
英語は高校からでは遅い。8〜10歳から始めよ
構成/岩辺みどり 撮影/林 直幸
幼い時に伸ばすべき「3つの力」
幼い時期にどんな力を身につけさせるべきでしょうか。
レジリエンス、GRITなど挙げたくなるものは20個くらいありますが、あえて絞るとすれば、「主体性の醸成」「英語力」「数的処理能力」の3つです。これらは、育むのが早ければ早いほどインパクトが大きい力なのです。

特に「主体性の醸成」は、その基礎を作っておけば、何にでも生かせるエンジンとなります。主体性は、自分のやりたいことを見つけて、自ら進んでいく力です。主体性を育むには、子どもの頃から自分が興味を持ったことを突き詰める経験の積み重ねがモノをいいます。
主体性があれば、トップ大学進学の要となる課外活動にも生きますし、英語を学ぶための原動力にもなります。
残り2つに「英語力」と「数的処理能力」を選んだ理由も明確です。
算数や数学はあらゆる学問の基礎を成すものです。日本では文系科目と思われている心理学やビジネス、経済学でも統計を多用します。これらの学問は、数的処理能力がないと学ぶのが非常に厳しいのです。
そして何より、テクノロジーやデータが世の中の変化をリードすることを踏まえると、その変化に翻弄されて犠牲者にならないためにも、算数や数学はしっかりと押さえておきたいところです。
英語の重要性は言うまでもありません。世界中から情報収集したり、多国籍な環境で意思疎通したりするための基礎となるコミュニケーションツールです。
今回から3話にわたって、英語を学ぶためのベストな方法についてお話ししていきます。
バイリンガルは不完全という思い込み
言語形成において、聞く、話すという筋肉が一番育つ時期は8〜10歳のときです。そのときにどんな環境に身を置き、何を聞き、何を話しているかによって、英語の発音能力や聞き取り能力の発達に格段の違いが生まれます。
海外進学したいと思い、高校生から準備し始めても、幼少期から英語学習に取り組んでいる人のレベルに追いつくのはとても大変です。聞く力と話す力は、時が経てば経つほど鍛えにくくなる筋肉なのです。

TOEFLでいうと、中3や高1から「英語の聞く・話す」を勉強し始めた人は、どんなに頑張っても到達できるのは、105点くらいです(満点は120点)。
しかし、海外経験を持ち、早い段階で英語になじんできた人は当然のように110点を超えてきます。たった5点の差ですが、海外大進学ではこういった小さな差の積み重ねが合否を分けるポイントになります。
日本では親世代からは「日本語もしっかり話せないのに、幼少期から英語を学習していいのだろうか」という相談をよく受けます。ここでも、語学に関する古い思い込みがはびこっています。
日本語をしっかりと習得すべきというのであれば、どういう目的意識を持って何をそこに求めているのかということを再定義してみませんか。片言の日本語になってほしくないという不安が先行してしまうと正しい判断ができません。
子どもに世界のマーケットで活躍できる機会を与えたいのであれば、日本語より英語のほうが重要かもしれません。思い込みを先行させず、第1、2話で話した2つの波を意識しながら、どういう教育を受けさせることが最善なのかを考えることが先決です。
語学教育は学校と家庭のミックスで
世界約200カ国のうち、2つ以上の公用語や準公用語が存在する国は、約150カ国あります。日本語だけが公用語、という単一言語国家のほうが圧倒的に少ないのです。
私自身は、英語をやりながら日本語もきちんと身につけることができるし、英語を学びながら日本語の本質も学べると信じています。
最初から、「英語か日本語か」の「one or the other」で考えるのではなく、日本語と英語の双方の言語をしっかりと身につけるには、どういう教育環境を与えていけばいいのかをゼロベースで考えればよいのです。
例えばインターナショナル幼稚園や小学校に通わせているご家庭であれば、家庭での読書やコミュニケーションを日本語ベースにすることで、日本語能力も伸ばせます。様々な良質な日本語プログラムもありますので、そういったものを活用するのもいいかもしれません。
逆に、日本語の学校に通わせている場合は、家庭で英語に意識的に触れるようにすればいい。オンライン英会話を毎日使ったり、テレビでは英語の番組を流すようにしたり、様々な工夫ができます。英語の絵本の読み聞かせや、楽しく英語を学ぶディズニー英語システムを活用するのもいいかもしれません。

まずもって、語学教育について、学校に全て任せるマインドは捨てるべきです。学校に全部任せようと思うと、どうしても偏りが出てしまいます。家庭の教育と組み合わせることで、良いバランスを模索できるはずです。
最新ツールを活用し、4技能を習得
英語を楽しく学ぶための教材や学習ツールや機会は、数え切れないほどあります。その人のレベルや目的に応じて使い分けられるサービスやソフトウェアも充実していますので、ぜひ自分に個別最適化したラーニング計画を作っていきましょう。
海外進学に必要なTOEFL対策の学習方法については、効果的なメソッドをいくつかに絞り込むことができますので、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能別に紹介します。
【リーディング】
重要なのは、単語力と多読です。単語を理解していなければ文章を読めません。理解できる単語が増えると、全ての単語を知らなくても、理解できる単語と単語をつなげて文章を推察できるようになります。
単語力を磨き上げるために効果的なのが多読です。本を読むときには、背景知識を高めるためにも、TOEFLに出そうな領域から選びましょう。National Geographic、Science News、Time Magazineなどがお勧めです。
【リスニング】
リスニングでは、ディクテーションかシャドーイングが効果的です。僕はCNN Englishを使っていました。時事問題を取り扱っていますし、スクリプトもついていて便利です。
最初は、スクリプトを見ながらが、0.75倍速くらいで聞いて、慣れたら同じ文章を1.25倍速でスクリプトなしでも聞ける段階まで繰り返していきます。通学の30分の間に繰り返し聞くなど、ながら時間でできるスケジュールを立てておくのがお勧めです。
【スピーキング】
スピーキングは話す機会を増やすしかありません。オンライン英会話の場合、小学生には楽しさ重視のフィリピン人講師もいい経験になります。中高生ならば、ネイティブの先生とディスカッションできるような英会話プログラムがお勧めです。
英語の上達にコミットできるよう、プロの講師に「自分はTOEFL何点を取りたい」という目標やアジェンダを渡しておいて、達成のための学習計画を一緒に立てられるといいでしょう。
【ライティング】
繰り返し書いて、きちんとフィードバックをもらうことが大事です。TOEFLなどの目標があれば、TOEFLのライティング問題を1日1題書いて英語の先生に添削してもらいましょう。明確な目標がなければブログを英語で書くのも面白いでしょう。
今は「DeepL」や「Grammarly」などのサービスですぐに添削してもらえます。他に1時間以内1000円で添削してくれるサービスも出ていますので、ぜひそちらも活用してみてください。
今回は、英語学習が幼少期から必要な理由とその学習方法の一部を紹介しましたが、幼少期から一過性ではない英語力をつけるにはどうすればよいか。次回は英語習慣化のためのポイントを説明します。