マーケット超分析
日本株はさらに上がる/AI・半導体株は11月から本格復活/10月は韓国株高への連動に期待
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2026年10月13日

「マーケット超分析」では株式相場を徹底解説。前編では、大和証券・木野内栄治が今後の相場を展望する。日本株はここからさらに上がる? <出演者> 柴田阿弥(MC) 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。 日経ヴェリタス「...
AI相場第2幕の幕開け:新半導体「Rubin」立ち上がりと2040年まで続くイノベーション大相場の真実
2024年夏、急激な調整に見舞われた株式市場において、AI・半導体関連株の先行きに対する懸念が急速に高まった。
しかし、足元では次世代半導体の量産体制確立やマクロ経済環境の転換を背景に、極めて力強い反転シグナルが点灯し始めている。
大和証券の木野内栄治氏とAI研究の最前線に立つ今井翔太教授が、相場調整の真相から2040年に至る長期大相場シナリオまでを徹底的に解き明かす。

Q. 2024年夏の株式市場を揺るがした急激な調整の真相と底打ちを示す兆候とはどのようなものか?
2024年夏の株価大幅調整の根本原因は、NVIDIAの新世代半導体「Rubin」の投入初期における製造歩留まりの悪化にあった。
新チップの量産が難航したことで粗利率の低下懸念が生じ、同時に韓国SKハイニックスのHBM生産調整や三重県の電子部品工場の急減産など、サプライチェーン全体で在庫が滞留する事態を引き起こしたのである。
日経平均株価はソフトバンクグループや東京エレクトロン、アドバンテストといった主要半導体銘柄の寄与度が約2万円分を占める構造となっており、半導体の製造トラブルが指数全体の急落へと直結した。
しかし、この供給制約はすでに劇的な好転を見せている。
日本の鉱工業生産予測指数において10月の電子部品および半導体製造装置の生産計画が大幅な増産へと転じたほか、韓国の9月半導体輸出も前月から急伸した。
これらのデータは新半導体の量産体制が軌道に乗った動かぬ証拠であり、相場がファンダメンタルズ面から明確に底入れしたことを証明している。
Q. AIデータセンターのボトルネックとされる電力不足問題はどのように克服されつつあるのか?

データセンター拡張に伴う電力不足や住民の反対運動は市場の大きな懸念材料とされてきたが、実態としては画期的な運用技術の導入によって解決が進んでいる。
現在米国で急速に普及しているのが、電力需要が逼迫する時間帯に電力会社側が遠隔操作で給電を遮断できる柔軟な需給契約である。
夕方の家事時間帯など一般家庭の消費ピーク時にはデータセンターへの送電がカットされるが、施設側は併設された無停電電源装置や自家発電設備に切り替えることで稼働を維持する。
そして電力需要が落ち着く深夜帯に安価な余剰電力を集中的に消費することで、地域インフラを逼迫させずに効率的な運用を実現している。
さらに、自家発電設備の環境負荷を低減させる取り組みとして水素ステーション併設型の燃料電池発電の導入も進んでいる。
騒音や有害物質を出さず水のみを排出するクリーンな発電システムを活用することで、都市部や住宅地近郊におけるデータセンター新設のハードルは劇的に低下している。
Q. 最新世代半導体の登場は最先端のAI開発現場とビッグテックの勢力図に何をもたらすのか?
新チップの登場による影響は、一般的な大学研究室と莫大な資本を持つビッグテックとの間で二極化している。
1基数百万円から数千万円規模に達する最新GPUを大量配備できるのは、巨額の投資余力を持つメガテック企業に限られるのが現実である。
現代の最先端基盤モデル開発は投下する計算リソースの量に比例して知能が向上する「スケーリング則」に完全に支配されているため、一般の研究機関が基礎モデルの性能競争で対抗することは不可能に近い。
OpenAIやAnthropicなどのフロンティア企業は、ユーザー急増に伴う深刻な計算資源不足に常に悩まされている。
かつて10カ月を要していた巨大モデルの事前学習が、最新チップの導入によってわずか数日で完了するほどの劇的な計算力向上がもたらされている。
この圧倒的な開発スピードの差が、先行するメガテックへの寡占構造をさらに強固なものにしている。
Q. FRBの金融政策転換とAI普及による雇用市場の変化にはどのような因果関係が存在するのか?

米国の金融引き締めサイクルは、労働市場における特定の変化によって実質的な終了局面を迎えている。
低スキル労働層や派遣労働者の雇用急減、さらに新卒若年層の失業率悪化といった指標は、過去の利下げ転換直前に現れた先行サインと完全に一致している。
この若年層雇用の悪化を後押ししている主要因の一つが、2022年末以降の生成AIの爆発的普及である。
スタンフォード大学等の実証研究でも示されている通り、プログラミングや文章作成を代替するAIの台頭により情報・通信関連産業での採用抑制が顕著となっている。
一方で対面型のヘルスケアや教育分野の雇用は堅調であり、住居費インフレの鈍化と相まって米国のコア物価は確実に沈静化へ向かっている。
こうしたマクロ経済の動向に対し、元FRB議長のベン・バーナンキ氏らがAnthropicに参画してAIの経済影響をリアルタイム分析している点は極めて示唆に富んでいる。
金融引き締めの終了は株式市場にとって最大級の追い風となり、金利高による株価抑制局面は終わりを告げつつある。
Q. 歴史的な政治・選挙サイクルと中国の国家戦略は年末年始の相場上昇をどう後押しするのか?
マクロ経済の波乱要因であった原油高と長期金利の急騰は、先行指標である防衛株の下落によって一服したことが確認されている。
さらに四半期末の機関投資家によるポートフォリオ調整売りが一巡したことで、市場は歴史的なアノマリーの恩恵を受ける好適なタイミングに入った。
米国市場では1942年以降、中間選挙年の10月末から翌年4月にかけて半年間の株価が下落した例はなく、平均14パーセントの上昇を記録する強力な法則が存在する。
これに加えて、翌年に控える中国共産党大会に向けた動きが相場をさらに強力に下支えする。
中国の5カ年計画ではAIおよび半導体への集中投資が党員の人事評価に直結する仕組みとなっており、地方幹部の実績作りを反映して半導体の輸入額が足元で急増している。
米国の政治サイクルによる上昇圧力と中国からの爆発的な半導体需要の双方が重なることで、世界的な半導体相場の力強い再浮揚が約束されている。
Q. AI計算コストの低下が進む中で日本企業やAIベンチャーが競争力を発揮できる領域はどこか?

新世代チップの普及によってデータセンターの計算単価が劇的に低下することは、クラウド事業者の短期的な増収率を圧迫する半面、AIを利用する企業群にとっては飛躍の契機となる。
特に日本企業にとって最大の勝機が存在するのが「AIロボティクス」の領域である。
基盤モデルそのものを開発するソフトウェア領域では米国のメガテックに勝つことは困難であり、単なるAPIを活用したサービスは本家の機能拡張によって即座に淘汰されるリスクを孕む。
しかし、現実の製造現場や物流拠点で稼働するロボットの精密ハードウェアや、世界基準となり得る標準部品の供給力において日本企業は極めて優位にある。
さらに現場でしか取得できない作業データを独自に蓄積し続ける企業は、ビッグテックも容易に侵入できない強力な参入障壁を構築できる。
国家主導の単一プロジェクトに依存せず、研究の多様性を保ちながらハードとリアルデータを掛け合わせる企業こそが、真の勝ち組として台頭するだろう。
Q. 50年周期の「コンドラチェフの波」と設備投資サイクルから導かれる2040年までの相場展望とは何か?
経済史における約50年周期の長期波動「コンドラチェフの波」に基づけば、デフレの終焉こそが技術革新を爆発させる原動力となる。
過去の蒸気機関、鉄道網、自動車、汎用コンピュータの歴史が示す通り、大革新による成長相場は黎明期から終了まで約20年間継続する法則がある。
2022年のChatGPT登場と先端GPU実用化を起点とすれば、現在のAIイノベーション相場は2040年代初頭まで長期継続する公算が極めて高い。
この長期相場を持続させる必須条件が、経済学における「キーファクター」の低価格化と無尽蔵な供給である。
かつての石炭や石油、シリコンと同様に、AI時代においてはデータ、GPU計算力、電力が安価かつ大量に供給される循環を確立できるかが成長持続の鍵を握る。
1950年代に商用コンピュータ普及の波に乗り、株式配当と金利が逆転する「利回り革命」を経て株価を100倍に急成長させたIBMのように、中核技術を担う設備投資拡大企業が長期にわたり相場を牽引していくに違いない。