結婚は「失敗してもいい」

3組に1組が離婚するともいわれる日本。将来への不安から結婚を躊躇する20~30代も増える中で、「結婚は失敗してもいい」というメッセージが持つ意味とは?恋愛・婚活アドバイザーの植草美幸氏に聞いた。 <ゲスト> 植草美幸|恋愛・婚活アドバイザー 結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオ...
「結婚は失敗してもいい」の真意:人生100年時代の結婚観
「一生添い遂げなければならない」という重圧から、結婚への一歩を躊躇してしまう現代人は少なくない。
長寿化や女性の社会進出に伴い、人生におけるステージの変化や価値観の多様化が急速に進んでいる。
今や3組に1組が離婚するといわれる時代において、結婚という決断をどのように捉え直すべきなのだろうか。
本稿では恋愛・婚活の現場で培われた知見をもとに、失敗を恐れず飛び込むマインドセットと破綻を回避する現実的な対話法を解き明かす。

Q. 「結婚は失敗してもいい」という言葉の真意とは?
前提として、最初から離婚を想定して結婚を決める者は誰一人として存在しない。
しかし「生涯この人と添い遂げなければならない」とハードルを上げすぎると、結婚という山が巨大な氷山のように見えて立ちすくんでしまう。
大切なのは、過度に身構えることなく前向きに「まず飛び込んでみる」という決断力である。
実際に結婚生活を経験した先達ほど、悩む背中を押して飛び込む重要性を口を揃えて説いている。
婚活が難航する人ほど、年収の上乗せや学歴、生活スタイルなど無数の条件を挙げがちである。
だが、1000個もの理想をすべて完璧に満たす都合のよい人間など現実には存在しない。
自分の中で譲れない基準を一定ライン満たし、生活が描けるなら躊躇せず踏み切ることが重要だ。
結婚はゴールではなく、飛び込んだ後に互いに努力を積み重ねていくスタートラインにすぎない。
Q. 人生100年時代において離婚率が高止まりしている構造的理由とは何か?

平均寿命が延びた現代では、ひとつの関係を60年も70年も完全に固定化すること自体が難しくなっている。
20代の未熟な時期に支え合って結ばれても、その後の数十年で互いのキャリアや環境は激変する。
一方が突然起業して多忙を極めたり、キャリアアップのために進学を決意したりすることは珍しくない。
互いのライフステージが大きく変化した結果、当初の約束とズレが生じるのは自然な現象といえる。
かつて専業主婦が主流だった時代は、不満を抱えても自立した収入源がないため別れを選べなかった。
しかし現代では女性も自ら稼ぎ、自己実現やキャリアを切り拓く基盤を持っている。
互いの人生の足かせになることを避け、前向きに友人関係へと移行する円満な別れも増えた。
離婚率の上昇はモラルの低下ではなく、個人の経済的自立と選択の自由が広がった必然の結果である。
Q. 独身を貫く人生と家庭を築く人生にはそれぞれどのような現実と覚悟が伴うか?
生涯独身を貫く道は誰にも干渉されず気ままに過ごせる反面、将来の老いや孤独を一人で背負う覚悟を要する。
年金だけに依存せず、病気や介護施設への入居費用として数千万円から億単位の資産を自力で準備しなければならない。
一方、誰かと家族になる選択は、支え合えるパートナーを得て精神的な豊かさを共有できる可能性を秘めている。
子供や孫へと命の繋がりが広がれば、晩年に得られる幸福感や温もりは独身生活とは全く異なる質を持つ。
ただし家庭を持つ道においても、子供がいるか否かで直面するリスクの重みは天と地ほど変わる。
子供がいない段階の破綻であれば身軽に再出発し、次の人生設計をじっくりと練り直すことができる。
しかし子連れでの別れは、一人で生計を立てながら命を育てるという大事業を背負うことを意味する。
家族を増やす選択にはそれ相応の責任が伴うため、軽はずみな判断は禁物である。
Q. 3年以内にスピード離婚してしまうカップルの共通点とそれを防ぐ対話法とは何か?

破綻の多くは結婚から1〜3年というごく早い段階に集中している。
その最大の要因は、交際中に感じていた違和感を「情」や「惰性」で見逃したまま入籍してしまう点にある。
長年付き合って楽しいデートを重ねていても、日々の生活や金銭感覚に関する現実的なすり合わせを怠るカップルは脆い。
結婚した途端に生活の責任が重くのしかかり、「こんなはずではなかった」と致命的な亀裂が生じる。
早期破綻を回避する特効薬は、圧倒的な会話量を確保して日々のすり合わせを重ねることである。
「言わなくても察してくれるはずだ」という期待は単なる危険な妄想にすぎない。
食卓で互いにスマホを見る時間を排し、今日あった出来事や考えをラフに言葉で伝え合う習慣が必要だ。
就寝前のピロートークなども活用し、論破ではなく心を通わせる本音の議論を絶やしてはならない。
Q. 入籍前に合意しておくべき具体的な契約項目と絶対に妥協してはならない条件とは何か?

結婚は一種の生活共同契約であり、先々の生活設計をあらかじめ合意しておく段取りが不可欠である。
特に向こう2〜3年の視座を持ち、生活費の拠出額や住まい、子供の計画や教育方針、互いの持病については徹底的に共有すべきだ。
結婚相談所の現場でも、交際終盤の1ヶ月間でこうした重要項目を一つずつクリアにしていく。
生活のルールを曖昧に放置しない姿勢こそが、結婚後のトラブルを未然に防ぐ防壁となる。
一方で、相手選びにおいて絶対に妥協してはならないレッドラインも明確に存在する。
個人の尊厳を侵し、円滑な共同生活を不可能にする悪癖は見過ごしてはならない。
相手の仕事やキャリアに対して過剰に干渉し制限を課す姿勢
自分の親兄弟や大切な家族に対して平然と悪口を浴びせる行為
暴言や命令口調でパートナーを下僕のように見下す支配的な態度
飲酒癖の悪さや、禁煙の約束を守れない生活習慣の不一致
互いの人生を尊重し合える土台を確認した上でなら、恐れることなく前向きに結婚へ飛び込む価値がある。