マーケット超分析
日本株は10月から上昇局面へ?/FRB&日銀、9月利上げか/NVIDIA決算を分析
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2026年9月1日

「マーケット超分析」では株式相場を徹底解説。前編では、大和証券・木野内栄治が今後の相場を展望する。FRB利上げの可能性は? <出演者> 柴田阿弥(MC) 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。 日経ヴェリタス「人気ア...
市場の底入れは10月上旬か?日米金融政策、AI市場、そして海運株の行方を徹底分析
足元で不安定な動きを見せる株式市場。今後の相場がどのような展開を見せるのか、多くの投資家が注視している。特に、市場の底入れタイミング、日米の金融政策が市場に与える影響、そして新たな投資テーマについて、詳細な分析を通じて見解を深掘りする。
本稿では、不安定な市場環境を乗り切り、投資機会を捉えるためのヒントを提供する。


Q. 直近の株式市場の動向と、今後の底入れ時期の予測はどうなっているか?
米国株は8月中旬以降、AI半導体への期待を背景に高値圏での推移が続いた。しかし、中東情勢や金利動向の不透明感から上値は重く、日本株もこの影響を受けた。特に8月末には日経平均が一時1000円超下落する場面も見て取れた。
以前、年末を底入れ候補としていたが、状況の変化により、今は10月初旬が最有力視されている。その後は本格的な上昇局面に移行する可能性が高まっているようだ。
短期的な調整期間を経て、年後半の堅調な展開が予想される。
Q. ジャクソンホール会議でのFRB議長の発言は、今後の金融政策にどう影響するのか?
ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長は利上げを匂わせる発言をした。彼のスピーチはウィットに富んだジョークから始まったが、その内容は市場参加者にはタカ派的に受け止められた。
しかし、広木氏はこれを「口先介入」と評価する。米国の雇用や消費は軟調であり、インフレも鈍化傾向にあるため、実際には利上げを急ぐ必要性は薄いからである。9月のFOMCでの利上げは期待されず、実施されたとしても継続的な利上げには踏み切れないとの見方を示す。FRBは長期金利の上昇を実弾を使わずに牽制する意図があると言える。
Q. 米国の長期金利動向とそれに伴う注目銘柄は何があるのか?

米国の長期金利は、9月9日から開始された財務省による超長期債買い入れ(ツイストオペ)により、低下に向かう可能性が高い。これは住宅価格の持ち直しを後押しすると見られ、さらに50年住宅ローンの解禁という噂も金利低下に拍車をかける可能性がある。
これらの政策は、高金利で家を買いにくい若年層への住宅支援と、来年の大統領選挙に向けた思惑が背景にある。この恩恵を受けるのは、米国住宅市場で積極的に活動する住友林業などの日本のハウスビルダー銘柄であり、注目に値する。
また、米国株市場では10月末にかけてファンドの損出し売りにより調整局面となることが予想されるが、10月末の「ハロウィン効果」を背景に絶好の買い場となるとの期待も高い。
Q. 日銀の金融政策が日本経済や日本株に与える影響はどう見られるか?
日銀の年間40~50兆円規模の量的引き締め(QT)は、政府の補正予算や減税額をはるかに上回る影響力を持つ。これは日本の長期金利を押し上げる主因となっており、結果として実質長期金利の上昇を招いている。この金利上昇は企業の設備投資計画を縮小させ、中小企業の倒産件数増加にも繋がっていると分析されている。
これは、金利負担増が企業経営を圧迫するためであり、日銀の金融政策が一部で日本経済に悪影響をもたらし始めている。ただし、広木氏は、この金利上昇は長年のデフレ環境下で生き永らえてきた「ゾンビ企業」を淘汰する側面も持つと指摘する。その一方で、日本の主要な上場企業は豊富なキャッシュを保有しており、金利高に十分に耐えうる体力を持っている。これにより、グローバルな視点から見て日本株が安全な資金の投資先として選好される可能性も示唆している。
Q. AI半導体市場の現状と今後の見通し、関連する物色テーマは何か?

NVIDIAの決算は市場予想を上回ったものの、新製品「Rubin(ルービン)」への移行期に入り、顧客が買い控えをする動きが出ている。これは汎用メモリ生産へのシフトを促し、日本の半導体関連企業の出荷や業績に一時的な影響を与えている可能性を指摘する。
一方で、半導体そのものの生産が一時的に減速しても、データセンターの「建て屋」や送配電網(グリッド)といったインフラ整備は継続的な需要が見込まれる。日立、三菱電機、富士電機、明電舎などの重電関連銘柄、高電融合関連の化学メーカーは手堅い投資対象となり得るだろう。
Rubinの登場でデータセンターの演算能力が向上し、利用料金が下がれば、AIロボティクスやAIエージェント、AIベンチャーなど、AIを利用・開発する側の企業にとって大きな恩恵をもたらす可能性がある。これらは、現在の調整期間を耐え抜き、成長が期待できる小型株と言えよう。
Q. 年末までの間に他に注目すべき投資テーマはあるか?
意外な要因が新たな投資テーマを生み出す場合もある。その一つが、異常気象によるパナマ運河の状況だ。エルニーニョ現象の影響でパナマ運河では渇水が深刻化し、通航規制が敷かれている。これにより、特に上海発ニューヨーク着のコンテナ運賃が高騰しているのだ。
これは中東情勢や中国の港湾混乱といった不確定要素とは異なり、エルニーニョの季節性と相まって明確な形で現れている現象である。この影響は年末まで続くと予測されており、日本の海運株にとっては追い風となる。不確実性が高い市場の中で、こうした明確な要因に基づくテーマは注目すべきポイントである。