
2023/04/26
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GEM Partnersは、データとデジタルマーケティングでエンターテインメント業界の発展に貢献するプロフェッショナル集団です。
SVOD(定額制動画配信サービス)市場を分析したレポート「動画配信(VOD)市場5年間予測レポート」を毎年発表しています。
そこで今回、SVOD市場がどう移り変わってきたか、本レポートほか、GEM Partnersが月次、週次でトラッキングしているVOD関連データを用いて、2017年以降の5年間を振り返ってみました。
近年成長目覚ましいSVOD市場の変遷を理解することは、エンターテインメント業界関係者のみならず多くのビジネスパーソンにとって有益だと思います。

まず、SVOD市場のサービス別利用率の推移を見てみましょう。明らかにAmazon プライム・ビデオとNetflix の2つのサービスが勢いよく伸びていることが見て取れます。

特にAmazonの有料会員プログラム「Amazonプライム」が提供するSVODサービス「Amazonプライム・ビデオ」の利用率は、他サービスを大きく引き離し、成長し続けていることが分かります。続いて、2017年以降のSVOD市場における推計売り上げの推移を見てみましょう。

上記チャートは、消費者が契約形態に関わらずSVODサービスに支払った総額の推計値となります。まず、この5年間でSVOD市場全体がものすごい勢いで伸びていることが分かると思います。
市場規模を理解するために劇場映画市場と比べてみましょう。2019年、映画館は過去最高の年間総興行収入となる2611.8億円を記録しました。同年のSVOD市場規模は推計2392億円と下回っています。しかし、2020年以降、コロナ禍の巣ごもり需要の後押しもあり、2022年には同年の映画興収(2131億円)の倍以上の4500億円を超える市場を形成するようになりました。
SVODの好調は「コロナ禍の巣ごもり特需であり、その後減速する」と考えられていたこともありましたが、コロナの影響が弱まった2022年にも勢いが衰えません。映像コンテンツに触れる手段として、SVODが生活の中で定着し、それがさらに広まっているといえるでしょう。
プレーヤーの順位にも変化があります。2017年、市場シェアのトップはdTV、2位はHuluでした。dTVはその後じわじわと減少、Huluは伸長しましたが2022年は横ばいとなりました。一方、市場を拡大し続けて2019年にトップに躍り出たのがNetflixです。19年以降4年連続で首位を維持しています。
ここ数年、健闘している国内サービスとしてU-NEXTが挙げられます。2019年から順調に売り上げを伸ばし、2020年、2021年には3位、そして2022年にはAmazonプライム・ビデオを超えて2位になったとみられます。さらにU-NEXTとParaviは2023年3月末に経営統合しました。業界2位の勢力をさらに強めていくでしょう。
Amazonプライム・ビデオは、利用率ではトップを記録していました。しかし、2022年の推計売り上げではNetflix、U-NEXTに次いで3位に位置しています。これは他サービスに比べて単価が安いことに起因しています。なお、本集計では、「Amazonプライム」加入者のうち、実際に「Amazonプライム・ビデオ」を利用した人が支払った金額の総額を推計しています。
2022年に最も市場シェアを拡大したのはディズニープラスです。2019年、ディズニーデラックスというサービス名の動画配信サービスが国内で始まり、2020年にディズニープラスへと移行しました。
ディズニープラスは、ディズニーアニメ、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ作品などを揃えており、ここでしか見られないオリジナル独占配信コンテンツが豊富なのが特徴です。同サービスは、2020年のローンチから急速に売り上げを拡大し、2022年にはDAZNに次ぐ市場シェア5位という垂直立ち上げを成し遂げました。
そのほか注目を浴びたのは、2022年に『FIFA ワールドカップ カタール 2022』の全試合中継を行ったABEMAです。有料会員サービスのABEMAプレミアムは、前年よりも売り上げを伸ばしましたが、2022年は10位に位置しており、SVODの売り上げ推計でみると規模はまだ小さいです。
売り上げベースで首位を獲得したNetflixの圧倒的な強さはどこから来るのでしょうか。ポイントはオリジナルコンテンツの充実と、韓国ドラマというジャンルの確立です。
以下は、2022年におけるSVODの「サービス別 年間視聴者数ptランキング」です。一見してすぐに分かるのが、日本アニメシリーズ・映画の強さです。
Amazonプライム・ビデオ、U-NEXT、dアニメストアの上位は、ほぼすべてがアニメで占められています。『SPY×FAMILY』『鬼滅の刃』『ワンピース』『名探偵コナン』などは、どのプラットフォームでも超人気のコンテンツ。2022年は、これらがSVOD市場をけん引していたことは間違いありません。
ただし、Netflixに注目すると、上位3作品こそ複数のプラットフォームで見られるヒットアニメですが、4位以降はオリジナルコンテンツが強さを見せ、その多くが韓国ドラマです。
Netflixは様々なジャンルでの多様なヒットだけでなく、「韓国ドラマならなんでも見たい」という層を増やし、韓国ドラマならNetflixという立ち位置を作り上げました。ジャンル全体を“履修”する人を育てているのが、強さの秘訣です。

特定のコンテンツだけを見るのではなく、「ジャンルを履修する」という行為は、エンターテインメントを育てるうえで欠かせない要素です。
かつて1980年代にはミニシアターブームがあり、東京・渋谷の「シネマライズ」などで公開されていた独立系の映画ならばどれでも見ておきたいという層がいました。
また、アニメブームも、そういったジャンル履修の感覚で、ひとつのヒットから次のヒットが生まれやすくなった結果とも言えます。
第2話では、ディズニープラスとU-NEXTの躍進をより詳しく分析してみます。