロがしっかりそろっているので、私自身は広報PR、ダイバーシティ、サステナビリティへの取り組みへのアドバイスを中心にしています。
例えば、社内規約の改定で事実婚・同性パートナー婚を法律上の婚姻と同様の扱いに変更したことや「社員」と「パートタイマー」の扱いを同一にしたこと、サステナビリティ委員会発足によるSDGs推進強化。
これらは従来は社外に発信してこなかったことでしたが、「今の時代に照らし合わせると社会的意義があるから」と積極的に発信するようアドバイスし、実際に形になっています。

また、海外投資家を視野に入れたうえで、PRやIRに関する発信の多言語化の重要性もお話ししています。
それからこれはジェンダー的な話になりますが、会社設置のセクハラ・パワハラの相談窓口が外部の男性の弁護士の方だったんですね。
異性には相談しづらい問題もあるでしょうし、「女性窓口」もあわせて設置することを提案し、「よかったら私自身が相談窓口になりますよ」と提案したところ、採用され、現在調整を進めています。
会社側の対応がとてもスピーディでお伝えしたことを経営にすぐ反映していただけるので、非常にやりがいを感じています。
※5月16日(月)公開予定の後編に続きます。