
2022年3月16日
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今、世界には2つの大きな時代の波が押し寄せてきています。
一つは「時代の変化の波」。そしてもう一つは働く場所による「年収格差の波」。その波にあなたの子どもが乗れるのか、流されて溺れるのか……。
大げさに聞こえるかもしれませんが、VUCAの時代においては、教育環境が子どもの未来を左右することになるのです。
この大きな2つの波を乗りこなすのは、プロサーファーになることにも似ています。プロサーファーは、泳ぎの技術だけで差がつくわけではありません。
ではプロは何が違うのか。
それは、波乗りすべきポイントを理解して、確実にその波をつかまえられるかどうかです。風や天候を読んで分析し、ビッグウエーブのタイミングを理解し、自分のスキルやテクニックを生かして、波を確実に捉えてテイクオフする。

波を読めているだけでも、がむしゃらにパドリングをしているだけでも、どちらか一方ではダメなのです。
今求められているのは、時代の波や国際社会の波を捉えながら、自分で判断して教育内容を決めていくことです。
それなのに、ビジネスマインドを持ち、情報感度が高い今の親世代ですら、なぜか校風や施設に目を奪われて学校選びをしてしまっています。
だからこそ、この連載では「2つの波」の乗り方をお話ししていこうと思います。
1つ目は「時代の波」です。
教育や学びの本来の目的は、時代を切り拓いていける人材を育てることです。
歴史を振り返っても、日本は“人づくり”を通して産業を発展させ、豊かさを手にしてきました。
40〜50年前のロボティクスもない工業化の時代に求められていたのは、忠実に同じことを再現し、大量生産できる人材でした。言うならば、ベルトコンベアの前に立って精密に製品を組み立てられる労働者です。

その時代には、知識詰め込み型で一方通行の教育がフィットしていました。テスト偏重の偏差値教育は、大量生産に向いた教育方法だったのです。
その成功は、戦後の経済成長を見れば明らかです。平成元年(1989年)当時の時価総額ランキングを見ると、世界のトップ15社のうち実に11社が日本企業です。まさに「Japan as No.1」であり、教育にも勢いがありました。

しかし、平成30年になると、トップ15に日本企業は一社も入っていません。
その大きな理由の一つが、教育にあります。
今は脱工業化の時代であり、AIの時代です。情報化社会においては、物事を忠実に再現したり、大量生産したりする機能はテクノロジーが担ってくれます。その分、人間にはテクノロジーを使いこなし、仕組みを作り出す役割が求められます。
例えば、僕がスタンフォード留学時に視察した農場は、テクノロジーをフル活用したアグリテック・ファームでした。農場に人の姿はなく、PCルームのような部屋で全てのプロセスを管理していたのです。
無数の無人トラクターが土を耕し、縦横無尽に張られたセンサーが土の栄養度や湿度を知らせてくれる。さらに天気の予想図や過去のデータも組み合わせれば、水や肥料をまく量や時間帯も把握できる。もちろん肥料もドローンで自動散布することができる。
それまで人間が担っていた雑草刈りですら、トラクターの画像認識技術を使ってレーダー照射することができるのです。

小売りの店舗もテクノロジーで人が不要になってきています。アマゾンが運営する無人の小型食料品店「Amazon Go」では、アプリを事前にダウンロードしておけば、レジに並ばずに自動で支払いが完了します。
両事例とも完全自動化までには至っていませんが、その方向に向かっていることは明らかです。こうしてテクノロジーの進歩が、日常生活や医療、Spotify、Netflix、YouTubeのようなエンターテインメントにまで当たり前に浸透してきているのです。
これはもう夢の中の話ではなく、すでに起こり始めています。目の前の現実は大きく変わっています。それなのに、教育に関しては、自分たちが20〜40年前に受けた内容とほぼ変わっていません。
だからこそ、皆が違和感を抱き、その違和感が危機感へと変わっているのです。誰もが「このままではいけない」と肌で感じているのです。
第1話は、今世界で起きている1つ目の大きな波、産業構造の変化について語りました。第2話は、2つ目の「年収格差の波」についてお話します。この波を知れば知るほど、海外教育の必要性を痛感するはずです。