
2022年3月14日
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――岩崎さんは2017年末に起業し、「信頼」をベースに仕事仲間とつながるキャリアSNS「YOUTRUST」をリリース。
累計ユーザー数は10万人を突破するなど事業を急速に伸ばす傍ら、「母親起業家」という横顔もお持ちですね。
はい。2020年2月に第1子の長男を出産し、今1歳と9カ月(取材時点)。もう思い出すだけでも可愛くて、ニヤニヤしてしまいます。
そろそろ「魔の2歳児」と言われるイヤイヤ期(第一次反抗期)に突入する頃で、「ヤダヤダー」とかちょっと面倒な反応が出てきましたけれど、それすらも面白いと思える日常です。

――それだけゆとりを持って子育てができているということですね。
一般的に「起業家=多忙」というイメージがありますが、岩崎さんは無理なく子育てできる環境を設計しているということですね。
その自覚はありますね。
女性が一手に子育てを担う、いわゆる“昭和・平成型の子育て”を頑張ろうとしていたら、私も家族も破綻していたと思います。
――まず、子どもを望む働く女性にとっての永遠のテーマ、“産みどき”についてどう考えていたかを聞かせてください。
結論からいうと、「産みどきの正解なんてない」というのが私の実感です。
ただし、産む前からそう考えられていたかというと全然で、20代の頃は「30歳になるまでに産まなあかん!」と焦っていました。
起業する前は新卒で入社したDeNAで働いていたのですが、「起業家育成企業」と呼ばれるだけあって、みんなモーレツに働いて結果を出して、どんどん実績をあげていく文化なんです。
「出産してブランクができることを考えると、早めにそれなりのポジションに就かないといけない」と異様に焦っていました。

入社して3年ほど採用の担当をした頃には、同期の彼(現在の夫)と結婚することも決めていました。
30歳までに出産するつもりなら、27〜28歳までには一通りの仕事を覚えないといけないと考え、「異動して事業開発の経験も積んで、マネジャーに必要なスキルを身につけよう」と計画。
上司にも内諾を得ていたのですが、「ごめん、やっぱり人事に残って。人が足らなくて」と言われてショックでした。
「そんな時間は私にはありません! もう辞めます!」と駄々をこねたこともありましたね。
――そんなに焦っていた理由は?
産む前に仕事で成果を出しておかないと終わりだ、という無意識の思い込みがあったのでしょうね。
人事にとどまって再び事業開発の仕事が回ってくるチャンスを待つとしたら、産むタイミングを逸してしまうかもしれない。
だからといって実績を出す前に早く産んでしまったら、さらにチャンスは狭まりそう……。そんな八方塞がりループにハマっていました。
キャリアは産む前に積むだけ積んでおいて、産後はその貯金を少しずつ使っていくもの。そんなイメージしか持てていなかったんです。
今思えば、大きな勘違いでした。
「産んだ後でも工夫次第で十分に成果は出せるよ」と当時の自分には伝えたいです。
――ちなみに、もともと子どもは好きなタイプでしたか?
いえ、そうでもないです(笑)。
ライフプランとして「産めるうちに産んでおいたほうがいいのかな」と頭で考えていましたね。
家事も得意じゃないですし、育児をしている自分が想像できなくて親になることへの不安のほうが大きかったかもしれません。

だから最初に妊娠が分かったときも、喜びの実感だけに包まれたわけではなかったのですが、流産してしまったことが分かったときに悲しい気持ちを抱えている自分に気づいて。
「あ、私、やっぱり子どもを欲しかったんだな」と確かめられました。
幸い、その後すぐにまた妊娠できて、無事に出産することができました。
――妊娠が分かったのが2019年で29歳の頃。起業して2年目で、資金調達の時期と重なったそうですね。
「起業」と「母業」をほぼ同時進行でチャレンジすることに迷いはなかったですか?
臨月の大きなおなかを抱えて投資家を回っていた頃が懐かしいです(笑)。
起業と子育ての両立については、その頃は「どうにかなるだろう」という気持ちを持てていました。「絶対なんとかなる。なんとかしてみせる!」「生まれた性別だけで、“起業or子育て”に制限されるのは納得いかない。私は“全部取り”してみせる!」と強気でした。
今もそのマインドは変わりません。
――キャリアと子育ては両立できないと焦っていた岩崎さんが、なぜそこまで考え方を転換できたのですか?
一つは、会社の代表として営業や資金調達をする中で、疑問を抱く出来事が重なったからだと思います。
プレゼンをした相手の投資家から「子どもが生まれたら事業はどうするんですか?」「育休は取るんですか?」と根掘り葉掘り聞かれたことがあって。

淡々と答えながら、フツフツと「あれ? この質問、私が男性だったらするのかな」と思ったんですよね。
例えば奥様が妊娠中の起業家男性に対して、同じ質問をするのかなって。
そういう違和感を積み重ねていくうちに、「自分が変えていくしかないやん!」という気持ちが固まった感じです。
あともう一つ、私のマインドを決定づけたきっかけがあります。
信頼する起業家の先輩からいただけたパワフルな助言です。
(カバーデザイン:仲尾香織 写真:Vagengeym_Elena、Cecilie_Arcurs/iStock)
※岩崎さんのキャリアを深掘りする映像インタビューもお楽しみください。