
英語を習慣化するために、行動計画をつくろう
構成/岩辺みどり 撮影/林 直幸
入り口は常に“ワクワク”
子どもはワクワクするものにしか興味を持ちません。大人でもインスピレーションのある話や刺激的な話を聞くと、一気にモチベーションが上がりますよね。
英語だって同じです。何かの話を聞いたり、場を体験させたりすると、子どもは興味を引かれます。
中高生の場合、海外へ短期留学に行ったり、インキュベーションプログラムに参加したりすることで、グッと意欲が上がることがあります。自分の英語力不足で伝わりきらなかった経験が、英語を学ぶモチベーションへとつながるのです。

幼児や小学生の場合、「楽しめる」ということが刺激よりも重要です。そのきっかけとして、国内のインターナショナルスクールなどで行われているサマースクールやショートプログラムに参加させてみるのもいいでしょう。英会話スクールも楽しい内容ならいいと思います。
様々なところから集まった同世代と遊ぶのが楽しい。先生が英語を楽しく教えてくれる。外国の人とつながれるのがなんだか新鮮で楽しい。スクールやプログラムに通うこと自体が楽しい。そういった体験をすることがまず第一歩になります。
体験は一時的なスパイクでしかない
しかし、ここで注意点があります。
子どもに体験させるだけで、満足して終わってはいけません。
僕がスタンフォード大に留学しているときに、様々な日本の中高生がサマープログラムや修学旅行でシリコンバレーを訪れていました。彼らの訪問先は、GoogleやAppleの本社やスタンフォード大学などです。

そんな中高生に対して、僕はプロボノで講演をさせてもらい、「海外で挑戦することは素敵なんだよ」と、スタンフォードのキャンパスの芝生で何度も熱弁しました。すると、生徒たちの目がパッと輝くのです。僕は、その瞬間が大好きでした。
「最高です! 僕は絶対にこの大学を目指します! 絶対に戻ってきたいです」と多くの生徒が宣言して、キラキラした目をして日本に帰って行きます。
しかし、その後に何が起きるかと言うと、帰国後1カ月くらいで元通りになってしまうのです。
つまり一時的なスパイクは、砂糖と同じようなものなのです。砂糖を食べると、血糖値はグッとスパイクしてそのときは興奮しますが、その後はリバウンドが起きて眠くなってしまいます。
モチベーションも同じです。モチベーションの中でも、エクスターナル・モチベーションと呼ばれる「外発的動機」によるスパイクは一時的にしか続きません。このスパイクをイントリンシック・モチベーション、つまりは「内発的動機」へと変えられるかが勝負なのです。
内発的動機へと変えるプロセス
外発的動機を内発的動機へと変えていくためのカギは、体験だけで終わらないことです。きちんと体験の前後のつながりを考えて、対話をすることです。
スタンフォード大訪問の例で言えば、訪問前には事前情報を与えて本人ときちんと話します。プログラム内容を確認した上で、「こういうプログラムだけれども、あなたは何を見に行きたいの? 何を学びとして持ち帰りたいと思っているの?」と対話しておくのです。
新しい情報に大量に出会ったとき、キャッチできる情報は人によって異なります。同じ道のりを歩いていても、うどん屋に目を付ける人もいれば、カラオケボックスに気を取られる人もいれば、下着屋に目が行く人もいる。その時のその人のモチベーションや思考によって、キャッチしやすい情報、しにくい情報は変わってきます。
あくまで仮説で構いません。実際に訪問してから、興味や目的が変わってももちろん大丈夫です。仮説を持って参加することで、内発的動機が醸成されて、いろんな気づきが生まれやすくなります。体験する前に対話をして、仮説を持っているかどうかで、主体性に圧倒的な差が生まれるのです。
リスクファクターも含めた行動計画を
もう一つ大事なのが、体験後の振り返りです。
プログラムが終わった直後に、どんなことが予想内で、どんなことが予想外だったのか、何を学んだかのリフレクションは必ず行うべきです。帰ってきた直後は、モチベーションが最高潮になっています。このタイミングで、学びや気持ちを言語化し、それを行動計画へと落とし込んでいきましょう。
振り返りを通じて、今後チャレンジしたいことが自然とイメージできるようになります。行動計画を書く際はただ単にやることを考えるのではなく、その行動の邪魔をするリスクファクターも考えておくと良いでしょう。
人間は忘却の生き物です。自分のモチベーションが高く維持されている前提で物事を考えない方がいいのです。モチベーションが下がることや、計画が計画通りに行かないことも想定して、「どうしたら行動計画を継続できるか」の具体的な対策を一緒に考えましょう。
例えば、ある生徒の中で、「英語力を上げて海外の大学に行って、ゆくゆくは海外で仕事ができるようになりたい」というモチベーションが生まれたとします。
しかし、学校生活に戻ると部活動で忙しい。疲労困憊で「夜30分間やる」と決めたオンライン英会話さえ続かないかもしれません。
であれば、「夜は早めに寝て、朝に少し早く起きて30分の英会話を受けよう」「一人で早起きするのが難しければ、同じ目標を持つ仲間(ピア)を見つけて、朝にお互いを起こして、一緒に持続していこう」というふうに、リスクファクターへの打ち手を考えておきます。持続するための布石を打っておくのです。
これは企業経営と全く同じです。そうして習慣化できるようになったら、きっと継続していけるでしょう。
では、そもそも子どもの動機をどのように引き出すべきなのか。その方法については第8話でお話しします。