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W杯特別編:日本代表DFは世界で勝てるのか?
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2026年6月11日

8大会連続でワールドカップ出場を果たすサッカー日本代表。その進化の歴史とディフェンスの極意に迫る。極限のプレッシャー下で選手はどう戦うのか?ネガティブ思考は守備にどう活きるのか?元日本代表の井原正巳氏、今野泰幸氏、そして伊藤翔氏に徹底解説してもらった。 <ゲスト> 井原正巳 大学卒業後、日産自動車...
ワールドカップDFが語る日本代表の現在地と進化:最強メンバーで悲願の優勝へ
ワールドカップという最高の舞台は、選手たちにとって並々ならぬプレッシャーと期待が交錯する場である。ここでは、元日本代表ディフェンダーである井原正巳氏、今野泰幸氏、そして元フォワードの伊藤翔氏の三者が見る視点から、日本代表が辿ってきた進化の道のり、現在の最強メンバーの真価、そして悲願の優勝への展望を探る。
レジェンドたちの経験から語られる、大舞台の緊張感やディフェンスの奥深い戦術、そして最新の強化試合の分析を通じて、新生日本代表が持つポテンシャルに迫る。歴代最高の選手層で臨む今大会は、過去の教訓を乗り越え、いよいよ新たな歴史を刻む瞬間が来るのかもしれない。

Q. 98年ワールドカップ初出場は日本サッカーにどのような変化をもたらしたのか?
1998年フランスワールドカップは、日本代表にとって初めての世界挑戦であった。当時、海外でプレーする選手は一人もいない中、日本代表は国民の絶大な期待を背負いフランスへ旅立ったが、結果は3戦全敗であった。
当時のDFとして出場した井原正巳は、帰国時に空港で水をかけられるなどの洗礼を受け、「世界で勝つことの難しさ」を痛感したと振り返る。しかし、この苦い経験は、その後の日本サッカーが飛躍的に進歩する原動力となった。
それ以来、日本代表は8大会連続でワールドカップに出場し、今では欧州の強豪クラブで主力として活躍する選手が大半を占める。この大きな変化は、まさにあの時の悔しさから生まれた日本サッカーの絶え間ない努力と進化の証といえる。
Q. ディフェンダーがワールドカップで感じるプレッシャーと一流の「うまさ」の秘訣は何か?
ワールドカップという極限の舞台では、ディフェンダーは並々ならぬ精神的プレッシャーと対峙する。元日本代表DFの今野泰幸は、2010年W杯の途中出場時、「自分が出て失点したらどうしよう」という最悪の事態まで想像するほどの緊張感に襲われたと語る。
DFには「強気なタイプ」と「悪い事態を想定して準備する慎重なタイプ」が存在し、今野は後者に属する。彼は相手フォワードの特徴を試合中に徹底的に分析し、その都度対応を変えることで、1対1の競り合いで優位に立ってきた。相手選手に合わせた柔軟な戦術こそが彼の「うまさ」の秘訣と言える。
元FWの伊藤翔は、現役時代に今野の守備を「うまっ」と唸った経験を明かした。クロス対応では、ボールとフォワードを同時に見ることが不可能なため、ボールではなく相手フォワードの身体に巧みに当たりバランスを崩させる。ファウルぎりぎりのラインで相手のプレーを封じるこの駆け引きこそが、DFにおける最高の技術であり「永遠の課題」でもある。
Q. アイスランド戦の最終調整から見えた日本代表の課題と収穫は何か?
本大会前の最終強化試合となったアイスランド戦は1-0での勝利であった。しかし、井原氏、今野氏、伊藤氏の共通認識は、「内容は満足できるものではない」という点だ。

今回の試合は、本大会へ向けたコンディション調整と戦術テストに主眼が置かれ、選手個々の状態を確認する良い機会となった。特に、負傷明けの冨安健洋は60分以上プレーし復調をアピール、本大会でのスタメン入りへ光明が差した。一方で、遠藤航はまだ本調子とはいかず、コンディションには懸念が残るが、45分を戦い抜けた点は収穫であった。
チームとしては、好調すぎた状況に適度な緊張感をもたらし、「このままではいけない」とチームを引き締める「良い薬」となった。一方で、引いて守る相手を効果的に崩しきれない攻撃の課題も露呈したため、攻撃の精度向上とカウンターへの注意が本大会での大きなポイントとなるだろう。
Q. 現代日本代表の強みであるユーティリティプレイヤーの多さがチームに与える影響はどうか?
現在の日本代表の最大の強みは、複数のポジションを高次元でこなせるユーティリティプレイヤーの多さにある。アイスランド戦で成功した瀬古歩夢のボランチ起用はその典型的な例だ。DF登録の板倉滉や冨安健洋もボランチをこなすなど、様々なオプションが森保監督に「いい意味での悩み」を与えていると専門家は分析する。

これは試合中のシステム変更や、対戦相手に応じたメンバーの大幅な変更、さらには過密日程における効果的なターンオーバーを可能にする。今野泰幸は自身の経験からサイドバックの難しさを語っていたが、現代の代表選手たちはそれをこなす能力を持っている。
経験豊富なベテランから勢いのある若手まで、幅広い年齢層の選手たちが欧州の強豪でレギュラーとして活躍し、自信を漲らせている。ディフェンス陣に至っては、1対1に絶対的な自信を持つ選手が揃い、「穴なんてない」と断言されるほど、層の厚さと信頼性を兼ね備えている。
Q. 「優勝」を目指す森保ジャパンの姿勢と初戦オランダ戦の重要性は?
森保監督が公言し、選手たちも口にする「ワールドカップ優勝」という目標は、単なるスローガンではない。それは選手たちに強い責任感と目的意識を植え付け、日々のトレーニングから高い基準で臨む姿勢を促している。日本が勝利するために何をすべきか、その具体的な行動と精神的な準備に大きく影響していると見られる。

本大会の初戦となるオランダ戦は、この「優勝」への道のりを占う上で極めて重要な一戦だ。グループステージを1位で通過するためには、この初戦で確実に勝ち点を確保する必要がある。オランダは優勝を目指すタレント集団であり、臆することなく攻めてくる展開は、むしろ日本代表にとって戦いやすい可能性があると井原氏は指摘した。
Q. 98年ワールドカップのメンバー選考が日本サッカーに残した教訓とは何か?
1998年フランスW杯の直前、発表された代表メンバーからの「カズ落選」と「北澤落選」は日本サッカー界に大きな衝撃を与えた。W杯開幕直前に、現地に近いキャンプ地で最終メンバーが発表され、その場で落選者が帰国するという形式は、後に大きな批判を呼んだ。当時を経験した井原氏は、全てが初めてのことで誰も想定していなかったと振り返る。
しかし、この出来事は日本サッカーにとって大きな教訓となり、その後のメンバー選考プロセスに変化をもたらした。現在では、発表の時期が早まる、あるいは将来有望な若手を「トレーニングパートナー」として帯同させるなど、協会は選手への配慮と育成の機会創出を意識するようになった。この苦い経験が、現代日本サッカーの強さの一端を支える教訓となっていると言えよう。