
2022/03/01
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2022年はスタートアップ創出元年です。
岸田首相も年頭記者会見で、「戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として『スタートアップ5カ年計画』を設定し、スタートアップ創出に強力に取り組みます」と表明しました。
公的出資を含めたリスクマネー供給の強化、公共調達等の大胆な開放、海外展開への徹底的支援、株式公開制度の在り方の見直しなど総合的に取り組み、すべての挑戦者を官民挙げて全面的にサポートすると、方針を示しています。
実際、岸田首相の宣言により、政府でもスタートアップに関する予算が通りやすくなり、これから新しい挑戦へのハードルはますます下がることになるでしょう。
とはいえ、いきなり起業という選択肢をイメージしづらい方も多いかもしれません。そこで私が推奨しているのが「大企業30代社長」です。
これは、大企業に勤める30代を中心として、抜擢や社内ベンチャー、もしくはオープンイノベーションによるジョイントベンチャーなどで、子会社や関連会社の社長に就任することを意味します。
私自身、「2025年までに、大企業の30代社長を300人作る」をビジョンに掲げ、3年前から大企業向けの社内新規事業制度の導入や社内ベンチャー立ち上げのコンサルティングに加えて、大企業に勤める20代〜30代の個人に向けて、集中講義やワークショップ、オンライン合宿を実施してきました。
ここ数年でも実際に、JR東日本とサインポストの合弁会社「TOUCH TO GO(TTG)」の阿久津智紀社長や、三井住友フィナンシャルグループと弁護士ドットコムが出資した新会社「SMBCクラウドサイン」の三嶋英城社長などが誕生し、サイバーエージェントから生まれたクラウドファンディングサービスのマクアケ中山亮太郎社長はIPOを実現しています。いずれも30代社長です。

現在は、経済産業省が支援している出向起業(大企業を辞めずに出向でスタートアップを起業)も含めると、70名を超える大企業30代社長が生まれています。
この3年間、取り組みを続ける中で実感しているのは、大企業30代社長のキャリアを目指す人が年々増えていることです。
その背景にあるのは、人生100年時代におけるキャリア戦略の変化だと思います。30代になって家族が増えたり、家や車のローンを組んだりすると、簡単には年収が大幅に下がる転職や起業に踏み切れなくなる方は多いと思います。
しかし、人生100年時代を考えれば、時代の変化が激しい中で、このまま定年までサラリーマンで居続けることの方がリスクとも言えます。それに気づく人が増え、低めのリスクで始められる大企業内での新しい挑戦に火がついたのだと思います。
加えて、企業側にも30代の挑戦枠を増やし、憧れのロールモデルを作らないと優秀な人材が辞めていくという危機感があります。挑戦したい人を真剣にサポートしようとする大企業が増えている今こそ、一歩踏み出す最高のタイミングなのです。
そもそも、なぜ私が大企業30代社長を300人生み出したいかというと、これからの10年で「大企業の復活」と「ユニコーンになるスタートアップの創出」を実現させる必要があるからです。
日本はこれまで、グローバルに比べるとスタートアップも起業家も少ない状態が続いていました。2020年までの10年で、スタートアップの民主化はある程度進みましたが、次の10年では米国のように時価総額トップ10、トップ100を塗り替えるように、そのインパクトをもっと高める必要があります。起業家たちがいかに時代を作っていくかに日本の未来はかかっているのです。
では、ユニコーンはどうすれば増えるのでしょうか?
日本は、時価総額が安定的に1兆円を超えるベンチャー企業は楽天くらいしかありません。一方で、大企業から誕生したベンチャーであるエムスリーやモノタロウに加えて、旧LINE、旧ヤフーなども時価総額が1兆円を超えていました。
つまり、大企業のアセットを生かせる子会社や関連会社、ジョイントベンチャーが増えれば、短期間でのユニコーン大量創出につながる可能性が高いのです。私は今後、大企業発の企業からユニコーンがどんどん生まれてくると考えています。
実際、SMBCクラウドサインを立ち上げた三嶋さんは、SMBCのブランドと信頼、弁護士ドットコムの知見を武器に、上場を目指せるような事業を数年で作られています。

個人のキャリアの観点でも、大企業30代社長が子会社やジョイントベンチャーのIPOを目指すとなれば、株の保有やストックオプションによる「大企業ドリーム」を夢見ることが可能になります。これは、大企業で働くサラリーマンのままでは、決して手に入れられないチャンスです。
それに、時価総額100億円のスタートアップで50%の株を持つ社長になるよりも、時価総額1000億円の子会社で5%の株を持つ大企業30代社長になった方が、社会的なインパクトは大きいでしょう
資産も手に入れられて社会的インパクトも生み出せる。私はこれからの数年で、大企業30代社長になる選択肢は大人気のキャリアになると考えています。
そして、大企業復活のカギも大企業30代社長が握っています。
大企業30代社長が、経営を10年、20年と経験すると、間違いなく経営者としてのレベルは上がります。そのスキルを持って大元である大企業の経営陣に加われば、大企業復活のシナリオが見えてくる可能性が高い。実際に経済界では数は少ないものの、大企業30代社長を経験されたサントリー新浪社長やリクルート出木場社長、ソニーの十時CFOなどが活躍されています。
大企業30代社長を一気に増やすことは、日本の未来を作っていくことに直結しているのです。