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Bリーグ新体制【Bプレミアの全貌】
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2026年8月28日

Bリーグが迎える構造的な大転換「Bプレミア」。降格制度の廃止やサラリーキャップ導入は、日本のバスケットボール界のビジネスに何をもたらすのか。オンザコートフリー化による黒船襲来の実態と、激化する日本人選手の生存競争について、岡田優介氏、篠山竜青氏、ベンドラメ礼生氏に徹底解説してもらった。 <ゲスト>...
Bプレミアでバスケットボールはどう変わる?新時代の到来に期待と課題
2024年9月に開幕するバスケットボールの新リーグ「Bプレミア」は、日本のプロバスケットボール界に大きな変革をもたらすだろう。競技成績による昇降格制度の廃止、サラリーキャップ導入、ドラフト制度の新設、そして外国籍選手出場枠の拡大を意味する「オンザコートフリー」など、様々な新制度が導入される。この変革は、果たしてどのような未来を日本バスケットボールにもたらすのだろうか?元プロ選手でBリーグ理事の岡田優介氏、現役選手の篠山竜青氏、ベンドラメ礼生氏(日本バスケットボール選手会会長)らの見解から、Bプレミアが巻き起こす波紋と期待を深掘りする。



Q. Bプレミア導入でBリーグにどのような構造的変化が生じるのか?
Bプレミアでは、従来の競技成績に基づいた昇降格が廃止される。新リーグへの参入基準は、入場者数、売上高、そしてアリーナ基準など、クラブ経営の多角的な指標によるライセンス制度に移行するのだ。この変化は、クラブに持続可能なビジネスモデル構築を強く求めるものに他ならない。リーグ側は当初、12〜16クラブの参加を想定していたが、各クラブが経営努力を重ねた結果、想定を上回る東西26クラブでBプレミアがスタートする。これは、日本のバスケットボールが経営面でも大きく成長している証だと言えるだろう。
Q. 「オンザコートフリー」によって日本のバスケットボールにどのような影響が予想されるか?
オンザコートフリーとは、外国籍選手の同時出場枠を原則撤廃する制度のことだ。具体的には、外国籍選手3名に加え、帰化選手またはアジア特別枠の選手1名の計4名が同時にコートに立てる環境となる。この制度によって、各クラブはより質の高い外国籍選手を獲得することが可能になり、事実、昨シーズンまでNBAでプレイしていたジェイレン・マクダニエルズのような一流選手が続々とBリーグへ参入している。その結果、Bリーグ全体の競技レベルが飛躍的に向上し、よりスリリングでハイレベルな試合を日常的にファンが観戦できるだろう。それは日本代表選手の国際的な競争力向上にも繋がるに違いない。
Q. オンザコートフリー導入により、日本人選手はどのような対策を講じる必要があるのか?
外国籍選手のクオリティ向上は、日本人選手にとって高い壁となる。特に、これまで多くの日本人選手が担ってきたガードのポジションでは、身体能力の高い外国籍ガードとの競争が激化する。出場機会を確保するためには、これまでのスキルセットだけでは不十分だ。選手たちは自身のプレイタイムを実力で勝ち取る必要があり、ベンデルメ選手や篠山選手といったトッププレイヤーたちは、環境の変化に不平を言うのではなく、自らの圧倒的なパフォーマンスによってコートでの存在価値を示す覚悟を語っている。
育成面では、日本のバスケットボール界全体で見たときに、フィジカルな不利から2メートルを超える5番(センター)の純国産育成には限界があるという見解も聞かれた。今後は、5番のポジションは帰化選手に任せ、日本人選手は1番(ポイントガード)から4番(パワーフォワード)のポジションで世界と戦える、俊敏性とアウトサイドシュート能力を兼ね備えた選手の育成に注力するのが合理的だとされている。
Q. サラリーキャップ制度はBプレミアのチーム運営や選手にどのような影響を与えるのか?
Bプレミアで導入されるサラリーキャップ制度は、各クラブの年間総年俸の上限を8億円、下限を5億円と定めている。この規定をわずか1円でも超過した場合、Bプレミアから即座に降格するという非常に厳しい内容である。この制度の主な狙いは、潤沢な資金を持つ一部のクラブが戦力を独占することを防ぎ、リーグ全体の戦力均衡を図ることだ。戦力が拮抗することで接戦が増え、試合の面白さが向上し、リーグ全体の価値を高める効果が期待される。
一方で、獲得コストの高いスター選手を誘致できるよう、「スター選手特例」という緩和措置も講じられる。これは、キャップを超過するような高額年俸選手を獲得した場合でも、その選手のサラリーを1.5億円と換算してキャップ対象とすることで、戦力強化の余地を残す制度だ。資金力のあるビッグクラブは、これにより選手補強のための予算を削減せざるを得なくなる一方、資金力に乏しかった下位クラブは、最低限の投資を強いられる。これにより、リーグ全体の報酬水準が底上げされ、選手たちのキャリアと雇用条件の平準化に貢献すると言えるだろう。
Q. ハードキャップを採用せず、NBAのようなソフトキャップ(ラグジュアリータックス)を見送ったのはなぜか?

サラリーキャップには、定められた上限を超過した場合にペナルティが科せられる「ハードキャップ」と、超過分に応じて税金を支払えば補強が可能な「ソフトキャップ(ラグジュアリータックス)」の二種類がある。NBAで採用されているのは後者だが、Bプレミアはより厳格なハードキャップを選択した。この背景には、仮にソフトキャップを採用し、超過した資金(税金)を資金力のないクラブに分配した場合、弱小クラブが自らの経営努力を怠り、「どうせ上位チームがたくさん稼いで、そのお金が分配される」といったモラルハザードに陥るリスクを避けたかった運営側の意図があるという。
各クラブの利害が対立する中で、リーグは最適なバランス点を見出す必要がある。ハードキャップの導入は、短期的な戦力格差解消に加え、クラブに選手の年俸だけでなく、施設や人材への投資を促し、長期的に健全な経営基盤を築く狙いがあると推測される。岡田理事は、将来的にはBリーグでもソフトキャップのような制度が導入される可能性は十分にあるが、リーグの発展段階を考慮し、まずはハードキャップでのスタートを選んだと語った。
Q. Bプレミアの導入はフランチャイズプレイヤーの存在やドラフト制度にどう影響するのか?
サラリーキャップの厳格化により、フランチャイズプレイヤーの誕生は減少する可能性がある。クラブが限られた年俸枠を効率的に運用するため、感情ではなくビジネスの視点から選手の契約更新や獲得を判断する場面が増えるだろう。有力な若手選手が現れれば、長年チームの顔であったベテラン選手であっても、あっさり契約解除となるケースも今後増えることが予想される。これは、現代のプロスポーツにおける避けられないビジネス側面だ。ただし、篠山選手は「希少価値のあるフランチャイズプレイヤー」として、自身のような存在がより価値を持つようになるとポジティブに語っている。
新たに導入されるドラフト制度は、日本の大学バスケを中心に有望な若手選手を各チームに平等に分配する仕組みだ。しかし、この制度で問題となりがちな「意図的な敗戦(タンク行為)」については、日本のバスケットボール界特有の文化や道徳観念から、試合を捨てるという行為は起こり得ないだろうという見方が大半だ。日本国内の優秀な若手選手の数が、NBAのように「負けてでも指名する価値のある選手」として認識されるほどの層の厚さには、まだ達していない現状もある。
Q. Bプレミアの未来に対し、どのような期待が寄せられているのか?
ベンドラメ選手は、オンザコートフリーで世界レベルの選手と日常的にマッチアップすることで、若い日本人選手がより強く育ち、日本代表の国際競争力が高まることに期待を寄せた。篠山選手は、プロ野球やJリーグのように、地域社会に深く根差し、選手が街中で声をかけられるような、スポーツが暮らしと密接に結びついた文化が醸成されることを願う。そして岡田理事は、Bリーグの最大の強みが「変革を恐れないスピード感」だと強調する。Bリーグは、時に批判を恐れず新たな挑戦を続けてきたからこそ、わずか数年で驚異的な成長を遂げてきたのだ。Bプレミアは、この成長の大きな節目であり、クラブ、選手、そしてファンの熱狂を一体にし、さらに高みを目指していく強い信念がそこにはある。日本のバスケットボールは、常に進化し続けることによって、世界に通用する興行リーグへと昇華していくだろう。