
起業と子育ての両輪を加速する パートナーシップ
構成/宮本恵理子 撮影/林 直幸

――岩崎さんは「子育ても起業も“全部取り”する」というスタンスを表明しています。それを可能とする夫婦のパートナーシップについて聞かせてください。「家事の9割は夫がやる」というのは本当ですか。
本当です。これは結婚前に同居しているときから変わらないスタイルで。
私は本当に家事が得意じゃなくて、夫は比較的得意で器用にやってくれるタイプなんですね。「それぞれに得意なことをやろう」と合理的に二人で生活を続けてきたら、自然と夫が9割担当してくれるようになりました。
私がやる残り1割の家事は料理です。料理だけは好きで気分転換にもなるので、ほぼ私が作っていますね。
ただし、片付けは苦手なのでしていません(笑)。より得意な夫がやってくれます。家事分担のルールについては特に話し合ったわけではないのですが、夫は「自分がやるしかないな」と早めに決めてくれたのだと思います。
――女性の起業家やビジネスリーダーが増える流れの中で、妻より夫が家事を多く担う関係を志向するカップルも増えてくるはずです。上手に実現するためのコツはありますか?
シンプルに、自分が日頃から考えていることを伝え合うことが大事なのではないでしょうか。今でもそうですが、私は結婚前から「これっておかしいよね」とか「私はこうしたいと思う」といった考えをオープンに彼に話していました。

仕事でぶつかった悩みや疑問もそのまま話していましたね。
「どうして結婚したら女性だけ名字を変えないといけないんだろうね。選べるようになったら別姓にしようよ」「子どもは欲しいけれど、もしできなくてもそのときは二人で暮らせばいいよね」「妊娠中の10カ月間は私が頑張るから、産んだ後はあなたが一層頑張ってほしいからよろしく!」と、なんでも率直に。
相手の話ももちろん聞きます。
「女性の生き方ってこういうものだから」と忖度せずに、彼に対して少しでもモヤモヤしたらすぐに伝える。「気になることは早めに本人に伝えて一緒に解決する」というのは、仕事でも心がけているモットーです。
普段からお互いの頭の中をシェアしていれば、自然とその夫婦に合ったスタイルができあがっていくのかなと思います。
――典型的な1日の流れは?
朝は保育園に送り出すための着替えや連絡帳の準備は私がして、連れていくのは夫というパターンが多いです。8時半から18時までは保育園が預かってくれるので、日中は普通に働けていますね。
お迎えに行った後は夕食、お風呂、寝かしつけと怒涛のような子育てタイムを二人がかりでこなし、うまくいけば21時ごろに手が空きます。すぐに寝てくれないと、ずるずると後ろ倒しになるので、基本的には「18時以降は仕事できません」という前提でスケジュールを組んでいます。
とはいえ、イベント登壇や大事な採用面談が夜の時間帯に入ることもあり、そのときは夫に完全に任せます。
私の予定が夜に入るときには、メンバーが私の夫のアドレスにもカレンダーの予定を共有してくれるんです。受け取った夫は「はい、この日の夜は僕がワンオペ当番ってことだね」とスタンバってくれるわけです。
逆もしかりで、彼に夜のミーティングが入るときは、私のカレンダーのスケジュールも押さえられて、私が身を空けておく。その都度、「この日、大丈夫?」と聞かなくてもいいことにしているので効率的です。
予定を先に入れたもん勝ち、みたいになりがちですけれど(笑)。
――どちらかに負担が偏って衝突することにはなりませんか?
バランスを取るように気を使うようにはしています。
例えば、私の出張が続いて夫のワンオペ期間が1週間くらい続いてしまったときには「さすがに悪いな」と思って、私が息子を連れて神戸の実家に帰り、4日間くらいの休息を取ってもらいました。
まあ、私はその間、両親の助けを借りられるので、ラクに過ごしていたわけですが(笑)。

「負担はイーブンに分け合おう」という価値観は結婚前から共通して持っていたかもしれないですね。ご飯を食べに行っても「今日は私が出すね」「じゃ、次は僕が出すわ」というやりとりが普通だったので。
――岩崎さんはご両親や義理のご両親の手も上手に借りているとのことでした。協力を得るために、コミュニケーション上で気をつけていることはありますか?
この点に関しては、本当に感謝しかないですね。
特に義理のお母さんはとても理解のある方で、「息子の妻」である私に対して本当に温かな目で応援してくださっているんです。
ご自身はずっと専業主婦で、義父母の介護も献身的になさってきた方で、私とは違う生き方をしてきた女性です。その中でいろいろと感じてきたことや次世代である私たちへの期待についても話してくださったり。
時々一緒にお酒を飲みながら、そんなお話もするんです。
親世代だけでなく、私は弟家族とも仲が良くて、お互いに子育て中の身として困ったときは助け合いをしています。
“家族フル稼働”で助け合って子育てをする。そんなスタイルがこれからはちょうどいいんじゃないでしょうか。